BERSERK−スケリグ島まで何マイル?-
真面目な文から馬鹿げたモノまでごっちゃになって置いてあります。すみません(--;) 。

2006年04月28日(金) 第273話「爆炎」:雑感、その他



□:「…ありえない事をやっている…」
先生、それってガッツ+シールケの一心同体アタックの事ですか?
ガッツはついにキャスカに代わる
背中をあずけるパートナーが出来た!と思ったけどょぅじょ…。
昔の特撮かアニメで、男女二人が合体して戦うという話があったけど
これからもガッツは狂戦士+シールケ合体で戦うのだろうか?とか
それじゃキャスカの立場は?とか
他の国じゃこれどう訳されるんだろう…とか
つまらない事を考えて素直に楽しめないあたしは
可哀相なのかもしれない(--;)

■:背景でGJ!
セルピコさんは小さなコマでもGJしてます。
傾いだマストに、絶妙のバランスで立って爺様狙ったり
(立ち姿がカッコいい、しかも白いレエスのお貴族衣装で!)
最後に塒巻く者のよりしろ白ヘビを確実にしとめてたり。
しかしそのコマは小さく、よ〜く見ないと
セルピコが何をしているのかわからない。
最後の大見得は、やっぱ主人公ガッツのでかい絵だった。
この扱いだと「あれ?セルピコどうしたんだっけ?」と
知らぬ間にセルピコの姿が消えていても
私は驚かないかもしれない(--;) 。

□:ダイバ様
肝心の白ヘビをセルピコに斬られてしまったが
ご本人は生きていそう。
しかし友軍の船おじゃんにして出すか?化け物を。
塒者が水吹いてるのもなんかアレだったし
セルピコに斬られた白ヘビの頭が○○○みたいだった
なんて言いませんよ、あたしゃ。

■:次は休載
なんとなくほっとするのはどうしてだろう……。
先生、身体だけは大切に。

□:ちょっと考察
ファルネーのアイデンティティ・クライシスは
キャスカが正気になった時かもしれない。
何故ならファルネーちゃんは相手が無力なら
助ける、虐待する
相手が強ければ妄信する、ひれ伏すと
人と対等の関係を結んだ事がない。
セルピコはとても強いが、彼女の従者って事で
「対等に向き合った」事なんてないのだ。
キャスカが正気に戻って、とてもしっかりした女性とわかり
ガッツの関心も当然キャスカにいくだろう。
そこいら辺でファルネーちゃんはキャスカと自分を比べ
落ち込むかナニかやらかすかもしれない。
あくまで想像。
「自分探しなど考え直し、ロデんとこでも嫁に行け」と
夜回り先生にお願いして説教してもらいたい処だ。

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◆:「DMC」◆
クラウザーさん、私の所にも見舞いに来て下さい!
クラウザーさんがメロンを差し入れて下さる!
なんて羨ましいんだ!
ゴートーDMC!ゴートーDMC!

◇:その他

「セスタス」いつ読んでも感動する。エムデンに幸あれ。

「ユリア百式」は相変わらずバカでよかった。

「ふたりエッチ」いい会社だな、エッチの事ばっか考えてられて(怒)

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2006年04月27日(木) 経験バトン



Sail Aloneのリヴァさんから頂きました。
たいした経験無いです……。

入院:○ 交通事故で三日、今年6月に入院予定

骨折:○ 中学生の時、組体操で落ちて膝の骨にヒビを入れる。

献血:○ 割と大丈夫

失神:×  無い

風俗:×  

補導:× 

女を殴る:× 

男を殴る:× 

就職:○ 

バイト:○ あんまりした事無い。苦労した妹に罵られる。

海外旅行: ○ 何故かカナダに二回
        ついでにべガスとグランドキャニオンも

ピアノ:○ 大昔やってた、らしい

テレビ出演:×

ラグビー:×

合コン:○ 美人の友達の方は盛り上がっていた……。

北海道:× 母は何度も行ってる。

沖縄:× 知り合いが行ってる。
     コンビニに普通にあの三味線みたいなのが売ってるってほんとか?

