BERSERK−スケリグ島まで何マイル?-
真面目な文から馬鹿げたモノまでごっちゃになって置いてあります。すみません(--;) 。

2007年02月01日(木) BLEACH:習作



なんか書かにゃと思いつつ、なんとなくやる気が起きない
でろ〜ん=■●_

『レテの岸辺』

 ある死神が海の波打ち際に座り、茫洋と蒼い空を映す水面を見ていた。空は高く美しく、白い雲が次々と千切れ、天女の羽衣のごとき形をとり、飽く事もなく流れていく。水辺には多くの鳥が群れている。
 ひと際目立つのが鷺に似た首と足の長い水鳥の大群で、その薄紅色の羽は朱鷺色とも呼ばれた、現世での絶滅種である。ニッポニア・ニホンの名をももったその鳥は、もう誰に怯える事もなく、繁殖を強制される事もなく、悠々と飛び戯れる。
 ふと朱鷺の大群は羽ばたき、飛び立っていく。岸辺に座る黒い死神の姿をすり抜けて、夢の様な朱鷺色が一瞬岸辺を埋め尽くし、飛び去っていった。
 ここは人があの世と呼ぶ世界故、見える現象は物質を伴わず、意をもって現れる。この美しい空は荒れる事がない。死んだ者達の、せめてあの世は美しいものを見たいと言う、切なる願望が支えているのだろう。


彼岸に咲くは十万那由他の仏花草

蓮華の下の沼地の現世
妙音鳥鳴くよ
若空無我常楽我浄
若空無我常楽我浄
……

時折、石を積む子供の姿が数人、幻覚の様に現れる事がある。
ふと哀れに思う事もあるが、こちらは死者の魂を運ぶだけの事。
救うは仏のなさる事。
神と名は付いても、所詮輪廻の輪から逃れられ身であり、場所である。
尸魂界の有様を見れば、死んだ者達はさぞ納得のいかない事でろう。
ここは彼岸の地であるが、浄土ではないのだ。
ただ十万那由他ほどではないが、現世では見る事が出来ない花が咲いている。
水辺にはり出した岩場の上、草地の中にまごう事なき青い百合が咲いている。
白い百合と混じり合い、まったく赤みを含まぬ青に咲く百合の群生は
人であった者に仏花草と言えば信じるかもしれない。



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