小ネタ日記ex
※小ネタとか日記とか何やら適当に書いたり書かなかったりしているメモ帳みたいなもの。
※気が向いた時に書き込まれますが、根本的に校正とか読み直しとかをしないので、誤字脱字、日本語としておかしい箇所などは軽く見なかった振りをしてやって下さい。
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雪と世界の果ての中(笛/渋沢と三上)(パラレル)。
2006年07月31日(月)
決めたんだ。俺は、俺の運命を変えてみせるんだって。
温度のない雪が、いつまでも降っていた。
光りながら落ちてくる雪。冷たさはなく、塵のように降ってくるというのに触れた瞬間溶けて消える。
この世のものとは思えないほど美しい塔が聳え立っていた。天頂は見えず、霧のような雲に隠れている。水晶の塔。ところどころに巨大な扉のような窓が見える。
圧倒的な存在感を放つ塔の前で、茶の髪を持つ背の高い少年が、歓喜に微笑んでいた。
「さあ見ろよ三上、これが女神の坐す塔だ」
彼が片腕を広げると、黒衣のローブが風に舞った。
禍々しい笑みだと、三上は半ば放心しながら友の顔を見つめていた。決して浅くない付き合いだと思っていたが、渋沢のそんな顔は初めて見た。
「やっと着いた。俺はここで、俺の運命を変える」
「…やめろよ」
やめろ、渋沢。
黒髪の下で、三上は搾り出すように呟いた。
これは誰なのだろう。穏やかで聡明で、いつも優しげに笑う渋沢克朗は、もうどこにもいないのだろうか。そんなはずはない。そう信じたかった。
微笑む渋沢は幸せそうなのに、その口元は歪んで見える。
「やめる? まさか、今更出来るわけがないだろう。ようやくここまで来れたんだ。俺は絶対に諦めない」
運命を変える女神の塔。辿り着いた運命の日。
友と二人、並んで旅をした日々の終着点だ。
「…ああ、そうだよ。運命を変えて、またあの場所に帰る。それだけでいいだろ、渋沢!」
「良いわけがないだろう。またこの後に別の『旅人』がやってきて、俺たちが変えた運命を再度変えたらどうするんだ。運命を変えるのは俺たちで最後だ。運命を変えさせ、女神を殺し、俺たちは戻る。それが最良の策だ」
「渋沢!」
何という不敬。何という大罪。いとも簡単に口にし、易々と遂げてみせると言う渋沢が、三上には信じられなかった。
声を張り上げ、ただ名を呼ぶことで制止とする三上に、渋沢は少し憐憫じみたまなざしを向けた。
「お前が嫌なら、無理にとは言わないさ。だが俺はやる。女神がいるから、運命は変えられるという希望が残るんだ。俺はもう自分以外にそれを許す気はない」
畳み掛けるように言葉を次ぐ渋沢の髪の上に、冷たさのない雪が降る。
深々と、彼の者の遠い嘆きを覆い隠すように、渋沢の上に雪が降っている。幸せそうに笑う渋沢の瞳の奥には、亡くした人たちが見えているのだろうか。
「俺は二度と失わない。それが俺の運命だ」
「…無理だろ、渋沢」
「無理じゃない。俺はそうするためにここに来たんだ」
「無理だ。たとえ元の世界に戻っても、またあいつらが戻って来ても、俺たちはヒトだ。永遠に離れない人生なんて有り得るわけねぇよ」
永遠を希おうとも、自分たちはヒトの身なのだ。神にはなれない。
取り戻すための旅だった。突如失った仲間たちと、優しかった世界。忘れるには思い出は幸せすぎ、捨て去るには辛すぎた記憶。
女神の坐する運命の塔へ行けば、願う者の運命が変えられる。辿り着いた者に女神はその願いを叶える。おとぎ話のようなその話に縋ったのは、いつかの三上と渋沢だった。
「…本当にお前が女神を弑逆するのなら、俺はもう行けない。ここでお別れだ」
もう、あいつらにも会えないけれど。
疲弊しきった心で、三上はどうにか笑ってみせた。
見せたくなかった。今の渋沢の姿を、かつての仲間たちには。
「お前がお前じゃなくなったなら、俺にはもう意味なんてない」
こんなに心が素直になれたのは、いつ以来だろう。かすかに首を振り、積もろうとする雪を黒い髪から払い除けながら、三上は空を仰いだ。
何も見えない。希望も絶望も、灰色の雲ですら。
仲間たちの声がもう思い出せない。
最初はただ、運命を変えることで取り戻したかっただけなのに。
「運命なんて、最初からなかったんだ」
友すら、もうどこにも見えない。
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超がつくほど適当なイメージのブレイブストーリーで三上と渋沢。イメージ。あくまでも幻界がイメージ。
ちなみにブレイブストーリーはこんな話ではありません(あってたまりますか)。
いい加減、映画の予告CMでほろりと来るぐらいなら本編を観に行くべきだとわかっているのですが、未だ行ってない。
芦川・ウェンツ・美鶴が見たいものですよ。
どうでもいいですが、職場で見事「几帳面でマメな人」の称号を頂きましたよ! 外面万歳!
A型でしょう? とよく言われるO型です。
自宅以外の部屋の掃除が得意です。でもパソコンの中と机の中は見ちゃダメです。
そういえば昼にぼへーっと新聞を読んでいたら、今の職場のことが記事になっていて(要は常駐しているクライアント先の会社名が出ていた)ちょっと嬉しくなったので自席に戻って記事をスクラップしてみました。
知ってる会社(とか人とか地名)が新聞に載ってると、妙に嬉しくなります。
特に今の常駐先はいい記事に出てくることが多いので(大半は新製品紹介ですが)見つけるとハサミで切り取ってます。
…こういう変なところでマメだから、外から見ると几帳面だと思われるわけですよ。まずはロッカーの中に溜まってる新聞をどうにかしろって感じですよ。
そういえば、去年も日記の更新月になると日記更新率が上がったことを思い出しました。
さあ明日はお台場メモリアルですよ!(世の中は夏休みってことですよね!)