エスカレーターを逆走:×

電車とホームの隙間に落ちる:× 

金髪:× 

ピアス:× 

ラブレターをもらう:○ 高校生の時、隣の席の男子に
            思えば一番男運が良かった時期だった……。

幽体離脱:×

先生に殴られる:○ 一生恨む。忘れない。

徒競走で一位:×

コスプレ:×

同棲:×

ストリート誌に載る:×

ナンパ:? あった様ななかった様な??

逆ナンパ:×

交通事故:○ 二回はやってる。

パーマ:○ 若い時、毛先くりくりにしてた。

飲んで記憶喪失:× 

浮気:× 

不倫:× 不可。 

TDL:○ 昔、何回か行った。

一人旅:○ 東京へだったら何回もある。 

赤点:○ 英語で赤点の常習犯だった
     全国模試で下位3%に入った事もある(--;)

芸能人と写真もしくは握手:×

オーロラを見た:×

魚をさばいたことがある:○ イワシとかアジとか…。

ピンポンダッシュ:× 

バンド:× 

漫画を描く:×

大人買い:○ ワーグナーのオペラ「指輪四部作」のLDを
       全部買うという暴挙に出た。
       今では邪魔者。同じ配役でDVDが出ている。

陶芸:× 

アロマ:○ インセンスでも焚かないとおネコ様の…(以下略)

オフ会:○ いろいろ行ってます。

転職:○ 

女(男)好き:? どっちかわからない。
        二次元キャラだと最近は王子様萌え(--;)

相手にコップの水をかける:× 

同性とキスしたことある:×

メガネっ子:○ 

コンタクトレンズ破損:× そもそもコンタクトレンズをした事がない。

遅刻:○ 学生の頃はもとより、社会人になっても常習犯。
     社会不適合者とは私の事だ。

一人でケーキホール一気食い:○

ライブ:○ 生シャルル・ドュトワ氏を見たのが密かな自慢。

バカップル:○ 私には縁のない言葉ではある。

札幌雪祭り:×

USJ:○ 英語わからんくせにその場のノリで単語を連呼
     何故か通じる

宇宙:○ ど田舎なので星空が綺麗よ。

二日酔い:○ チリ産のワインに悪酔して一日ダウンした。

自作PC:× 

家出:×

自炊:○

音痴:○

アクセサリー:○ 若い頃、自分で買ったケンゾーの三連リング
         シルバーが多い。安いから。

サッカー:× 

習い事:○ 塾も入るのだろうか?

親友:○ 
 
コミケ:○ 一時遠のいていたのだがエヴァで戻ってきてしまった(--;)

MMORPG:× 
 
社交ダンス:×

万引き:○ ナチュラルに買ったおぼえが無い本を持っていた。
      確信犯ではありません(--;)

宝くじ当たり:×

修羅場:○ なんかあった様な気がするが覚えていない。

ギャンブル:○ パチンコで五千円すった。
        以後行ってない。

三角関係:○ 見合い相手と好きな人、両方ともぶっ壊れたなりよ!

おっかけ:○ 

知らない人に話しかけられる:○ これも常習
                金髪の人から地元のおじさんまで
                理由がわからない!

リヴァさん、こんなんでどうですかね?

