限定鼓動

2006年10月23日(月) あなたへ

他人の気持ちを理解することは出来なくてもね
推し量ることは、きっと今よりもっとマシに出来ていたと思うんだけどな。
あの頃は確かに幼かったけれど
あたしは必死に大事なもんを抱えていたよ。
今のように、簡単に手放そうとはしなかった。
もっと貪欲だったよ。生きることにも何かを欲しがることにもすべて。
何が辛くて泣いているんだろう。
理由在る涙なら、流されることも惜しまなかったのに。
何が怖くて傷つけるんだろう。
理由在る傷痕なら、もっと胸張って生きてきた証だと云えたのに。
あたしが流す涙に理由が無いのと同じでね
あたしが流す赤にも理由など無いんだよ。
そしてそれは理由が無いのではなく、ただ判らないだけだということも。
それはただ流され行く日々に、付いたかすり傷と何ら変わりないものなんだ。
あの頃よりずっと大きくなったよ。
あの頃よりずっと傷だらけになった。
それでもあの頃より、綺麗に笑えていたのなら
あたしは過ぎ去った日々に何の後悔も抱かずに済んだのにね。
そんなに上手くはいかないよ。
あたしはただ無意味に成長過程を過ぎ
図体ばかりでかくなって、何一つ育っちゃいない。
今を儚むだとか、この先を哀れむとか
そんなことすら考えるのは無駄になっちゃっててね
ただ、あの頃に帰りたいと少し思うよ。
あの頃のように純粋に他人を想えたら
もしかしてあたしは今より生き難いかも知れないけれど
けれど今よりは、
アナタをラクにしてあげられると思うのに。


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陽 [MAIL]