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身支度を整えた弟くんが、 立ったままの私を後ろから 抱きしめてくれた。 私は、温かく力強い腕に癒され 別れ際までも甘い気持ちに なれた。 あのね、 私、まだ今年になってから キスもセックスもして いないんです。 彼としたくてとっておいたの。 でも今年最初のキス、弟くんに してもらえてよかった。 もらってくれてありがとう。 今思えば、なんとも支離滅裂で 重苦しい告白だったけれど、 弟くんは、そうだったの?程度の 反応をしてくれたので助かった。 なにかにこだわりすぎて、 守りすぎて、苦しくなっていた 私を、ほんの少し緩めてくれた ことにお礼が言いたかったのだ。 弟くんをドアの前まで見送って、 バイバイまたね、と手を振った。 次の瞬間、廊下に立っていた 弟くんがパッと部屋に戻り、 私達はキスをした。 今度はちゃんと重なりきった キス。今日を締めくくる、 ダメ押しのキス。 それを私は目を閉じて受けた。 キスをされる、という予感が して、目を閉じることができた。 最後になって、私は私を解放 できた気がして、嬉しかった。 |
腕? どのあたり? 伸ばした右腕を見ながら、 弟くんが聞いてきた。 内側がいい 内側にして欲しかったのは、 外から見えづらくて、脇を 閉じれば押されて痛みが するからだった。 噛まれてすぐは喘ぐだけ。 そのうち噛む力が増してきて、 最後の方には痛い痛いと 叫んでいた。 弟くんの口が離れ、噛まれて いた場所へ血液が巡りだす。 丸い歯形に沿って、皮膚が 赤くなりとてもきれいだった。 あ、嬉しい。 歯形を見ながらそう思って いたら、今度は左腕から痛みが きた。さっきと同じように だんだんと噛む力が強くなり、 私に右側を楽しむ余裕が 無くなった頃、弟くんは噛む のを止めてくれた。 自分で自分を抱きしめるように 丸くなって、私は両方の傷を 閉じ込めた。 セックスとは違うけれど、 とても気持ちがよく満たされる。 この2つの痕は、 赤、紫、青、緑、黄、どの色に なっても消えて無くなる時まで 私を満たし続けてくれるだろう。 自分でして、噛んでもらって、 私はとても楽しむことができた。 さえさん、 シャワー浴びてくるね 私が満足したのが伝わったのか、 そろそろ時間が来たのか、 弟くんはベッドから出ていった。 一人になった私もベッドから出て ブラとワンピースを着た。 |
自分で、する 一回イッておけば、 弟くんも私も落ち着くだろう。 一区切りが欲しくて、私は ショーツの中に自分の右手を 入れて突起をいじった。 ムードよりもスピード優先で 済ませたかったから、両足を 伸ばして力を入れた。 弟くんは何も言わず、さっき までと同じように乳首を 触り続けてくれた。 私が期待していたよりも少し 時間がかかってしまったが、 10分もせずイクことができた。 身体が震えて恥ずかしかった けれど、とりあえずこれで いいだろう。そう思いながら 口を開けたまま息をしていたら、 上唇にキスをされた。 (あ、これ今年最初のキスだ) 私がかたくなに弟くんの誘いを 断り続けたのは、今年になって まだ誰ともセックスをして いなかったからだ。 そして私はできることなら彼 (弟くんではなくて)と 最初にセックスをしたいと 思っていた。 そもそも弟くんは、私とセックス したくて私と会ってる訳ではない。 万にひとつでも、私が弟くんを 求めた場合にだけ、弟くんは 相手をしてくれる(だろう)から 弟くんなりに準備をして来て くれているだけだ。 私としてもしなくても、弟くんに とってはどちらでもいい話で、 良い意味でどうでもいいことだ。 だから、一回イッておしまい。 限りある時間の中で、ひとつ オチがつけば話は終わる。 そう思っていたのに、これにて 今日はおしまいと思っていたのに 弟くんは私の乳首を舐めだした。 弟くんの舐め方は、彼のより少し 広範囲を濡らしていて、そんな ささやかな違いを気づかされて しまった私は恥ずかしくなった。 右の次は左。 ものすごく気持ちがよくて、 守っていたものが崩れてしまい そうになる。 触って欲しい、入れて欲しい、 それは、言いたくて言えなくて、 言ってはいけない事柄で。 代わりに絞り出したのは 腕、噛んで欲しい だった。 |
