おもいのかけら
秋里彩華



 七夕

「七夕」

星に届けと
短冊に
書いた願いは
遠い過去

笹の葉に
雨が降る

今日もまた
あなたに
逢えない

2004年08月17日(火)



 ふたりのかけら

「ふたりのかけら」

神様は
わたしたち
二人の中に
それぞれの
かけらを
授けてくれた
どこにいても
いつかかならず
互いを
探し出せるように


2004年08月16日(月)



 別れのまえに

「別れのまえに」

花のように
かれてゆく
あなたのそばで
だまってそれを
見ていることしか
できなかった
もはや
あなたを
救えるものはなく
せめてこの
てのひらの
ぬくもりを
あなたの
いのちに
やきつけて
おきたいのです

2004年08月15日(日)



 よるのまにまに

「よるのまにまに」

いちめんに
ふうわりと
うかんではきえ
かなしみが
そらへ
かえってゆく

こだちのなかを
ゆうらりゆら
ゆられておちて
なみだのつぶが
だいちに
とけてゆく

トゥラルラ
トゥララルラ
あのこはひとり
しずかにないた
トゥラルラ
トゥララルラ
みおろすつきが
なぐさめうたう
よるのまにまに

2004年08月14日(土)



 いのち

「いのち」

ふたりが
出逢うために
うまれ
別れるために
共に生き
泣き笑い
交じり
残されるものは
何なのだろう

2004年08月13日(金)



 運命の輪

「運命の輪」

めくるめく
運命の輪に
翻弄される
わたしたち
波間の小舟
どこへ
行くのか
何を
見るのか
すべては
未来の
手の中に


2004年08月12日(木)



 おもいをのせて

「おもいをのせて」

空へ向かって
いっしんに
伸びる
みどりたち
空の彼方へ
癒されにゆく
ああ
今日も
いのちは
天を
めざしてゆく

2004年08月11日(水)



 ムラサキの石

「ムラサキの石」

カーンカーン
鳴る石は
大地の胸に抱かれて
あまりの愛の深さゆえ
頑なになり
今日も動かず
カーンカーン
森に響く
ムラサキの石の泣く声は
カーンカーン
夜のしじまに
ただただ空気を
震わすばかり
カーンカーン
渇いた風に
雪花がつと飛び交えば
カーンカーン
空に泣くのは
静かに抗う
ムラサキの石

2004年08月10日(火)



 紅い月

「紅い月」

どんなに
愛し合っていても
この世の果てまで
たどり着いても
あなたと私
結ばれない
かもしれないと
夕暮れの
哀しいくらい
か細い月が予言する
もう運命を
サダメと
呼ぶのはよそう
たとえ抗う
強さがなくとも
いまは失いたくない
あなたと私
乗り越えてきた月日

2004年08月09日(月)



 夕暮れは悲しい記憶

「夕暮れは悲しい記憶」

帰る場所を
失くして
ひとり
もう
泣かないと誓う

夕暮れは
悲しい記憶
決して
交わることのない
空と海

それは
まるで
あなたと私

2004年08月08日(日)
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