私の音楽日記

2005年12月22日(木) 川嶋あいX'masコンサートツアー2005「long and deep X'mas」 in 名古屋市民会館中ホール

川嶋あいちゃんはまだ19歳なので、真面目で丁寧に歌を歌うシンガーソングライターといっても、まだかわいらしい女の子だとばかり思っていました。
が、私の予想は大きくくつがえされました。
あいちゃんは立派な大人のレディでした。
歌は声がよく伸びて、高音を伸び伸びと聴かせ、おしゃべりではちょっと低めの抑えた声で自分の思っていることを淡々と話し、受けなくても笑ってごまかしたりせず、慎重に考えながら進行を進めている感じでした。

最初、あいちゃんは茶色のフリルのついたワンピースの上にあかいエンジ色のボレロを着て静かに登場。
クリスマスコンサートらしくバックには普通の6人バンドに4人のストリングスのメンバーが加わり、クラシックのイメージで最初の曲を披露しました。
そしてストリングスが抜けて「絶望と希望」ともう1曲。

「大阪でのコンサートでは吉本ネタを披露したところ受けなかったので、レーザー・ラモンをやろうと思ったけど、私はそんなことやりません。」
と言いながらいきなり「フゥー!」と片手を掲げてやったのですが、お客さん達はただ、ただ、びっくり。
「また、受けなかったですねえ。失敗です。東京で挽回しなければ!」

その後はクリスマスメドレー。
「赤鼻のトナカイ」などの誰もが知っているクリスマスソングをメドレーで3曲歌い、続いて松任谷由実さんの「恋人がサンタクロース」、辛島美登里さんの「サイレント・イブ」も歌いました。
どちらもあいちゃん流の歌い方で素敵でした。

その後はメンバーが袖に下がり、あいちゃんたった一人でピアノの弾き語り。
「カバーですが、とても好きな曲です。最初は洋楽。次は邦楽です」
「rose」「あなた」。
「rose」は誰の曲かわかりませんでしたが、歌詞の内容がよくわかるいい曲でした。
その後、小坂明子さんの「あなた」を歌ったのですが、何度か不思議な転調をしていて、私は初めの頃「あいちゃん、ちょっと間違って覚えているなあ。」と思いましたが、それは違いました。
あいちゃんなりにあいちゃんの歌いやすい、気持ちをのせやすいメロディーに変えてあるということが曲が進むにつれてわかってきました。
原曲と微妙に違うなんてものではなく、かなりメロディーや調が変わっていて川嶋あいの「あなた」に仕上がっていました。

その後、「レーザーラモンネタが失敗した時のために、抽選会を用意しておきました。今から私からのクリスマスプレゼントのコーナーです。」
あいちゃん自身が大きな箱から、座席番号のくじをひいて抽選が行われ、5人のファンの方々にあいちゃんからのクリスマスプレゼントが手渡されました。
きれいなミラー、来年のカレンダー、マフラー、今年出版された本、昨日発売されたばかりのDVDがすべてサイン入りでプレゼントされました。
当たった方はすごいラッキー!!うらやましかったです。

その後、「雪に咲く花」や「12個の季節」などの代表曲が5曲披露され、
「最後はみなさんと「きよしこの夜」を歌いたいと思います。みなさん、立ってください。」
まず、あいちゃんが1番を歌い、2番は1番の歌詞でお客さんが歌いました。
そして、3番は皆でハミング。
ここであいちゃんは
「「きよしこの夜」は本当は歌詞が5番まであったそうです。しかし、戦時中に4番と5番の歌詞は削除されて、今は4番と5番の歌詞はわかりません。なのできょうは私が4番の歌詞を作りました。今から私が作った歌詞を4番として歌います。5番はまたみんなで1番を歌いましょう。」
そのとおり、4番はあいちゃん作詞のきよしこの夜を歌い、5番はまたもう一度、みんなで歌いました。

私は4番と5番の歌詞が削除されていたなんて、知らなかったです。
今は随分思想が自由になりましたが、そんな時代もあったのです。

ここで、コンサートは終了。

そして、アンコール。
あいちゃんはワイン色のキラキラした飾りのあるスカート、黒のセーター、その上に白いベスト姿でした。
どこからみても、普通のお嬢さんの洋服でした。
そして、新曲「Dear」。
その後、あの「アメイジング・グレイス」ともう1曲をメドレーで披露。
ラストは「約束の日」。この曲はおかあさんに聴いてほしい曲だそうです。
あいちゃんはおかあさんに「私は夢をかなえました。歌手になりました!。」と言いたいそうです。
しかし、お母さんと暮していた頃はうざいとか思ってしまって、なかなか上手く感謝の気持ちが伝えられなかったそうです。
「人は好きな人の前では不器用なのです。」とあいちゃんは言いました。
あいちゃんには、気持ちを伝えたい生みの両親も育ての両親もすでにいません。
私は心からあいちゃんのお母さんの変わりにあいちゃんの歌を聴いてあげたいと思いました。
あいちゃんの話しを聞き、歌を聴いて涙があふれました。
私の周りの人も何人かの人が泣いていました。