ベッドの上で座りながら、 弟くんにゆっくりなでられる。 肩、腕、背中と進んだ彼の 手は、丁度ホック辺りで止まった。 ぐっと力を感じた瞬間、それは 一撃で外され、私は驚いた。 一枚脱がせていい? そう言われて、私はうなずき ワンピースを脱いだ。 残りはキャミソール、ストッキング、 脱げかけたブラとショーツ。 布団の中に入ろうか 僕も脱ぐけどシワになるからだから 他の意味は無いからね 弟くんは、アンダーシャツと ボクサーパンツだけになった。 ベッドの中で弟くんに 腕枕をしてもらいつつも、ブラの ホックが背中に当たり違和感で なんだか楽しめない。 私はモゾモゾと動き、肩紐から 腕を抜きキャミソールを着たまま ブラだけを完全に脱いだ。 これでホックもワイヤーも、 硬いものをいくらかは気に しないでいられる。 脱ぐまで待っていてくれた両手が キャミソールの中に入ってきて 真っ直ぐに乳首を触った。 私の口からはあえぎ声と息が 溢れだし、身体中に力が入った。 自分で触るよりも圧倒的に 気持ちが良くて幸せだった。 さえさん、シャワー浴びてくる? このストッキング脱がせていい? ゴム持ってきてるよ 言ってくれたらすぐ着けるよ 溢れる声の合間に聞こえた 甘い誘いと気遣いが本当に嬉しい。 でも私は、要らない、しない、 と断った。 今日は少々日取りが悪かったのと、 一つ決めていたことがあったからだ。 とはいえ、今は断ることができたが、 この状況が続けばどうなるのかは 明らかだ。次へ進んでもいいと 言われながら、私はいつまで とどまることができるだろう。 私は苦し紛れに宣言した。 |
二つ並んだカップにならい 私達も並んで座った。 カモミールを飲みながら またやさしく髪をなでられ 猫の気分になる。 手が止まったと思ったら、 今度はキスの雨が降ってきた。 皮膚でも粘膜でもない 髪の毛へのキスは、なんだか 幼い感じがして悪くない。 生々しくなく、カジュアルで、 重くなく、最初の攻めに ぴったりで。 でも髪にキスをするのは 私の周りでは弟くんくらい。 これは、女性を大切に扱う彼 ならではのプレイだと思った。 うっとりするような時間の次は 一気に脈が上がる事態に。 弟くんは、私の耳を触ってきた。 私は耳を責められるのに弱い。 今日最初の悲鳴をあげながら、 私は震え耐えた。 じっとしているのは難しいけれど、 急に動くのは危険だ。ピアスも つけたままだし、身体のパーツの 中でも小さく複雑な形の耳に、 指や爪が引っかかるのも困る。 頭ではこう分析していたけれど、 正直に本能に従うならば、今は とても気持ち良くて、ずっと このままでいたかった。 だから私はじっとしていた。 みみ、よわいんです 悲鳴の合間に言えた言葉は、 弟くんにどう届いたんだろう。 ノーではなくイエスだと 伝わっていたらば幸いだ。 弟くんの手はそれから少し 耳を触り続けて、ワンピースの 胸元からブラの中へ進んでいった。 胸の先端を探す手の動きに、 期待と不安がこみあげる。 乳首をなでられたら最後、私の 上半身はぐらりと倒れた。 私も私の身体もそれを待っていた。 大きな呼吸を繰り返す私の視界に、 弟くんの両手が見えた。 さえさん、ベッドに行こう 私は差し出された手を掴み、 ソファから立ち上がった。 |