運命が変えられるなら何を願うか。
漠然とはあるけれど、口に出すには少々年を重ねすぎたかな、と思います。
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夏の箱(種/シンとアスラン)。
2006年07月30日(日)
夏の風物詩であることは聞いたことがあった。
割れ物につき取り扱い注意。
赤い文字のシールが貼られた箱がシンのところに届いたのは、夏に入った非番の日の午後だった。一抱えほどの箱。軍雇いの業者が持ってきたその箱の宛先は、ザフト官舎街、シン・アスカ殿。
受け取った黒髪に紅い目の彼は、送り先の名前を見たきっかり五分後、赤い上着を引っ掛けて官舎を飛び出していた。
「な、何考えてんですかあの人はぁ!?」
「……カガリか」
服装規定に引っかかりそうな格好で執務室に飛び込んできた黒髪の部下を前に、アスラン・ザラは泰然と椅子に座りなおした。
シンが『あの人』と呼んでアスランのところに駆け込んで来るとすれば、まず間違いなくオーブのお姫様絡みだ。
普段からあまり収まりが良くない黒髪を一層乱し、前ボタンを留めていない軍服からはアンダーシャツがのぞいている。これが公務の場ならばまず服装を正した上で、説教を始めるところだ。
アスランの脳裏に、とても楽しそうにシンへの贈り物を選ぶ金髪の彼女の姿が浮かび上がる。
「お中元だな。ほら、伝票に書いてある。少し時期が遅れたが、あの国にそういう風習があることはお前も知っているだろう」
お中元。
中元とは、太古の暦で言う七月十五日のことだ。宇宙暦以前の中国大陸で発祥した道教の習俗であったが、後に別の宗教と混同され、死者の霊を供養する日とされている。この時期に世話になった人へ贈り物をすることを、シンの出身国では『お中元』と呼ぶ。
「いつぞやはお前に世話になったから、ということなんじゃないのか?」
「イ、イミわかんないですよ!? なんで俺? え、うわ、嘘でしょう!?」
「…落ち着け」
シンは封も切っていないベージュの化粧箱を両手に持ったまま狼狽している。
私用ということで気を楽にしたアスランは、机に頬杖を突いてそんなシンを見守る。シンは大して大きくもない箱を自分から遠ざけたり近づけたりしながら、視線を四方八方に彷徨わせている。
カガリも、大した魔性の女になったものだ。箱一人で一人の男を右往左往させようとしている。
「シンの正確な住所と好みを教えてくれという依頼があったから、答えておいたんだ。中は見てみたのか?」
「またアンタですかッ!!」
ぐわっとシンが顔一杯に、怒りとも憤りとも知れない表情を作った。面白い顔だとアスランは思ったが、頬杖を外さずに眉だけを若干動かした。
「アンタとは何だ。俺が上官ということを忘れるな、シン・アスカ」
「部下の個人情報売っといて何か上官ですかアンタは!」
「官舎に住んでいる以上、お前の住所は個人情報に当たらない。だいたいお前の情報を売る売らないを決めるのはザフトの軍規ではなくて、俺だ」
俺の好きなようにして何が悪い。
右の頬杖をやや傾かせ、呟いたアスランの言葉にはやさぐれた空気が漂っていた。
その様子に、シンはおや、と思う。
「あのー…アスランさん?」
「何だ」
「なんか、不機嫌ですか?」
「別に。いいんじゃないか? カガリは妙にお前のことが可愛くて仕方ないみたいだし、何せ元国民だし、知らない国で不自由な思いをさせて負い目があるみたいだしな。素直に受け取っておいてやってくれ」
「…別に俺はこういうのが欲しいわけじゃないし、可愛がられたくなんかもないです」
「俺はもらってない」
「は?」
頬杖を外し、背筋を伸ばしたアスランの緑の目が真剣だった。
「オ レ は 、もらっていない」
「……………」
嗚呼この人も疲れているんだな。シンはそう思った。
そういえば秋の組織改変を前に、何かと調整や会議などでここ数週間はほとんど高級仕官用の官舎に戻っていないという話を聞いたことがある。その合間にプライベートの連絡や、通常任務をこなし、出張に出ている。アスラン・ザラの体力は底無しなのかもしれないがそれでも限界があるのだろう。
「…あの、これ、いります?」
「いらん。アイスコーヒーの詰め合わせだ。好きに飲むといい」
「……………」
道理で大きさの割には重いはずだ。伝票が張り付いた箱を見ながら、シンは鬱陶しげに伸びた髪に指を差し入れている上官を眺めやった。
「あのー、なんであの人は、アスランさんにはないんですか?」
「古馴染みすぎて、今更お中元もお歳暮もない。その代わりに誕生日とクリスマスがある」
「…どっちもずいぶん先ですね」
「まぁ、別に今更な」
微妙に明後日のほうを見ながら、アスランは口元だけで笑っていた。
この人も、本気で想い人からの時節の贈り物が欲しいわけではないのだとシンにはわかっていた。ただ、妙にカガリがシンに何くれと世話を焼きたがるのが複雑なのだろう。
シンとしては祖国のお姫様に淡い恋心すら抱いたことはなく、これからも決してないと誓える。しかしアスランの心とは、全く次元が違う問題だ。
「とりあえず、突っ返さずに受け取ってやってくれ」
「…俺だけ貰うわけにはいかないですよ。プラントに来た元オーブ国民は俺だけじゃないんですから」
こういう償いの形が欲しいわけではない。箱を抱えながら、シンは受け取ったときとは別のところで途方に暮れた。
彼女が、ずいぶん前から自分のことを気にしてくれているのを知っている。個人的に知り合ってしまった、オーブの元国民と現国家元首。苦い繋がりばかり彼女とシンの間に横たわる。
「…そうか」
シンと目を合わせたアスランは、先ほどのやさぐれた雰囲気ではなく、ただ穏やかに微笑した。
「そういうことなら、俺から返しておこう。…たぶん、彼女は単純に知人としての立場からだったんだろうが、考えが甘かったな」
公私の区別をつけていなくて、すまなかった。
椅子を立ち、シンの前に立ったアスランはシンの手から箱をそっと取り上げた。すまない、と言った声音にはシンへの労わりと、カガリの行動について一旦の責任を負うものが滲んでいた。
どうしてあなたが謝るんですか。シンは軽くなった両腕を感じながら、アスランの態度に少しいらついた。
決して、あの箱は不愉快だったわけじゃない。戸惑い、狼狽したけれど、遠い祖国から届いた贈り物は初めてだった。遠い血縁はまだあの国にいるけれど、あの人が初めてだった。
何を思い、何を考えて、彼女はあの箱を選んだのだろう。
シンは誰かに物を送る習慣はほとんどないが、それでも相手が喜んでくれることを願って物品を選ぶ気持ちは理解出来る。
送り返したら、あの金の姫はきっと寂しがる。悲しむのではなく、寂しそうな顔をするだろう。いつか、シンの部屋で見せた横顔と同じように。
「…やっぱり、いいです」
「え?」
「それ、俺貰います」
遠ざかりかけていたアスランの前に行き、シンはその箱をもぎ取った。象牙のようなベージュ色は簡素で、伝票の宛名は手書きだった。