付け加える項目は「エスニック料理」

バトンは、いたばさん、むろのさん、時間出来た時で、二ヶ月後とか(--;)

他誰でもいいからもってってください。



2006年04月14日(金) 第272話「塒巻く者」、「クレイモア」、その他検査



❖今月の「クレイモア」❖
黒姫のおかげで拝んでません。
買っても邪魔になるだけだし…。

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□:「ベルセルク」第272話
「さぼってんじゃねえ」のガッツの言葉に
明らかに嫌そ〜な顔をするセルピコ。
内心(私はいつから貴方の舎弟になったんですか?)
くらい思ってるハズ(推測)。
ファルネーゼ様の命の危険がなくなったら
「お世話になりました」と書き置きして
ガッツ団から足抜けしてもおかしくない(と思う)。


■:十束一からげ
そんなセルピコもシールケが濡れるのは阻止した。
でもロデ、マニ彦兄、ドロは海岸に打ち上げられた
海藻の塊扱いだ。
たぶん視野に入っていないか
「貴方方、男でしょ。濡れたくらいでなんです」
くらいにしか思ってない(と思う)。

□:「朝な夕な拝んどるからの〜」
拝んでなんとかなるなら病院はいらない
と思うのも神は死んだ現代人ならではの感想なのか?
クシャーンではみんなが毎日拝んでいたら
ガニシュカが顕現して驚いて皇帝になってしまった
様な事情なのかもしれない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

◆:「DMC」◆
クラウザーさん、次は世界遺産を
女にしてやってください!
ゴートーDMC!ゴートーDMC!

◇:その他

「ユリア百式」は相変わらずバカでよかった

「ふたりエッチ」……あの世界は楽園なのであろうか?
体力無いからあたしにとっちゃインフェルノだ
モテないし(--;)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

□:他の漫画□

「ZETMAN」とか「ブラック・ラグーン」とか
どうなっているのだろう。
そして『Fate/stay night』のアニメが見たくなった。
セイバーがカッコいい。

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◇検査◇
子宮筋腫の疑いがあるのでMRI検査を受ける。
事前に造影剤投与の同意書を手渡され、そこにサインをする。
注意書きには「まれに死に至る例が…」
Σ(||゚Д゚)ヒィィィィ
のっけからビビる

14日検査当日、看護士さんが点滴の準備をするが
「あれ?あれ?」針が上手く刺さらないらしい。
やっぱりビビる

ベテランさんがきて二回目でおっけー
土管の様なMRI装置の中に入る
ゴンゴンゴンとやたらうるさい
そしたら看護士さんの指示がくる
「今から造影剤入れますね〜」
まだだったのか!造影剤が入るとなんとなく
リポDの風味が口の中に広がる。
「では呼吸を整えてくださ〜い」

「は〜い、吸ってしっかり息を止めて、撮りま〜す」
を五回以上繰り返す。窒息せえ言うんかい!
MRIが作動している時はなんだか腹部が暖かい様な気がした。
しかしうるさい。ヒーリング音楽でも流さないものだろうか?
看護士さんの裏では談笑してる声が聞こえるし。
気楽なもんだな?おい。

三十分近く土管の中にいただろうか?
待ち合い室にYアニマルを持ち込んでいた私は
「そういえばセルピコは嫌〜な顔をしていたな」とか
「土管に住んでいた芸人さんがいたな」とか考えて
不安を紛らわせていた。
しかしいい大人が待ち合い室でマンガ雑誌
しかも表紙は半裸の若いネーちゃん。
新聞に投書されそうな光景ではある。
「へんないきもの」の方がハードカバーだけあって
世間の風当たりは弱まったかもしれない。

検査終わり「は〜い、お疲れさまでした」
看護士さんが抱き起こしてくれました。
点滴の針を抜いてる時に
「子宮がんて食欲落ちますか?」と聞いたところ
「そんな事はないですねえ」と不安な事を言う。
ネットで調べても子宮筋腫とガンの症状の区別は付きにくいのだ。
今の私は「ご飯は美味しいから悪性じゃないかも」と
思っていたのだが、さらに不安増大。

帰り際に「副作用が出た場合」の説明書を渡される。
「一日たってからアレルギー症状が出る事もあるんですよ」
Σ(||゚Д゚)ヒィィィィ
「副作用が出た時は下記に連絡を」
夜の八時半までしか受けつけてないじゃん!
そして車で一時間半もかかる病院に連絡して
どうすればいいのか?

