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2007年03月26日(月)
電源OFF





「お前はいつも、みんな自分から離れていくと、
 そう言って卑屈に笑うけれど、
 お前がそう仕向けてること、気づいてるんだろ?
 傍に人が居るのが怖くて仕方ないから、
 だからそうやって仕向けてるの、
 本当はちゃんと自分で分かってるんだろ?」


あたしにそう言ったのは誰だったっけ。


結局は、誰の1番にもなれないのに、
あたしはいいこを演じて、
理解したフリをして、
その結果、疲れ果てて、
卑屈な自分に卑屈な笑いを浮かべるだけ。


そんでまたケイタイの電源OFF。


ひとりぼっちになんかなりたくないのに、
誰のことも信じられないから、
結局、ひとりになる道を性懲りもなく歩む。


淋しくて仕方ないのに。
本当は誰かに傍に居てもらいたいのに。
泣けるほど胸が痛いのに。


どうしてか同じことの繰り返し。


言葉にするだけ空しいから、
人に伝えるだけ淋しさが募るから、
カタチにするだけ馬鹿らしくなってしまうから、
だから結局は同じことの繰り返し。


抱きしめてよ。







2007年03月13日(火)
寝顔。





「熱に魘されてはいるけれど、
 目覚める度に隣で添い寝するアタシをみつけて、
 安心したかのようににこっと笑って、
 そしてまた眠る、を繰り返しているよ。」


我が子がインフルエンザにかかって、
寝込んでいるという友達にメールをしたら、
そんな返事が返ってきて、
やはり、母は強しというか、
母親というのは特別な存在なんだなと思った。





そんなことを思いながら風呂から上がると、
彼がベッドですやすやと眠っていた。


眠る彼の横でテレビに夢中になっていると、
彼はその間、何度か目を覚まし、
そして必ずあたしを見て、確認してから、
また眠りに落ちるという行為を繰り返していた。


何度目かの時にむにゃむにゃしながら、
あたしの傍にすり寄ってきて、
寝ぼけ声を出しながらまた眠りに落ちた。


「これじゃ友達んとこの末娘と大差ないな。
 あたしはアンタのお母さんかいな。」


思わず独りごちて、笑いがこぼれる。


眠る彼のおでこにキスをして、
頭を抱え込む体制をキープしながら、
そのままテレビを見続けた。


あたしは決まって目が覚めると彼の姿を探すから。
傍にいないと子どもみたいに泣いて、
彼の名前を呼び、彼のことをいつも困らせるから。


彼がそんなことするはずないことくらい分かっているけれど、
ちゃんといつも傍に居るよ、と、
目が覚めても隣に居るからさみしくないよ、と、
そんな気持ちを込めつつ、時折そっと寝顔を眺めた。





眠り姫を守るのも、目覚めさせるのも、王子様の役目。






2007年03月11日(日)
三十路ボンバイエ。











Happy Birth Day, dear my Bros.













2007年03月10日(土)
悪玉菌と善玉菌。





あたしの胸に巣食った醜い嫉妬と、
祈りにも似たどうしようもない諦めとが、
壮絶な戦いを繰り広げている間に、
体内に何者かが人知れず侵入したようだ。


その、嫉妬と諦めの果てに在ったのは、
抗いようもなく、抗うだけ無駄な、
どうにもならないほどの愛惜しさと愛情。


それに気づいた時にはもう、既に時遅し、
体内に知らぬ間に侵入した何者かとリンパ腺との、
壮絶な戦いの火蓋が切り落とされていた。


リンパ腺から届けられる悲鳴にも似た痛み。
首のリンパ腺から顔面右半分の腫れ。


リンパ腺VS何者か。


どちらが勝者となることやら。







2007年03月04日(日)
テレパシーは届かない。





さみしくて、むなしくて、泣きそうで、
Yくんの送別会だというのに、
アルコールの勢いに任せて、ただ騒いだ。


胸の辺りが今にも壊れそうな音を立てて軋んで、
少しでも気を緩めたら足元からも、
自分の内側からも、崩れ落ちてしまいそうで、
そうすることでしか自分を支えてあげられなかった。


その席で1番仲の良いYちゃんが時折、
あたしに向ける心配そうなその眼差しが、
胸の辺りの音をさらに大きくし、
アルコールのペースを上げさせた。


入れ違いでトイレに立ったYくんが、
通路ですれ違う少し手前でふと立ち止まり、
真っ直ぐ歩けないほど乱れていた、
そんなあたしを力いっぱい抱きしめる。


「どーしたの?」


バカみたいに笑うあたしにYくんが、
抱きしめる腕を緩めないまま、言う。


「僕は貴女の心が心配です。」


その一言で、一瞬にして酔いが冷めた。


「気づいてたの?」


「もちろんです。すぐ分かりましたよ。」


半分泣きそうなままYくんの腕の中で、
けらけら笑っていたら個室の扉が開く。


「すりガラスの前でイチャこくなー。
 全部見えてるぞー?
 アタシにもお前を抱きしめさせろー。」


Yちゃんが笑いながら声をかけてきた。


Yくんが照れくさそうに笑ってから、
あたしはYくんの腕の中からYちゃんの腕の中へ移動する。
人の体温ほど安らぐものは、ない。


気の置けない相手だからかもしれないけれど。


みんなと笑っていてもバカやってても、
胸の中ではずっと、呪文のように、
あのひとの名前を、呼び続けていた。


恋しくて、苦しくて、気が狂いそうで。


あのひとに逢えない時間が嫌い。
それでも笑わなきゃいけない仕事が嫌い。
ひきつった自分の笑顔が嫌い。


あたしには素っ気なくても、
今日もきっと誰かと笑っている、
そんなあのひとが、憎い。


あのひとからのテレパシーが聞こえない。