シン・アスカ殿。この宛名を書いたのは、彼女本人だろうか。
「やっぱり貰います。それで、俺からこういうのは止めてもらうように言います」
他人任せにするのはずるいことだ。彼女の好意も償いも、それに答えを返すのはシンが直接すべきことだった。
決然と顔を上げたシンの赤い双眸に、アスランがそっと笑うのがわかった。
「そうだな。そのほうがいいか」
「はい。一々、すみませんでした」
ぺこりと頭を下げ、退去しようとしたシンはふと思いつき、アスランの執務机の上を確認した。今は特に書類などは広がっていない。
「あの、隊長はアイスコーヒー飲めますよね?」
「あ、ああ」
「じゃあ俺これ今淹れてきますから、一緒に飲んで下さい」
一人で部屋で飲むよりも、そのほうがいい。
そう決めたシンは、アスランの答えを待つ前にさっさとドアのほうへ脚を向けた。
「すぐ戻りますから!」
「おい、シン!」
シンは、たとえアスランが嫌がっても絶対に飲ませてやるつもりだった。
そして彼女には、上司と部下という関係にある以上、部下だけが物品を受け取ったら人間関係に差し支える事実をしっかりと伝えねばならない。男というのは、意外なところで嫉妬深いのだ。
ありがとうございますと言うのは、社交辞令だ。
廊下を歩きながら、シンはお礼状の文面を考える。給湯室はすぐそこだった。
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…いつ振りの種なのか。
シンが好きです。シンとカガリを絡めるのも好きですが、シンとアスランの組織の中での関係を書くのも好きです。双子も(以下略)。
ちなみに私の中で、デス種の終盤あたりの記憶はすでに薄れています。知りません見てないもん知らないもん(しっかり見てるくせにどうなのそれ…)。
種に関しては妄想の世界でいいとこ取りして楽しみます。種作家さんは素敵作家さん率が高くてうはうはですよ。しあわせだー。
忘れがちなのですが、この日記は有料版なのでお金払って借りてます。
その更新月がそろそろなのですが、最近の日記の書いてない有様に非常にもったいなさを感じました。
なので、せめて土日ぐらいは出来るだけ書いていきたいな、と。
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今年の夏(笛/渋沢と三上)。
2006年07月29日(土)
戦えばいい。目指す未来に望む自分がいるのなら。
出る杭は打たれる。
三年間の中等部生活を終え、同校の高等部に進学した渋沢克朗にとっての半年は、まさにその諺通りの日々だった。
年功序列。古き者から上へ立つ。文武両道を謳う武蔵森学園の中でも、基本はその通りだ。強豪サッカー部も例外なく、部長は現存する部員の中の最上級生から、レギュラーは新三年生を中心に選抜されていく。
ただし、『渋沢克朗』を除いて。
「………………」
レギュラー部員用ユニフォームを着た渋沢克朗は、その日顎を引いた直立不動の姿勢で目の前の上級生たちを凝視していた。
することがなかった。
一軍とも呼ばれるレギュラー部員の自主練習枠として割り当てられた時間だったが、フェンスで区切られた人工芝のピッチには現在三年生の部員しか入ることを許されていない。
そこまではいい。よくあることであり、芝の負担を考えて投入される人数に制限のあるこのピッチなら納得も出来た。
しかし、ゴールキーパー部門の長とも呼ばれる副部長から渋沢に発せられたのは、『待機命令』だった。文字通り待機だ。自身の練習どころかマネージャーの手伝いやボール整理まで、すべての練習・作業を禁じられた。
かといって、一軍選手のフリー練習として与えられた時間である以上、何も出来なくとも寮に戻ることも許されない。時間一杯、他のゴールキーパー候補が練習している現場を眺めているしか、することがなかった。
青い空が広がる、盛夏の午後。傾きかけた日差しが少しずつ色を濃くしていく。
ため息をつくのだけは死んでもやらないと心に決めたとき、懐かしさに涙が出そうになった。
『出る杭は、打たないと目障りだ』
吐き捨てられた言葉を、三年が過ぎた今もよく思い出せる。あれは武蔵森学園に入学した一年めの夏だった。
強豪武蔵森学園サッカー部で、入学早々にレギュラーの地位を獲得出来た人間はそうはいない。この学校で1番以外の番号を背負ったことのない渋沢は、その現実を自分のものとして生きていた。
怪我に泣いた年ですら、ピッチに立たずとも渋沢は武蔵森の守護神だった。
ゴールキーパーは11分の1の割合しか存在出来ない。唯一にして無二。だからこそ同チーム内でのポジション争いは熾烈を極める。
いつもその中で渋沢は勝ち抜いてきた。どんな手段も使っていない。ただ、努力しただけだと自分では思っている。他にどんな手を使えというのか。
それでも縦階級が基礎として染み込んだ組織には、稀に下級生がレギュラーを奪取すると上級生の権利を傘に理不尽な命令を出す輩が後を絶たない。
忌まわしき風習だと、心から渋沢は思う。
暴れ出したくなるが、同時に今の自分の孤独さが悲しくもなる。一年生で唯一の一軍入りは、見知ってきた友人たちが近くにいないことを指す。慕ってくれた後輩もおらず、元より年上にあまり好かれない性格もあってか親しい先輩も大していない。
だからといって、絶対に俯くことはしない。ため息もつかない。暗い顔や歪んだ顔を目の前の先輩に見せるぐらいなら、睨みつけて後で注意を受けたほうがマシだ。
(…出る杭? 上等だ)
出る杭は打たれても出てやると、絶対に思い知らせてやる。
知らず腕を組み、ますますフェンス内を睨みつけた渋沢は、汗ばんだグローブの中の手を拳のかたちに変化させた。
「…お前、誰か殺しにでも行く気か?」
あきれ果てた声がおもむろに掛かったのは、熱気と殺気が入り混じる気配を察したせいかもしれなかった。
渋沢が顔だけで横を向くと、右隣によく見知った黒髪が現れた。真夏の陽光が、渋沢の友の髪を漆黒に光らせる。どれだけ太陽を浴びても色褪せぬ黒髪。
「…三上」
「懐かしいな、センパイ方の渋沢イジメ」
口の端を芸術的なほど皮肉げに歪め、三上が小声で呟いた。
センパイ、のくだりに侮蔑的な響きを感じたのは渋沢だけではないだろう。
「アレだよな、ああいうのって他人から見るとものすげ馬鹿に見える」
「…お前は自分がああいうのをやった自覚はあるのか」
「反省してる。それでいいだろ」
早口で三上が吐き捨てた。渋沢たちの学年でひそかにささやかれ続けた『司令塔交代疑惑事件』と『監督入院事件』の当事者らしい言い様だった。
「もうやるなよ」
「さぁ。あの程度でレギュラー掻っ攫えるなら、俺はまたやる」
「…後味の悪さを考えたら、俺には無理だ」
「今さっきまで背中で殺気振り撒いてたくせによ」
せせら笑う三上も、中等部の三年だった頃とは変わった。三上だけではない。また二軍から始まった新一年生は、全員がそうだ。