「お水沢山飲んでくださいね、造影剤排出されますから」
はい、帰りにとんこつラーメン食べました。
私のチョイスじゃないです、連れの希望です。
ラーメンの後にコーヒー飲んでげぶげぶでした。
しかもちょっとぼーっとして味もよくわかんなかったし。
う、ラーメンとコーヒーの混合液が喉に!

結局そんなに激烈なアナフィラキシーはありませんでした。
ちょっとだるくなったくらいです。
紅茶沢山飲んで排出も上手くいったみたいです。

ちなみに病院の近くにショコラティエの店があり
そこのチョコが大変美味しかったです。

結果は19日。
この腹の異物はなんなのだろうか?
夜になるとストレッチャーに乗せられて
「え〜もう手術!?聞いてないよーっ!」という
手術未経験緒の私には恐怖の夢を見ます。

他人の検査状況などつまらんでしょうが
自分の経験を整理する為に書いてみました。

「悪性だったらどうしよう……」という
他人様に読ませるのもわるい事も想像しましたが
書きません。
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2006年04月01日(土) 「デュランダル:durandal」1



 その刀鍛冶は、素晴らしい剣を鍛え上げた。
だが人の権謀術数渦巻く聖都では、剣でもって力を金を奪い取るやり方は古くなって久しい。
 ただ、名誉の為の決闘という貴族の戯れの剣は、切れ味より装飾の優美さ、雅さをもって評価された。他の理由で人は死ぬが、決闘で死ぬ人間は大概まぬけな者とみなされた。

「ごきげんよう、失礼してよろしいでしょうか?」

 刀鍛冶が鋼との格闘から、やっと一息付こうと手を休めると、その青年はそこにいた。ダチョウの羽と銀細工で美しく飾られた小粋な帽子を胸にあて、にこやかに笑いかける金髪の若い男は、どこからどうみても柔な貴族のご子息だった。「ちっ」彼は舌打ちをする。この青年身なりの良さに、取り次いだ弟子はつい工房の中へ入れてしまったのだろう。後でどやし付けなければ。親方である彼は怒りを胸にしまい込む。

「何の御用で?ここは聖都の貴公子様が来るような場所じゃありませんぜ」

「どうか取り次いだお弟子さんを叱らないでやってください。
 誰しも金貨の誘惑には勝てないものです。
 その上、僕が無理矢理通して頂いたのですから」

 刀鍛冶はますますもって機嫌がわるくなる。こいつらはいつだってそうだ。平民は金をちらつかせれば、何でも言う事を聞くと思っている。この街に、俺の作る剣を使う資格のある騎士なぞ、とっくの昔にいなくなった。
 今は聖都の貴族連中には飾り立てたなまくら剣を作り、たまにくる北方の傭兵達の注文でなんとか剣と呼べる剣を鍛え上げる。その繰り返しだ。
 そして外身だけ華やかななまくら剣の方が、まともな剣よりずっとずっと金になる。ますますもって腹立たし事ばかりだった。

「で、貴族の若旦那、ご用件は手短にお願いしますよ」

「聞き入れていただけますか」
 
 痩せて細面、金髪で伏し目がちのこの青年貴族は、ほっと安堵の様子を見せた。頑固で聞こえるこの刀鍛冶の気性を、伝え聞いていたのであろう。いかにも宮廷で貴婦人どもの受けが良さそうな、そうだ外身が美しいなまくら剣みたいな奴。