全部で19曲。ここでコンサートは完全に終了しました。

とても深い夜でした。とても深い意味のあるコンサートでした。
私は実は腰と背中に激痛が走り体調不良で、おまけに大雪。
なので、行くのを見合わせようかとかなり悩みましたが、行ってよかったです。
あいちゃんは19歳の女の子なのに、私の娘くらいの年頃の子なのに、女であることにすこしもこびない、まったく甘えないしっかりと地に足をつけたアーティストでした。
私は忘れてしまっていた昔の自分の気持ちを少し思い出しました。
たしかそうでした。
女であることにこびず、甘えず、失敗もしっかり自分で受け止め、曖昧に笑ってごまかさない女性が好きだったのです。
あいちゃんはまさにそうでした。
ギャグが受けなくても笑ってごまかさない。凛と受け止めて、淡々とステージを進行させる。
衣装もちょっとよそいきの服の感じで女の子である事にまったくこびていませんでした。
曲とその内容でお客さんをもてなし、そして自分の考え方や思いをこれほどまでにしっかりと伝えるというコンサートを見たのは今回が初めてです。

たくさんのことを19歳の川嶋あいさんから学びました。

今回のコンサートは14歳の娘と二人で行きました。
もちろん、あいちゃんの歌を聴きたかったのですが、同世代の人のがんばりを娘にも見てほしい。そして、何かを感じてほしいというのももう一つの目的でした。
きっと、娘も何かを感じとってくれたと思います。
大雪と体調不良を押して行ったこのコンサートは私の心の宝物となりました。
あいちゃん、ありがとう。

コンサートが終ると市民会館前は大雪で10センチほど雪が積もっていました。
大通りも10センチほどつもり、車はまったく通っていません。
歩くと足首まで雪に埋もれる状態です。
本当は市民会館から地下鉄につながる連絡通路があり、わざわざ外の道をとおる必要はないのですが、行きも帰りも雪が見たくて、遊びたくて、雪合戦したり、大きな木から雪がくずれ落ちる雪崩を見て「おォ〜!」と叫んだり、道に止められている自転車に積もった10センチ程の雪を落としたりして地下鉄の駅に入りました。
こんな大雪を見たのは娘は生まれて初めてです。
一生忘れないでいてくれるとうれしいです。



2005年12月21日(水) 「かざぐるま/空蝉」  一青よう 2005.9.21

一青さんの声は和風の楽器のようだ。まさにアジアの歌姫だと感じる。
「かざぐるま」は映画で使われた歌だそうで、歌詞が抽象的でよくわからないが、それもそのはず。
風は見えないから。見えない風がかざぐるまをまわすから。
見えなくてもそこに存在するから。
最後の「待つことも恋でした」というフレーズが一番わかりやすくて好き。
見えなくても形がなくてもそこに存在するという意味で風と心は似ている。

カップリングの「空蝉」がこれもまたいい歌だ。
これは中村雅俊さんに書いた歌で、雅俊さんが歌う「空蝉」も素晴らしくいい。
思いっきり中村節が聴ける曲だと思う。
歌詞も言葉遣いがやさしげで中村さんにぴったりだと思う。
一青さんは他の歌手に詞を書くことにも優れていると思った。
中村さんの「空蝉」と一青さんが歌う「空蝉」はぜんぜん違って聞こえる。
中村さんはひたすら優しく相手を見守っているようなストレートな歌い方だと思う。
が、一青さんは決してストレートに歌っていない。色んな意味を含んだ歌い方をしている。
空蝉は決して優しいだけではなく、弱がる強さなど色んなものを持っている。
そして、アレンジがものすごくよい。
この手荒でそっけないアレンジは歌を立体的にしている。
なんと言っても、初めのフレーズにまいってしまった。

  赤い糸は僕とつながってたはずの ラプソディー

赤い糸を信じている人はどれくらいいるのだろうか。




2005年12月12日(月) 「BEST」  中島美嘉 2005.12.7

ベストアルバムよりもオリジナルを待っていたけど、あまりの楽曲の良さからこのベストアルバムで、ものすごく満足してしまった。
中島美嘉の新曲を初めて聴くときはいつもドキドキする。
今度はどんな曲だろうか。どんな歌詞だろうかとすごく期待する。そしていつもドキドキが切ない感動に変わる。