確定だったポジションはたった一年と少しで消えうせた。後はまた、一の位から這い上がらなければならない。そのための知略と努力と、攻撃性。
「面白いだろう。一軍しか知らない俺が、またこうやって爪弾きだ。笑いに来ただけなら帰れ。目障りだ」
腕を組み、声を上げながら緑の芝を駆け回る人間を睨みつける。渋沢には隣の三上が目に入らなかった。
「自慢してんのか卑下してんのかわかんねー言い草。俺は、この後俺たちの練習時間だから来たんだっつの。被害妄想すんな気色悪い。目障りはむしろお前だ馬鹿ッタレ。うぜーんだよボケが」
罵倒語の語彙で、渋沢が三上に敵うわけがなかった。
ごく自然に三上の口から飛び出てきた単語の数々に、渋沢のささくれ立った心は逆に落ち着いた。まさにその通りだと納得した。
そして安堵する。前を駆け回る上級生のように、碌に口も利いてくれないよりも、悪口でも三上のように話しかけてくれるほうがずっといい。
「…ぬるま湯だったなぁ」
「あ?」
ぽつりと渋沢は呟いた。
一軍と二軍とで練習場所も時間も異なるのが、武蔵森だ。三上とこうしてサッカーを前にして並ぶのは、久しぶりだった。
「中学三年の一年が楽しすぎて、こういうのがあったことを忘れてた」
「それが今じゃ、上には睨まれ、下はおらずで、クラスも知らない連中が増えるし彼女は中等部にいるしで、お前一人ぼっちだもんな。かわいそうになー。いい気味」
くくく、と喉の奥で意地悪く三上が笑う。
間違いなく、本心からだろう。司令塔として幅を利かせていた立場から、一転してタダのMFに格下げされた彼も、相当ストレスが溜まっているに違いない。
渋沢は、一人ぼっちという意味に思わず笑ってしまった。本当にその通りだ。寮ですら一軍と二軍が別れるような世界で、気づけば一人になっていた。
隣に三上がいて、久しぶりに大きく息を吸うことが出来た気がする。渋沢は腕を組んだ姿勢で、ちらりと三上のほうを見た。
「だからといって、腐ったら負けだよな」
現状の打破を諦め、停滞し、このままでも楽だからと言って困難から逃げる。曖昧な言い訳をして、いい加減に日々を過ごしたところで、未来で待っているものが今より優れたものであるはずがない。
「負けんに決まってんだろ」
ふんと鼻から息を吐いた三上が、彼らしい傲慢さで言い放った。
優等生の渋沢に比べ、三上のほうが底知れぬ強さがある。少なくとも渋沢はそう思っている。三上は、たとえ三軍からのスタートでもひたむきに、貪るように、欲するものを求めるだろう。
本当に同じ位置に立ったとき、最後に笑うのは飢えた心を満たそうと走り抜いた者だけだ。
最初から自分の望んだものが手に入るわけがない。かといって手に入らないからと、心を腐らせ、諦めたら、そのときも欲しいものは手に入らない。
不本意な立場でも、不愉快な処遇でも、自分たちにはそれを跳ね除ける努力と実力があると、信じたい。
「どうせあいつらはあと半年で消える。そうすれば当然、俺が行く」
新一年生で渋沢に次ぐレギュラー入りの二番手は、まだ名乗りを上げていない。憶測も出ていないというのに、三上亮は堂々と言い切った。
中等部で司令塔を張った日々は、着実に彼の中に息づいている。無駄な三年間はなかったと黒髪の中の双眸は語っていた。
とうとう身体ごと横を向いた渋沢に対し、今度は三上が腕組みをして笑っていた。
「半年で俺が行く、他の奴らも来る、一年経てば藤代たちが上がってくる。それまでにお前はあの馬鹿どもの後を均しとけ」
「お前…上級生に向かって何てことを」
聞こえるぞ、と嗜めた渋沢に三上は全く意に介していない。
「だってそうだろ。レギュラー獲られた相手を締め出したところで、結局自分が敵わないって言いふらしてるようなもんだ。馬鹿じゃねぇの。それでいて裏じゃ『渋沢は体格に恵まれているからいいよな』だと? マジで馬鹿だクソ馬鹿。いいよななんて台詞はな、死ぬほど努力して節制した奴が初めて言う台詞だろ。体格うんぬん言う割に自分の体脂肪のチェックすら怠る奴に、ヒトを羨む資格があるか」
「………………」
一体どこで三上がそんな話を聞きつけていたのか渋沢は知らないが、噂というのは大抵本人を避けて通るものだ。
意外なところで義理人情に篤い三上が、親しい人間への悪口に、どうやら怒っているらしいということは渋沢にもわかった。
「だいたいお前は、変なとこぼやんとしてるから締め出されんだよ。いい子にしてたってあの連中にゃ通じねぇっつの」
ナメられんな歯向かって蹴散らして潰せ。
多少音量は落としたが、間違いなく本物の意思を持った三上の声だった。おそらく、三上は三上で心底からのストレスが溜まっているに違いないと、渋沢はしみじみと悟った。
いま渋沢が先輩ゴールキーパー相手に喧嘩を売ったら、三上は爽快感で拍手喝采をしてくれた上で、大笑いするだろう。
「…他の皆は元気か」
「他の連中も似たりよったり」
「そうか。今度そっちの寮に行くから、適当に騒ごうと伝えておいてくれ」
武蔵森に入学した最初の年は、もっと孤独だったことを渋沢は思い出す。親元を離れた初めての年、初めての中学校生活、寮生活、先輩後輩のしがらみの強い世界。
初めから、立場も仲間も力も手に入れたわけじゃなかった。
最初は、本当に何もなかった。けれど今は、少なくとも愚痴を言い合える友や、歯を食いしばるのに必要な自負と誇りも手に入れた。
笛が鳴り、ミニゲームに明け暮れていた上級生たちがピッチの端に集まり始める。おそらく互いの課題点などを話し合うのだろう。そこに呼ばれない悔しさをかみ締めながら、渋沢は身体の横で拳を握る。
ゴールの前にいられなくても、グローブを外して背を向けたりはしない。
またここで、不動の地位を築く。
出来るはずだ。三年間そうであったように。
真夏の光を浴び、渋沢の髪が琥珀に透ける。身長はまだ少しずつ伸びている。それは運が良いのかもしれない。遺伝子にすら恵まれた。
けれど、その恵みだけで今ここにいるわけではない。正当な努力をいつも重ねてきた。恥ずべきことは何もない。
誰かを羨んだことはなかった。羨むよりも、近づく努力をしたほうがずっと早いと思っていたから。
「…悪いが、半年待ってくれ、三上」
「ん?」
「半年後、完全に正ゴールキーパーになる」
神の声を手に入れる。
一瞥した三上に不敵な笑みを見せ、渋沢克朗はフェンスの向こうを睨みつけたまま一歩踏み出した。背を向けた渋沢に、三上が小さく笑う気配が届く。
向かってくるなら蹴散らす。阻んでくるなら振り切ってみせる。嘘でも強がりでも、そう思わなければ戦えない。
「先輩、そろそろ俺も混ぜてもらっていいですよね!」
上級生への媚は、ゴールキーパーには不要なものだ。
胸を張った夏の日は、渋沢克朗の十六の誕生日だった。
お誕生日おめでとうございます。
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今年は間に合いました…!!
克朗さん、お誕生日おめでとうございます!