とはいえ、いつも通りすぐに 行動に移せるわけでもなく、 しばらく会話が続いた。 映画、料理、好きな食べ物、 外国語、酔ったときの私の 口調、スピーチ、などなど。 途中、数回髪をなでられ、 優しい刺激に私は緩み出す。 まぶたが閉じて、少しずつ 気分が落ち着いてきた。 あ、そうだ。 歯みがきしてない。 ちょっと歯みがきしてきます。 私はそう言ってソファから 立った。シンプルに食べた 後だったから歯みがきが したくなっただけで、 他意はなかった。 ようやく緊張がとけて、 自分のしたいように自然に 行動できただけだと思った。 今となっては、弟くんには そうは伝わらないだろうな、 と思ってしまうが。 バスルームから戻ったら、 部屋の照明は落とされ、 アロマの良い香りがして いた。 さえさん、カモミールの お茶をいれたよ。 どうぞ。 沢山あった茶葉のうち 選ばれたカモミールから、 弟くんの気遣いが伝わる。 まだ飲んでない種類だから、 リラックス効果があるから、 多分この二択のどちらかだ。 |
コートを脱げば、弟くんが ハンガーにかけてくれて、 手を洗っていたらば、 スリッパが用意されていて。 ケーキを食べようとしたら 飲み物は何にする?と 聞かれた。 ミネラルウォーター、 紅茶、 ハイビスカスティー、 カモミールティー。 この部屋で飲んだものは、 全部弟くんが給仕してくれた ものたち。 ひとしきり食べたころ、 弟くんは言った。 さえさん、お願いがあります ここに手を置いてください! 私は言われた通りテーブルに 左手を置いた。 そこにふわっと弟くんの手が 重なり、きゅっと熱に包まれた。 私は途端に照れてしまい、 うつむいて顔を隠した。 弟くんは変わらず私に話し かけてきてくれたけれども、 一気に緊張した私は、空いた 右手でクッションの編み目を 引っかくことしかできなかった。 でもこの動作はなんだか 退屈しているみたいに見える。 まるで髪の毛先をいじるのと 似ているし、きっと弟くんにも そう伝わってしまうだろう。 気づいてすぐに、私は クッションを引っかくのを止めた。 退屈しているとは思われたくない。 退屈じゃなくて、次に進みたい。 それが本音だったから。 |
全体的に落ち着いた色だけ、 そしてそれらは淡い色合い だけでコーディネートされ、 なにより比翼仕立てが おしゃれすぎて素敵だった。 比翼仕立てはとても彼らしい。 どちらもひと手間かかけて いるところがそう。 待ち合わせ場所に現れたのは 弟くん。 彼はまるでバーサタイル。 比翼仕立ての万能選手。 片手に携えた紙袋の中身は なんと私へのケーキらしく、 会う前から始まっていた 甘い気遣いに頭痛がした。 海が見える窓と テーブルとソファ。 期待よりも小さかった ダブルベッド。 まあまあ条件の悪い中で ようやく今を迎えられた。 私は、彼と二人きりになれて やっとほっとできた。 |
訳もなく、じゃなくて ちゃんと訳ありで不安。 心の底から安らぐなんて もう無いのかな。 何かしらどこかしらに もやがかかってて、 スッキリ快晴にはもう なれないんだろうな。 それか、小さいことを 気にする暇も無いくらい 大きな不安を持つしか、 そうやって麻痺させる しかなさそう。 暗い日記だなあ。 考えすぎだよね。 考えても私にできることは 限られているんだし。 でもできることのために 本当にしたいことを我慢 し続けてるのも辛い。 好きにするのも 美しく我慢しても どっちも後悔しそう。 正解はどれなんだろう。 |
エンピツ書ける状態なのに 書くことが無いっていう。 緊急事態宣言、終わるのかな。 終わってもすぐ前みたいには ならない訳でしょ。 マスク無しで過ごせるのは いつになるのかな。 友達とかもう1年以上会って ないし、何なのこれ? 真面目に我慢した成果が ちゃんと出ますように。 |
エヴァの話。 まだ見てないから ネタバレなし。 好きなYouTuberが もうエヴァ見たって 言ってて。 内容はもちろんのこと、 感想ですら言わない彼が 唯一言ってたのが、 僕はエヴァに恋してる だったの。 私も早く見たい。 もう20年以上片思い。 |
病気でも何でもないし もし事故みたいに 突発的のじゃなければ、 痛くて辛くてもう駄目 というのでなければ、 死ぬ間際にはきっと あれもこれもと 思い出しながら 名残惜しくてたまらなく なるのではないかと思う。 でも その時にイケなかった という後悔だけは 出てこないんだろうな。 よかったな。 |