今回はベストアルバムなので、全曲知っている曲、1曲だけ好きじゃない曲があるけれど、あとの13曲は全曲大好きな曲ばかりだ。
1曲目の「アメイジング・グレイス」はファーストアルバムにも収録されていて、そちらで聴いた時も衝撃的に良かったけれど、今回は綾戸智絵さんのピアノ伴奏で歌っている。
綾戸さんのピアノはとても感情豊かでゆったりとして、その人間性を感じさせるようなピアノの音色だ。
若い中島美嘉は落ち着きはらってそのピアノに声をのせている。
そしてこの「アメイジング・グレイス」のあとに、あの名曲「STARS」が続くその瞬間には心ここにあらずの状態になった。
「STARS」はそれだけで充分感動的な歌だけど、「アメイジング・グレイス」の後に続くとまた格別の良さがある。
この曲を聴いていると、外が吹雪であっても曲の世界に入っていってあたたかくなる。
特にこの歌のSTARS
星は決して手に入らないけれど、手に触れられないと存在しないような気がするけど、遠い光は消えやしないというその主題にはいつも感動させられる。
「CRECENT MOON」はとても軽快で軽やかで、私は本来この手の歌は好きではないけれど、この歌に限って例外。
とても中島美嘉に似合っていると思った。
「WILL」「桜色舞うころ」「FIND THE WAY」などのバラードは絶品だし、特に「WILL」はこれも星を歌った歌で、この歌を聴くといつも夜空が心に浮かぶ。
「朧月夜」は古い唱歌を、中島美嘉のポップスに変えてしまって、この時も驚いた。よく知っている歌だけど、2番の歌詞なんて知らなかった。
ああ、こんなにきれいな歌詞だったんだと改めて聴きほれた。
「RESISTANCE」は胸をしめつけられるような切なさがいい。
「Love Addict」はジャズで、すごく難しい歌をまったく嫌味なく歌っている。
私は歌が上手いのですという歌い方ではなく、さらっと軽く歌っているのにものすごく上手い。
ジャズのリズムとベース音が心地よい。
「雪の華」は今の季節には欠かせない名曲となるだろう。
今年は春には「桜色舞うころ」という名曲を高校の卒業式で歌って、感動させてくれて、秋には「GLAMOURAS SKY」でHYDEと共に、そして冬には綾戸智絵さんと共にその素晴らしいエンティナーぶりをみせてくれて、本当に頼もしい存在だ。

このアルバムでは曲順の良さにも拍手を送りたい。
こんなに曲順が良くて好きなアルバムは今までになかったと思う。
私は中島美嘉の若くて重みがないところがとても好きだ。
どんなに切ない歌を歌っても重くはない。
しかし、しっかりと地に足や声を落ち着けて歌っている。
どんな歌にでも挑戦する。そんな歌手が今までいただろうかと思う。
2006年もまた、新たに色んな曲に挑戦して驚かせてほしい。
本当に好きな歌手に会えて私はうれしい。



2005年12月11日(日) 「歌バカ」  平井堅  2005.11.23

平井堅のシングル・コレクション。
「今までベストアルバム出てなかったのかあ。」と驚いた。
デビュー10周年でやっと出たシングル・コレクションは、特にファンじゃない人でも「平井堅の歌、最近好きだから買おう。」と思う人もいるんだろう。

なんとなく私はこの人がシンガー・ソングライターだということにピンとこない。
歌があまりに上手いせいか、あくまでもシンガーで、他人の楽曲を歌っているような気がしてしょうがないけれど、ほとんどの歌を作詞作曲していて、その才能に驚かされる。

平井堅の歌は大好きな曲と全然興味が沸かない曲がある。

一番好きな歌は「Life is...」で、これを初めて聴いた時は、私の思うことを代わりに歌ってくれているような気がした。
その時に思っていたことを、素直に書いた曲ということで、すごく親しみを感じた。
次に好きな曲は「Ring」でこの心境もすごくわかる。

最初の頃の歌はすごく上手くて完璧な感じがするけど、あまりにきちっとしすぎて印象が薄い。

平井堅は良い意味で上手く汚れてきた人だと思う。
良い意味で汚れるなんて、自分でもよくわからないけれど、きれいで優秀な人にはとっつきにくい。
その点、平井堅は上手く汚れて人の心をつかんだシンガーだと私は思う。
そしておそらく心は決して汚れていないんだろうなと思ったりもする。



2005年12月04日(日) 「fo(u)r」  CHEMISTRY  2005.11.16

一昨年くらいまでケミストリーの曲は、初夏や夏向きの曲だと思っていた。
しかし、去年頃からは暖炉にあたりながら、ケミストリーの曲を聴きたい気分だ(暖炉なんてないけれど)。
去年の冬に聴いていた「HOT CHEMISTRY」には何曲かカバー曲があって、それが目当てで買ってきいたが、それはそれなりによかった。二人とも声がよくて、歌が上手いから当然だろう。
今回のアルバムはカバー曲など入っていないが、すごくいい。
クリスタル・ケイさんといっしょに歌っているCMソングの「Two As One」などは風の声のようだ。
裏ジャケットはどこかの草原だけど、草原の歌のような感じだ。
ケミストリーはカバー曲などに頼らなくていいということが、すごくよくわかるアルバムだ。
「nothing」はメロディーよりも歌詞の文字数の方が多くて、すごく難しい歌いにくそうな歌だと思う。
舌をかみそうな歌なのに、すごく気持ちよく歌っていて、これがプロの歌なんだなあと改めて思った。
「Wings of Words」では
♪どんなペシミストでも 恋をすれば変わる 空は飛べないけど 翼ならあるのさ♪と歌っている。
何か好きなものや夢中になれるものを見つけると、心に翼がはえたようにスカイハイになれるといったところだろうか。
ほんとに風の中の翼のような言葉だと思う。

今はストーブにあたりながら、このアルバムを聴いているけれど、初夏になったらラジカセを持って草原に行って、このアルバムを聴いてみたい。


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