ってことで、渋沢月間本来の目的『克朗さんのお誕生日を祝う』です。
もはや誕生日何も関係のないネタですが。
今回、友人葉月ちゃんを筆頭にリクエスト上位に常にある『渋沢と三上』でした。
葉月ちゃんにはずいぶん前から「ヒロイン抜かした渋沢と三上で」とリクエストされていたのに、「そのうち書くよ」と言ってずいぶんお待たせしてしまいました。ごめんよ。
っていうか葉月ちゃんには、ズバリと私が『書いてて楽しいヒロイン』トップ3を当てられてしまいました。ぎゃ。
女の子はいいね。女の人じゃないんだ女の子なんだ、と思うのですが妙に変態くさいのはなぜだ。
そういえば、もう文庫版のネタには踊らないぜ…! と決意していたのですが、5巻の表紙には唖然としました。
え、だれ、なに、この縦じまユニフォームの黒い人。ちょ、いや、あの、アンタ何してんの…!? と。
別にこれが樋口せんせーがすごい好きなキャラとか、すごい活躍したキャラだとかならわかるんですが、表紙に三上亮。あいつは所詮名台詞「傷ついてるのは俺のほうさ!」ですよ?(それだけでもう一部で有名だけどね!)
お前がいるならいっそアニメ版笠井を出せ!! と思いました。アニメ版の笠井くん、かなり好きだ。
ちなみに私は名前変換を知るまで、三上亮は「みかみりょう」だと思っていた(当時森ではなく桜上水一辺倒でした)。
あ、当然5巻の後の6巻にはギャー!!な感じでした。
おお、ここで来たかミズユキ…!! と。嗚呼可愛いな小島さん。私にとってミズユキは笛カプの基本です。これが崩れたらもう原作読めない。
ところで、文庫版で次々と明らかになっていくあの人とかあの人とかあの人とかの設定についてですが。
すみませんが、このサイトでは見なかったことにして下さい。
ちょ、もう、無理、訂正追いつかない…!! という感じです。そもそも共学設定の違いからしてもう訂正することが出来ない。
作品全部下げたいところではあるんですけど、そもそもオリキャラまがいのものを出してる時点で原典との違いはどうしようもないので、樋口先生に土下座しつつ現状維持でお願いします。
以下適当に笛創作に関することをつらつら言っているので、裏設定とか嫌いな方はそのままスルーしてやって下さい)
そんなわけで、当サイトの渋沢克朗さんは一人っ子でお父さんはサラリーマンでお母さんは専業主婦で実家は新興住宅地の一般家屋でお隣はお医者さんの一家です。
書いてませんが、渋沢家は過去半年ほど、お隣のお母さん入院中につき、隣家の一人娘を居候させて面倒を見ていたという設定です。なのであのお嬢さんは渋沢家のお母さんも実母ではないけれど、中学生時代から「お母さん」と呼んでいます。
…こういう書くのに必要不必要問わず、ヒロインたちや原作で描かれていない部分での設定など、溢れるほどあります。
ヒロインのお嬢さんたちも、一人称から出身地、相手役との対比としての身長、口癖や口調など、じみ〜に紙にびっしり書いた設定集があります。…暇だったんだネ。
あと渋沢・三上部屋や松葉寮の間取りとか、武蔵森学園の規模と形態とか、真田のマンションの概観資料と間取り、作中の柏レイソルのチーム状態、三上の森卒業後の経歴、木田ヒロインの姉妹関係、英士の叔母設定、長瀬と香山さん、渋沢と高橋達也の中学一年時代、太一パパと百合さん、とか、明らかに「これいらない」と思われるような設定のメモ書きがネタ帳にありました…。
そのうちデータベース化しようと思っているのですが(公表するわけではなく私の資料用に)、結局時間なくて出来てません。
まあなくても大して困らないのですが、こう時間が過ぎていくと正直設定とかほんと忘れるので、ヒロインたちのメモ書きについては過去の自分ありがとうです。
でもサブキャラの名前をジャ●ーズから取るのはいただけないと思う。TOKIOが全員いることに、一体誰が意味を見出すというのか(若さって馬鹿と紙一重ですよね…)。
そういや最近新聞にどうしても甲子園の記事が多くなるわけですが、昼休みに地方版(神奈川)の甲子園球児たちをクローズアップした記事を読むと泣きそうになります。
特に終盤に入ると、すでに代表校が決まってる県もあるのに神奈川はまだ準々決勝にも至っていないことがあったりと、出場校の数の差がまた泣かせる。
神奈川の甲子園球児になるために、あの子らは何回試合やってんだー…。
同時期に、ベルマーレの専属ピッチとクラブハウスが移転するという記事に、また別の意味で泣きそうになりました。
別にまだベルマーレが金銭的な問題でJリーグにいられなくなったわけじゃないんですが…(近い将来そうなりそうで非常に怖い)。
それにしたって、新聞はやっぱり朝読みたいものです(朝起きられないので電車の中と昼休みに読んでるわけなのですが)。
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たまにやってみるバトン。
2006年07月28日(金)
忘れた頃にふっと思い出す。それがバトン。
受け取ったものの走り出さずに全然違う方向を見ているような輩です。
当たって砕けろデスクトップバトン〜デスクトップと机の引き出しの中の印象は同じ法則〜。
注:正式名は「デスクトップバトン」です。
・あなたのデスクトップを晒して、一言どうぞ。
…VAIOユーザーですから(※2005年冬VAIO限定デスクトップ画像)(面倒くさくて変えてない)。
・OSは何?
WindowsXP Home Edition
灰色なのは、システムをパフォーマンス優先にしているからです。単純にクラシック表示にしてるだけじゃない。
・これはあなた個人のパソコン? 職場や家族共有のパソコン?
イチから全部自腹切ったVAIOデスクトップ様です。
個人のようで、妹が使えるようにWindowsのアカウントは二つあります。
ノーパソもWindowsXPだけど、あっちはパフォーマンスを最初から期待していないのでいわゆる青色画像使用のWindowsXPになってます。
・この壁紙は何? どこで手に入れた?
堂々たるソニー製、VAIO2005年冬季限定画像。
VAIOの公式ホームページでもらってきました。当時職場のデスクトップもこれでした。
・壁紙は頻繁に変える?
…変えてないから、2005年の冬のままです。
そのうち変えるよ、そのうち。
・デスクトップのアイコンの数はいくつ?
たくさん。気がつくとそのうち増える。デスククリーンアップ機能? 使ってないね!
・ファイルやショートカットがゴチャゴチャしているデスクトップ、許せる?
許せ。
(上記でご覧頂いた通りなのが日常です)(会社のはもっとひどい)。
・何かこだわりはある?
タスクバーは縦。
横はウィンドウが増えるたびに各窓の幅が変わり、目を落としたときに視覚的に「このへんにこれがあった」というのがわからなくなるのが非常にイヤ。
…その前にほっとくと窓を10や20は平気で開いているのが悪いとも言う。
・今回、このバトンが回ってきてからこっそりとデスクトップを整理した?
してない。別にファイル名がわからなければいいやと思って。
・最後に『この人のデスクトップを覗きたい』という5人
えーと、じゃあ折角なので。
:薫平さん(大変ご無沙汰してます…!)
:東香需さん(体に気を付けてお互い働きましょうねー…!)
:あや乃さん(今年はみかあやシーズンに乗れなくてすみません…)
:神咲さん(実は意外と整理されてるのは知ってるんですけどね…)
ちなみに私はデスクトップがどれだけ人様から見れば「片づけろ!」と言われるような有様でも、自分ではどこに何があるのかわかってるんですよ!(ありがちな言い訳)
画面向かって左側は使用頻度が高いもの、右端は仕事関係のもの、真ん中から上はサイト関係、とかいう感じで。
最近非常にごっちゃになってきたので、いっそ大事なデータだけ外部に逃してCドライブだけリカバリするかー…という感じになってきました。
致し方なく、ではなく自主的な初期化。前向きで、すがすがしいではないですか!