「僕に合わせた両手剣を鍛えて欲しいのです」

「へえ、で、装飾はどんなのをご希望で?」

「装飾は柄の部分ですが、それは後でお話致します。
 まずは”斬れる剣”を鍛え上げて欲しいのです。
 装飾はそれからでも十分間に合うかと…」

「”斬れる剣”か。あんた面白い事を言うな。
 お家のお抱えの刀鍛冶ではご不満で?」

 貴公子はヴァンディミオン家に使える者だと名乗った。
ヴァンディミオン家お抱えの刀鍛冶の鍛える剣では、若干自分に合わないので、貴方の所へ来たのだと語った。

「それじゃお手数だが壁に飾ってある剣から、あんたに合いそうなのを見つけてくれ。それを目安にして造る」

「はあ…では、失礼して…」

 工房の床には金床やハンマー、ふいごの使い古しが散乱して足の踏み場も無い。剣は壁に飾ってあるというより、無造作に並べてあると言った方が相応しい。金髪の若い貴族は黒いビロードの服にホコリが付かない様にか、危なっかしい足取りで壁に近づいた。
 彼はざっと壁に並んだ剣を一瞥すると、すぐに一振りの両手剣を手に取った。

「僕の体格では、このくらいの長さと柄がいい様です。
 これくらいの両手剣を、堅い鋼で刃は薄く鍛えて下さいますか?」

 刀鍛冶の親爺は、その見立てをなるほどと思う。
確かに斬るというより、叩く様な両手剣ではこの青年の手にあまるだろう。
そして聖都の貴族は、もっぱら片手で使う細身のレイピアなのだ。
時々使うにも、使い勝手のいい両手剣を求めてここに来たのだろう。

「若旦那、いろいろ散らかってて申し訳ないが、一つその剣をここで”振って”もらえませんかね?」

「はい?」

 若い貴族は、こんな狭い所で剣を振り回すのか?という顔をした。
もっともな事だ。綺麗なお召し物にも汚れが付く。

「型を見せてもらいてえんですよ。
 斬れる剣を欲しいってお方の腕がどんなもんかそれでわかる」

 金髪は納得した様な顔をした。お眼鏡にかなう自信がありませんが、と前置きし、手にしていたやはり黒のビロードの美しい帽子を、失礼とことわって椅子の上に置いた。
 
 ひゅっ。刃が空気を斬る音がする。狭い工房の空間で、両手剣での攻撃、防御、一通りの型を若い貴族はやってみせた。工房の柱にも、工房に置いてある道具にかすりもしない。見かけよりは使える男の様に見えただろう。

「如何です?」

 まあ及第点はやったという顔の貴族は、親爺の渋い顔を見て困惑した。

「気に入らねえ、気に入らねえな」

「僕には、親方さんにお願いする資格は無いという事でしょうか?」

 気弱そうにおろおろしてみせる若い貴族に彼は言った。

「あんた、人を馬鹿にするのもいい加減にしてくださいよ?
 あんたはもっと”出来る”筈の人間だ。
 剣を鍛えるのは真剣勝負だ。それにはあんたも本気出すのが礼儀ってもンでしょう?
 貴族連中の世界じゃそれで通じるんでしょうよ。
 しかし世の中、その薄笑いの下にあんたが何を隠してるか
 見破る人間もいるンですぜ?」

「………」

 若い貴族はうっすらと瞳を開いた。工房の親爺はさっきの殺陣を見て
感じた通りだと思った。
一見優しげに見えるこの青年の瞼の下、切れ長の瞳は、酷薄な灰蒼の色をしていた。

「……まだ名前も名乗っていませんでしたね。
 失礼しました、セルピコと申します。
 親方の様な方には礼を尽くさねばなりません。
 もう一度見て頂けますか?」

「ええ、ちょっとした小細工をしますが、それでもう一回
 振ってくれませんかね?」

「はあ…」

 刀鍛冶はそういうと、セルピコの前の埃にまみれた暖炉の上と
後ろの厚い板のテーブルに蝋燭を灯した。

「この蝋燭を”斬って”はくれませんか?」

 セルピコは無言で頷いた。
気のせいか、灰蒼の瞳が薄く笑った様な気がした。
冷える様な笑いだった。

 セルピコと名乗った金髪の若者は、特にかまえるという体勢も取らなかった。身体から余計な気負いや力をぬいている様に見えた。
 ヒュンッ。一瞬、風斬りが走り、蝋燭は炎を灯したままだった。セルピコの姿は風斬り音の前と同じ様に、剣を手に持って立っているだけに見えた。

