木津未来会議の日記
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2013年08月12日(月) |
未だ決着できていない問題 |
未だ決着していない問題があります。 2011年(平成23年)に11月に大阪高裁で結審した裁判に関わるその後の問題です。 昨年の4月に、 市が訴訟費用額を原告4人に支払いを求めてきた事が発端です。 5月に、市に対して請求の撤回の申し入れをしています。その解決がついていない状況なのです。 方向は双方支払わないことで合意するという内容なのですが、現在弁護士間での調整中という段階のようではありますが。なかなか進んでいません。
さらに、昨年11月末、訴訟に補助参加された補助参加人1人より市と同様に原告4人に対して訴訟費用額の支払いを求められました。 ほとんどの自治体ではこのような請求は行っていないです。
以下にこの問題点を明快に述べられている文章がありました。 行政訴訟の在り方と訴訟費用の請求の問題点を正しくとらえていただいています。
木津川市への申し入れその後の対応をきちんとしてもらわなければ・・です。
訴訟費用額の請求についての考え
第99回 住民訴訟の訴訟費用の原告負担問題
連載第99回 住民訴訟の訴訟費用の原告負担問題
『ねっとわーく京都』2012年12月号掲載
井関 佳法(弁護士)
「木津川市が、選挙費用の公費負担の適否をめぐる住民訴訟の原告に、訴訟費用を請求したが、市議らが取り下げを申し入れた」と、今年の5月19日に報道されました(産経)。8月31日には、共同通信社が「『住民訴訟の訴訟費用問題』自治体が敗訴住民に請求/提訴しにくくなると反発」、という特集記事を配信しました。市民ウォッチャー・京都の担当した住民訴訟で、訴訟費用の請求を受けたことはないのですが、全国的に散見されるようになっており、危険な動きとして問題があると考えています。
「訴訟費用」とは、訴状提出の段階で裁判所に納める印紙代(住民訴訟の場合は1万3000円)、裁判所が使う郵便切手代、証人の交通費や日当、鑑定費用、書面の作成提出費用(1通1500円、枚数が多くなると加算)等のことで、弁護士費用のことではありません。裁判所は、訴訟費用を原被告のどちらに負担させるか、判決で決めることとなっており、通常、敗訴者に負担させることとされています。また一部認容判決の場合には、認容割合に応じて、原被告の負担割合が決められることが多いのです。提訴時の印紙代は原告住民が立て替えて支払っていますので、住民訴訟の原告が敗訴した場合に自治体から請求されるのは、それ以外の費用ということになります。
しかし一般的には、訴訟費用は、まとまった金額にならないことも多く、その請求のためには、改めて裁判所に訴訟費用額確定処分申立をしなければならず面倒であるなどのため、大型公害訴訟、薬害訴訟等で勝訴原告が加害企業や国に対してする場合を除き、実務的にはあまり、と言うかほとんど請求されていません(私自身も、弁護士歴二十数年になりますが訴訟費用額確定申立の経験はありません)。
上記木津川市のケースは、選挙費用の公費負担の適否を問う住民訴訟で、一部違法であるとして、支払いを受けた業者に約9万円を請求するよう木津川市に命じる一部原告住民勝訴判決でした。ところが木津川市が、一部勝訴=一部敗訴の原告住民に対して、約7万3000円の訴訟費用を請求したのでした。
青森県弘前市長は、平成22年4月19日、除雪業務委託の談合事件を問う住民訴訟で敗訴した原告住民に対して、訴訟費用額確定申立を請求しました。しかしこのケースでは、オンブズマンの抗議を受けて、市長が「私の任期中は請求しない」と記者会見し、一応請求の動きが止まりましたが、最終決着には至っていません。
最も衝撃的だったのは、宝塚のケースでした。宝塚市長は、平成21年12月17日、勤勉手当等返還請求の住民訴訟の敗訴住民原告に対して、訴訟費用額確定処分を申立て、訴訟費用の額が約260万円と決まりました。1600名という多数職員が訴訟に関与したため、訴訟費用が多額にのぼったのでした。
一般の民事訴訟では、自らの権利や利益の実現を目指して、原被告が争います。勿論、訴訟費用の負担には、国民の裁判を受ける権利を制限する側面がありますから、額によるのですが、自分の権利や利益のために裁判を使ったのだから訴訟費用を敗訴当事者に負担させる、という考え方にも一理あると言えます。
ところが住民訴訟は、原告住民は自分のために裁判するのではなく、自治体の財政をチェックし是正すること、健全な財政を実現することを目的として裁判を起こしているのであり、公益的訴訟なのです。むしろ原告住民は、多大な労力を費やし、手弁当で、自腹で費用を賄って裁判を遂行しています。そのような原告住民に、訴訟費用を負担させることはおかしなことです。
しかも、住民訴訟の原告にとって、自治体の財政は直接自らの権利義務に関することではありませんから、事実関係もよくわからないことが少なくなく、証拠もほとんど手中にはなく、暗中を手探りで進まざるを得ません。しかも政策決定や財政支出に広い裁量権が認められていることも多いのです。他方、自治体側には、有能な官僚がいて、記録や証拠も十分に揃っています。住民訴訟の原告勝訴率が低いと言われる所以です。にも関わらず、住民訴訟の制度がもうけられた趣旨は、住民の素朴な疑問を、裁判所を通じて究明することが、自治体の財政の健全化と透明性を実現する上で不可欠だと考えられたからでしょう。
そうすると、結論が住民原告の敗訴だからといって、通常の民事訴訟と同様に、訴訟費用を原告住民に負担させるのは正しくないと言わなければなりません。住民訴訟を抑圧し、抑えこむことになる。しんどい上に、訴訟費用の支払いリスクまであるなら、住民訴訟など止めておこうとなってしまう。しかし、それでは自治体の財政健全化が実現できないのです。
住民訴訟のこうした公益的性格に照らせば、訴訟費用の負担について一般民事訴訟と住民訴訟を区別していない法律自体に不備があると言え、法改正が必要です。また、現在の法律の下でも、訴訟費用を一律に敗訴原告住民に負担させないよう、原告住民が裁判所にしっかり訴えることが必要だと考えています。
木津未来会議
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