しかしその後の設定をもう一度変えなければならない面倒さが、私を阻む。
…まぁそのうちね(こう言っている間は永久にやらない)。
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あの空の向こう(笛/渋沢と笠井)(未来編)。
2006年07月22日(土)
雲が流れる。風が飛ぶ。時は過ぎる。
人生を長い旅路だと言い出したのは誰なのだろう。
長い道程の中、気づいたらここに辿り着いていた。そんな人生を歩んでいたのかもしれない。それで良いと、彼は決めたのかもしれない。
「まさか、連絡をくれるとは思わなかった」
梅雨明けの真っ青な空の下で、首にタオルを掛けた渋沢克朗は、心底からの呟きをもらした。夏の緑の匂いが濃い、萌える芝の間近で。
ジャパンリーグ、通称Jリーグは八月の折り返し地点までもう間近だ。渋沢がプロ選手として所属する球団も、涼しい午前中の練習を終えたところだった。
「…一度は、ちゃんと挨拶しなければならないと思って」
細いストライプのシャツにストレートジーンズ。爽やかな装いをした渋沢の後輩は、懐かしそうにサッカーピッチを見渡し、目を細めていた。
休日姿の彼に対し、渋沢は動き回った汗と埃を吸った練習着のままだ。相手が訪ねて来るのが事前にわかっていたのだから、予め姿を整えるのが礼儀だとわかっていたが、この後輩にはわざとこの時間と場所を指定した。
笠井竹巳が、ピッチを去ってから何年が過ぎたのだろう。
「懐かしいか?」
「そうですね」
「どうせなら少しやっていくか?」
「部外者が入るわけにはいかないでしょう。俺は革靴ですし」
よぎらせた遠いまなざしを微苦笑で消し、笠井は渋沢の誘いには乗らなかった。彼ももう二十四歳に近づいている。十年前には読めなかった先輩の思考も、あの頃よりわかるようになった。
盛夏の猛烈な熱を宿した正午の風が、短い芝を通り過ぎて二人に当たる。
「結婚されるそうですね。おめでとうございます」
如才ない微笑みを浮かべて、笠井が言祝いだ。渋沢の記憶にあるよりも線が細くなった面差しに、少年時代の彼が重なって見えた。
「ありがとう。手紙は届いたんだな」
「届いたから連絡して、約束したんですよ」
よく俺の今の住所わかりましたね。
関心と感嘆、両方を含んだ笠井に、渋沢は乱れた前髪を手櫛で梳いた手で頬を掻いた。
「まあ、あらゆるコネを使って」
「…どんなルートかは聞かないでおきますよ。むしろ聞きたくないんで。怖いから」
「必要だと思ったら俺は誰の手だって借りるぞ」
「知ってます」
本気になった渋沢は手段を選ばない。そして昔からの義理堅い性格は、過去の人脈を未だ保持し続けている。笠井の困ったような顔は、そんな先輩を知っている後輩の表情だった。
「…俺はそこまで手を掛けさせる価値はないと思うんですけど」
「うちのが、笠井が来ないなら武蔵森サッカー部は全員来るなって駄々を捏ねた」
「馬鹿な冗談やめて下さい。彼女が怒りますよ」
「似たようなことは言った。藤代がいて、笠井がいないのは寂しいから見たくないそうだ」
「ずいぶん違うじゃないですか」
「そうか?」
渋沢はそらとぼけた返答で、視線を他所へ投げた。
ピッチ脇にあるクラブハウスの専用駐車場から、飲料会社のトラックが出て行くのが見える。自動販売機の補充のために二日に一度は見られる光景だ。
この風景が、近年の渋沢の日常だった。緑の天然芝、向かってくるサッカーボール。仕事明けは必ず汗と泥と埃の匂いがする。
「ずっと一緒にいるわけじゃないんです。…いつまでも、俺とあいつはセットじゃありません」
「それでも、彼女にとって、笠井といえば藤代、藤代にとっては笠井なんだ。初めて会ったときからそうだったんだろ?」
「中学一年のとき、俺の後ろの席が彼女で、俺の席によく藤代が来てたんです。それで、初めて話したときも俺たちがたまたま揃っていただけです」
「さすが、よく覚えてる」
衰えぬ記憶力。二十四で衰えてはたまらないと笠井は言いそうだったが、渋沢にとっては懐古と少しの安堵を呼ぶ。
昔の笠井はこうだった。人間関係のエピソードを、正確に記憶に刻み込んでいる。何かの暗記に優れているというよりは、他人に対してきちんと興味を持てる人間だった。
義理堅いというのも違う。ただ、人間関係を投げやりにしない誠実さが、笠井竹巳だった。
「まあ折角こっちまで来たんだ。中見てくか?」
「Jリーグのクラブハウスは気になりますけど、俺はここでいいです。お構いなく」
クールさを垣間見せ、笠井はピッチ脇にあった水色のベンチを指差した。ささやかな屋根がついた水色のベンチはペンキが剥げかけているが、座る分には差し支えない。
「じゃあせめて飲み物でも持ってくる」
「構いませんってば。時間ないんで、五分で済みます」
「…………」
時計を見ながら手で渋沢を制した笠井は、その一瞬渋沢の後輩ではなかった。歳の近い社会人同士。笠井の態度に、渋沢はかの学校の厳しい縦階級のことを忘れかけた。
「五分で終わる話のために、お前は来たのか」
「電話でも良かったんですけど、渋沢先輩の番号知らなかったので」
渋沢は、どうにかため息をこらえた。
燦々と当たる日差しに、自分の前髪が琥珀色に光っているのが見える。渋沢の茶の髪も、笠井の真っ直ぐな猫目も変わらない。それでも、見つめ返してくる笠井の顔つきは、少年時代の柔和さが欠けていた。
「俺は、先輩の式には行きません」
そう言われることを、笠井が訪ねて来ると知ったときから渋沢は予測していた。
「…そうか」
水色のベンチに座る必要はなかった。渋沢は首にかけたままだったタオルの両端を引っ張りながら、空を仰いだ。
青い。
「そうか」
もう一度言った。
仕方ないよな。お前にも都合があるだろうし。
そう言って、物分りが良く、穏やかで分別のある元キャプテンを演じるのは造作もないことだった。長い間そうしてきたのだ。今更難しいことではない。
ただ、ここで簡単に許諾しては、時間と労力をかけて笠井の所在を調べ上げた努力が無に帰す。そして、笠井を心配している婚約者に合わせる顔がない。
「昔喧嘩別れした友人と顔が合わせ辛いなんて、言わないよな?」
「初恋の女の子の結婚式には出たくないというしみったれた感傷です」
「……」
「うそです」
ふっと、笠井が吹き出した。よほど渋沢が面白い顔をしたのだろう。破顔した笠井の口元に、演技の様子は見当たらなかった。
「…結構色んな人に心配をかけたのは、申し訳ないと思います」
淡々とした笠井の声は、鮮烈な夏の光を色褪せたものにさせた。
自分はもう、後輩の悩みを聞く先輩には成り得ないのだと渋沢は嫌でも悟った。
それでも、意地でも、先輩面はしたかった。所属の壁を過去に押しやり、同等の友に、笠井ともなれると思っている。しかしどれだけ時が流れても、クールで繊細な笠井竹巳は可愛い後輩だった。
