折れた傘
息子が中学のとき、私の誕生日に買ってくれた傘が折れた。
聞いた瞬間、涙が止まらなくなった。
退院時に
40kgをきらないように。きったら病気です。
と医者が言った。
今、私の体重は39kg代。
届いたときに、わざわざ切り離し封筒に入れておいた控除証明書が
どこかにいった。
なくしものなんか滅多にしないのに。
3日間、部屋中探し回って見つからない。
彼の顔を4日見ていない。
日に5回も6回も電話をくれる。
声だけじゃなく、顔を見ながら話したい。
引き落とし用口座は、いつも前もって計算し、必要額をいれておく。
昨日気づいた。
100円足りなかった。
部屋の鍵を盗まれて、付け替えた。
眠ると、必ずいやな夢を見る。
寝不足なのに、明け方目を覚ます。
髪を切るのに、店を変えた。
一昔前の中学生のような髪型になった。
痩せすぎて、パンツもスカートもずり落ちてしまう。
そして、傘が折れ、心が折れかけ、泣いてしまった。
折れた傘は、修理に出してくれた。
時間はかかるけれど、戻ってくる。
きっと私も心と体も、また戻る。
彼がいるから。
2006年11月05日(日)
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