2014年06月21日(土)...混濁
交差点では、複眼の様な紅い瞳がじっと此方を見詰めていた。漆黒の海に幾つもの白波が平行に走り、何処までも続いている。青い煌めきに導かれ、誰しもがふわふわと渡ってゆく。如何して。其れが不思議で堪らない。
一歩、踏み出せば溺れて仕舞いそうで、躊躇ったまましゃがみ込んだ。気持ちが悪く、頭が割れそうに、痛い。引き攣れた胃がぐっ、と収縮するのが解る。食道を刺激する其れを、飲み込む。
もう、駄目かもしれない、と思う反面、世界が、揺ら揺ら揺らめいて綺麗で、蛍光色に彩られた天上と、闇にも似た地平の彼方に、安心が泳いでいる気がした。昔から、慣れ親しんだ光景。明日、目覚めれば全部、夢に変わる今の、素晴らしさと、此の、美しい視界を、共有出来る誰か、は居なくとも、大丈夫だと、知っている。
声が、聞こえた。
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