「…社会生活を送るっていうのは、しんどいよな。お前も小学校の先生じゃ大変だろう」
「教職は、それほど実力至上の世界ではありませんから、先輩ほどでは」
「どちらがどれだけ大変かなんて、決められるわけがない。たとえ同じ道を選んだとしても、その道程が大変かどうかは、その人次第だ。お前と藤代は資質が違う。苦痛に思うことも違っていて当たり前だった」
青い空に、白い雲が流れ出した。西から東へ。空の絵がかたちを変える。
笠井竹巳。藤代誠二。彼らが仲違いをしたまま卒業したと聞いたとき、渋沢はすでに卒業していた。彼ら二人が卒業後一度も連絡を取り合っていないと聞いたのは、数年前のサッカー部の同窓会のときだった。
何があった。
意外としか思えなかった。仲の良かった二人。サッカーに愛され、天才と呼ばれた藤代。実力は及ばなくとも堅実で着実なプレーと、落ち着きと面倒見の良さを買われていた笠井。
子どもではなく、ましてや友人同士の問題だ。そう思い、不思議に思っても深く関わりはしなかった。調停に立つには遅すぎることも重々承知の上だった。
「…藤代は、元気でやってるみたいですね」
「ああ、あいつは怪我に強いな」
不意に、笠井の口元に届かないものをいとおしむような、手に届かない花を愛でるような笑みが浮かんだ。
「元気でやってるなら、それでいいじゃないですか」
仰ごうとした視線が、たまらず緑の芝に落ちる。
「もう、サッカーだけが生活のすべてじゃないんです。俺もあいつも、もう子どもじゃないんですから」
「子どもじゃないなら、意地や感傷に囚われて、顔を合わせたくないなんて理由で先輩の結婚式を断るな。だいたいその言い草じゃ、まるで別れた彼女に会いたくないと言ってるように聞こえて仕方ない」
「やめて下さいよ」
うんざりした笠井の声だったが、本当にうんざりしているのは自分だと渋沢は思った。
何故、自分の結婚式まで後輩の仲直りのお膳立ての場にしてやらなければならないのだろう。
「だいたい俺は、式に行けない理由を藤代のせいだとは言ってません」
「他に何がある」
「仕事です。休日でも色々あるんです」
「冠婚葬祭を断れないなら、公務員も大したことないな」
「…年収六千万を稼ぐ人は違いますねぇ。さすがですよねぇ。先輩から見たら薄給の公務員が日夜汗水流しているから、日本は成り立つんですよ」
「どうして俺の年棒を知ってるんだ」
「Jリーグ名鑑見てませんか。推定年棒が記載されてるんですよ」
「情報収集も怠り無いのか、お前は」
「武蔵森の隠密と呼ばれた男ですよ、俺は」
腕を組み、恥ずかしい青春の二つ名を誇った笠井が、ふんと鼻で息を吐いた。
この後輩や、同じ学年の友人や、さらに下の後輩、厳しい監督、真面目な顧問、健気なマネージャー。多くの人たちと、あの時代を築いた事実を渋沢は忘れない。
あの頃、楽しかった。最後がどうであれ、笠井もきっと。
「当日もその調子で来てくれ」
顔を見ずに、渋沢は言った。笠井はきっと見られたくないだろう。強張った表情も、迷ってる横顔も。
「みんな待ってる。たまには顔、見せてやってくれ」
待っている人がいる。耳障りの良い響き以上に、渋沢はそれが事実だと思った。
笠井を待ってる人。笠井にまた会う日を楽しみにしている人。かつての仲間が揃って、祝いの席に集まれる。それもまた、成長した自分たちの人生の楽しみの一つだ。
「………やっぱ、手紙で断るべきだったんですね」
やだなぁ、もう。
どこか途方に暮れた笠井の声は、彼の顔に覆われた片手の向こうから聞こえた。
「渋沢先輩に会っちゃったら、またあいつとの繋がりが戻って来るんだって、わかってたのに」
友。幸せを祈る、成功を願う、今はもう進むべき道が遠く離れた友。
後悔を後悔と言うのはつらい。友は彼一人ではない。けれど、心の澱となってたゆたう、冬の日の決別。
「これじゃ、まるで俺があいつのこと気持ち悪いぐらい好きみたいじゃないですか」
風が緑の上を流れていく。白い雲が、空を流れていく。
時は戻らず流れる。衝撃をやわらげ、傷を癒し、明日への活力を取り戻させる。
渋沢は何も言わなかった。
ただ、手を伸ばした。笠井の肩を、穏やかに叩く。
あの頃と同じように。
***********************
何かっていうと宿題を残したまま片付けず、ずるずると時間が過ぎていってしまう当サイトにおいて、これもまた片付いていない宿題。
藤代と笠井問題(…………)。
ちなみに今月は公言してませんが、隠れ渋沢月間です。
※渋沢月間=小ネタ日記において、ともかく渋沢ネタだけで埋めつくす7月のこと。7月は渋沢さんの誕生日なので。
真面目に仕事が忙しくてですね…。
8時出社、20時退社の日々はもうこりごりだと思っていたのに…。大きな仕事が片付いたと思ったら、迫り来る通常業務でトラブル発生でうにゃむにゃ。
7月あと何日よー…。
置いといて。
本日の小ネタ。関連作は以下です。
1:あの空の向こう(藤代と笠井)
2:手紙(笠井のみ/ヒロインあり)。
…笑っちゃうほど懐かしいようなそうでないような。うん、初出は4年前の夏です。ワールドカップ一周したぜ!
1はともかく、2については今回からちょっと変更になった箇所がちらほらあります。笠井くんは小学校の先生になってもらいました。2007年世代。
笠井ヒロイン、デフォルトとはいえ名前すらないまま4年も放置。今書いたらもうちょっと印象違う子になると思います。この2にある笠井ヒロインは、ほとんど真田ヒロインの原型だと思われます。
4年。このネタと照らし合わせるなら、笠井がまんま森卒業〜大学卒業、の年月なわけですが。
18歳から22歳まで、何を思って生きていたか。自分と照らし合わせると、決して長くも短くもない時間だとしみじみ思います。
4年間あたためていたと言えば聞こえは良いですが、実際時間は山ほどあったろうに何できちんと書いていないのか悔やまれます。
宿題を、忘れたわけじゃないのよ的な小ネタでした。
…っていうかこれ真田シリーズより前に書いてたネタなんですけど。どうすんの(ダメっぷりを披露)。
全然関係ないですが、ブレイブストーリーが観たいです。
CMで泣きそうになりました。
だってさ、だってさ、
「一緒に帰ろう、ミツル……!!」
ですよ? 松たか子だとわかっていても泣ける。
ちょ、おい、ま、ミツル、どんなミツルになってんだ……!!(※一番彼が好き)
たぶん絶対、最後がどうなるかわかっている分だけ、途中で泣き出しそうな予感で一杯。見事にミツルは私のストライクゾーンです。判官贔屓全開ですよ! 原作でほんと大好きだったさ! 美鶴って名前も可愛いよね。
まあどんだけアレでもミツルの声はアレなんですけど。
ミツルのために1800円出しても惜しくない。心から。
まだ観てませんが、上記のワタルの叫びのように、ミツルにとって良いエンディングでありますように…!! っていうかそんな台詞原作にない!