「ちょっと、ごめんなさいよ」

 親方は蝋燭を確かめた。

「いいでしょう、上等だ。あんたが心底気に入る剣を
 鍛え上げようじゃないか、俺はこういうのを待っていたんだ」

「こんな事がですか?
 聖都の大道芸だって出来ますよ、こんな事」

 セルピコは、柔らかな物腰そのままに苦笑いを浮かべた。

「その大道芸が出来ない騎士ばかりになっちまったのさ、この街は。
 酒と金と女で、真まで柔らかくなっちまってやがる」

「僕も争いごとは苦手な口です。
 どうかよろしくお願いします。
 次はいつ頃お伺いすればよろしいですか?」

「十四回、太陽と月がめぐったら来てくだせえ。
 そのくらいにゃ大まかな形は出来てるでしょうよ」

 刀鍛冶は早くもフイゴで火を起こし、鋼を物色するのに忙しく、セルピコに背を向けたまま言ってのけた。

「ではお願い致します」

 無礼とも思える、刀鍛冶の振る舞いも気にせず、セルピコは帽子を胸にあて軽くその背に礼をして工房を出て行った。

 蝋燭は燃えていた。ただ、炎と蝋燭のわずかな間、灯心の綿糸だけが切断されていた。


----------------------------------------------

 
 
 太陽と月が十四回めぐったきっちりその日に、ヴァンディミオンの騎士は刀鍛冶の工房へと訪れた。今回は、弟子も心得て、名を名乗っただけで工房の奥に籠っている親方へ取り次いでくれた。

「こんにちは、ごきげんよう。またお邪魔致しますよ」

「おう、あんたか。待ってたぜ」

 今まで鋼を打っていたのだろう。上半身裸で、全身汗まみれ、煤まみれ。 
 うってかわって金髪の若い騎士は、髪の色に似合う様に薄い緑の生地に、光加減によって織り模様が浮かび上がる、洗練の極みの様なダマスク織のダブレットを着込んでいる。肩にかけた短いマントに、純白の白いレースで飾られた襟に袖口、やはり服に合わせた色の羽根つきの帽子を手にしていた。

「いかがでしょう?」

「装飾はまだですが、ご覧の通りです。
 若旦那が気に入りますかね?」

「……持ってみてよろしいですか?」

「もちろんですとも、さあ、手に取って得とごろうじろ、だ」

 セルピコが剣に思わず見入るその姿に、裸の刀鍛冶は満足そうな笑みを浮かべた。豪華な服に煤が付くのでは?と傍目に心配なほど無造作に、彼は置いてあった真新しい剣を手に取った。手袋のまま、鍛え上げられた剣の刃をそっと手の甲に乗せ、じっと見入っている。

「どうです?重さや柄の具合は?」

「……とても美しいです。重さも申し分ありません。
 特にこの刃は薄く軽く、伝説のダマスカス鋼の剣の様です」

 刀鍛冶は次の言葉を待った。

「……振ってみていいですか?」

「どうぞ、どうぞ。なんなら試し切りでもしますかい?」

 試し切りの言葉にセルピコは良いのでしょうか?とつぶやく。

「試し切りなんかにゃビクともしませんよ、この剣は。
 俺はそういう刃物を作ってきたんだ。
 試し切り用のワラ束を置いときます。さ、遠慮はいらねえ
 これはあんたのもんだ」