どうでもいいけど、ウェンツと滝沢秀明の顔は似ていると思う。滝沢の顔をもうちょっと掘り深くするとウェンツだ。
え、ダメ?
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最後のあいさつ(笛/渋沢と三上)。
2006年07月06日(木)
キラーパスの異名は、海の見える土地で流れたという。
味方への優しさは、敵への油断に他ならない。
そう強く説き続けた人と、渋沢克朗は同じピッチに立ったことがあった。
「…いーよなぁ、お前は」
おもむろに切り出された、羨望の言葉。相手らしからぬその響きに、渋沢は杯を傾けながら苦笑する。
金曜日の居酒屋は、場所柄かスーツ姿のサラリーマンが溢れている。渋沢は生憎と私服だったが、午後にこの近くで仕事をしてきたという待ち合わせ相手は夏用のスーツを着用していた。
「いいだろう」
「くそ、あと二年でいいから」
あと二年、舞台に立っていてくれたなら、追いつけたのに。
友人がそのように続けたかったのかどうかは、渋沢にはわからない。敢えて問わずに、渋沢は黙って焼酎の中の氷をのぞきこんだ。
「至宝だぞ? 至宝って言われたなら、三十過ぎたってさー」
「そうだな」
酔っ払い相手に逐一反論してはやってられない。渋沢は適当に相槌を打った。
2006年7月3日。FIFAワールドカップドイツ大会も終盤に近づいたこの日、日本サッカー界に衝撃が走った。日本サッカー界の至宝、キラーパスの代名詞と呼ばれた名選手の、現役引退。
優しいパスを厭った。味方が取り易いパスは、敵に盗られ易いパスだと。結果が出せなければプロではないと言い、ミスした後のブーイングやピッチで転ばされるのは嫌いだと強く言い放った横顔。
「技量だけじゃなくて、すごい人だったよな」
「…死んだみたいに言うなっての」
「お前と同じ誕生日だったっけか」
「そ。歳違うけどな」
ぐいぐいとジョッキの中を空にしていく友人を、渋沢はすでに止める気はなかった。元より明日は休みだと聞いている。適当なところでタクシーに放り込めば自宅には辿り着けるだろう。
酔客のはじける声が、店の奥から聞こえる。出入り口に近いカウンター席は二人の他に人はおらず、最も良く聞こえるのは会計の際のやりとりだ。
「…十代で、世界に行った人だもんな。苦労もあったんだろうけど…」
「絶ッ対、死ぬほど努力もしただろ。あー…クソ、もったいね」
「引き際は、人それぞれだからなぁ」
妙にほのぼのした渋沢の声が癇に障ったのか、黒髪の友人はじろりと隣を睨んだ。
「お前はいいよな」
あの人と、一緒に全日本代表でいられたんだから。
並外れてプライドの高い友人にしては、奇跡とも言える台詞だった。それほど名選手の引退が尾を引いているらしい。同じポジション、同じ司令塔として、学びたいことは数多くあったはずだ。
「…いいだろう」
謙遜せず、渋沢は小さく、豊かに笑った。
尊敬出来る同職の先輩たちは、他にも沢山いる。監督やコーチ、バックサポートの人たちにも、感謝と憧れを抱く人たちは大勢いる。
その中には、まぎれもなく日本サッカーを背負って立っていた彼も、含まれる。
「もう一回、乾杯するか」
「……ん」
少年時代の憧れを、大人になって改めて。
「中田に乾杯」
十年間、お疲れ様でした。
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かなりの主観による、中田現役引退小ネタ。
7月3日、夜九時過ぎ。わたくしは風邪による高熱(当時39度8分)によってひっくり返っておりました。
半分朦朧としながら「HERO」のスペシャル版を背景に、うどんを食べようとしていた頃合でした。
中田英寿 引退 速報 が 流 れ ま し た 。
…あー…うん、ほら、なくな、泣くな私。十分ありえたことじゃん! 何か一つだけが一番になりすぎてそれがなくなったとき自分が自分でなくなるのは怖いとか言っちゃう人らしいじゃん! サッカー選手のくせに会計の勉強したいとか言っちゃうような人じゃん!
Q:中田英寿は好きですか?
A:大好きです(即答)。
選手としては、たぶん川口のほうが上ですが。
…まあ、現役引退したからって中田は中田だしね!(何その知り合いみたいな発言)
日本の至宝、というのは以前JFAの公式サイトにあった中田のキャッチコピーです。
キラーパスは、フランス大会以前、ベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ)ではごく当たり前に発露していた中田の代名詞でした。
ほんとにすごい人だったんだなぁ、と思います。今更ですか。
サッカー馬鹿にはなりたくない。サッカーしか知らないで、いつかそれを手放したとき、何も残らない人間にはなりたくない。
正直この発言を聞いたとき、カルチャーショックを受けましたよ。
マスコミの事実の一片しか見せない有様に対して、黙することではなく自らの発言をすべて出せるホームページという方法で対抗した姿とか。
ピッチでぶつかりあって簡単に転ぶのはみっともないから嫌いだと言い張る姿とか。
サッカー選手としても非凡な選手でしたが、人間として大変私は好きでした。
…着心地と機能性が気に入ったからって、同じブランドの色違いのコート全部買い占める太っ腹っぷりもあこがれたよ(庶民だから)。
これから彼がどのような第二の人生を送るかは知りませんが、まだ29歳。普通の人だって転職迎えたっておかしくない時期ですから、後はもう平凡な人生送ったっていいんじゃないかねー(各界がほっとくとは思えませんが)。
どんな道でも、法と倫理に則った世界にいる限り、応援したいと思います。中田が脱税とかしたら私別の意味で泣くぜ。
長い現役生活、お疲れ様でした!
…ところで、ベルマーレのスポンサーはまだ続けてもらえるのかしら。CM出演とかTO鳩さんとこの取締役は続けるなら、収入あるからベルマーレへの支援はまだ続けて頂けると大変有難い。
っていうかベルマーレの役員に就任とかして、あの財政を立て直して頂けないでしょうか!!(まずはその名声で集客率アップを…!!)
調子に乗って色々書いてましたが、すいません実はまだ熱が38度以下にならないのでしばらく休養します。
三日間、ずっと38度以上の体温で過ごしていたら、3キロ痩せました。わーいダイエットー。
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