「ありがとうございます。ご好意、お受け致します」

 また失礼とことわって、美しい緑の帽子を傍らの椅子に置いた。

 ヒュンッ、ヒュンッ、ヒュンッ!
 工房の中は細かな塵が空中に浮き、天窓からの光が濁った空気を映し出す。その空気は、セルピコが剣を振るたびに縦に横にと切り裂かれた。机や暖炉の上につもった塵も、ふわりと浮かび上がるが、決してそれらの家具や壁を傷つける事はなかった。
 風斬りの音のみ響かせて、セルピコは狭い工房の中縦横無尽に剣を振ってみせた。まだ試し切りをせずとも、この狭い空間で、家具や工具にかすりもしないその高速の殺陣は、この人物が並々ならぬ剣の使い手である事を示していた。
 ヒュッ!セルピコは真横に剣を振った。ワラ束は音も無く真っ二つに斬れ、刀鍛冶の顔の前で刃はとまった。

「どうです?後は綺麗に化粧をしてやるだけでしょう」

 親方は腕を組んで、会心の笑みをセルピコに向けた。

「まったくです、もうしぶんありません。
 切れ味は鋭いですが、鋼自体がしなってそうそう折れもしないでしょう。
 僕には勿体ない程の剣です」

「何言ってんだい。
 俺はあんたがこのくらい”出来る”男じゃなかったら
 こんな剣は鍛えなかった。これは、あんたの剣だ。
 あんた以外にゃ”使えない”代物んだよ」

 はは、奇妙に表情の乏しいと思っていた若い騎士は、照れた様に笑ってみせた。そして、金や宝石で飾られるより、鋼むき出しのこの姿の方が美しい様に思えますと言った。

 この剣の価値には、まるで蛇足の様ですがと前置きし、セルピコは装飾の話をきり出した。

「柄に金箔をはり、孔雀石や胡蝶貝で象眼を、そうですねえビザンツ風にお願いします。そして柄と剣の間にこのエメラルドを、柄頭は金剛石で飾ってください。お代の心配はなさらずに」

 この豪勢な依頼に、さすがの刀鍛冶もほうと感嘆の声をあげた。

「これはとんでもない宝剣になりますな。承知しました。
 腕をふるいますぜ、期待して待っていてくださいよ」

 親方は久しぶりの大仕事に、心底満足そうだった。セルピコと象眼の文様を話し合いながら、こんな美しい剣を必要とするのは何かあるのか?と問うた。

「今度、聖都主催で馬上槍試合があるんです。それに僕も出場しなくちゃならなくて…。ヴァンディミオンの名誉を背負うとかで、大変なんです」

 刀鍛冶の、やはりお飾りの剣なのかと言う様な不満顔に苦笑しつつセルピコは答えた。

「しかし、若旦那、そんなお祭り事じゃ斬れる剣じゃなくても大丈夫じゃなかったんですか?」

「ア・ルートランスなんです」

 刀鍛冶は絶句した。通常、馬上槍試合はどちらかが槍で相手の甲冑に傷を付ける、馬から突き落とすで勝負が決まるのだ。ア・ルートランス、それはどちらかが死ぬまで戦う、一昔前に行われていた競技だった。

「旦那、何故なんの益にもならない様な、下手すりゃ死ぬかもしれない槍試合に出なければならないんです?」

 セルピコの、ひょろりとのびただけに見える、痩せて頼りない姿は馬上槍試合の重装備はいかにも重荷に見えた。ランス、ヘルムに全身を覆う甲冑、馬にもご丁寧に華美な装飾が施される。刀鍛冶はこの若者はまともにランスを持てるのかと疑った。

「僕の仕える貴婦人の望みなのです。騎士なら貴婦人の為に命をかけよ、とね」

「馬鹿げてる…戦でもないのに、今時そんな話が……」

「そうですね…、こんな剣ならすべてを忘れて地の果てまで戦える。そんな相手がいればいいんですが、現実はこんなものです…」

 僕の命を心配してくださったのは貴方だけです。剣が出来上がる日にまたくると言い残し、セルピコと名乗った若い騎士は帰っていった。

Ver.2へ続く


 

 


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