2008年11月29日(土)...次次
街がイルミネーションを宿して、手招く。軋むスプリングの上でミラーボールが寄越すちらちらとした煌めきが、遣る瀬なさを一層掻き立てていた。心を奪う真実よりも、夢を売る偽りの方が随分と気楽だと、ぼんやりとした頭が思う。妥協点に在る価格が世相を反映して墜ちてゆくのを、仕方ないと受け容れた振りで承諾を逃れていた。
一昨日の腕の痛みに喰い込む指が、シーツに赤を落としても、胸を支配する安堵が思考を鈍らせている。此の世界で閉じてしまえば、何もかも美しく陶酔して仕舞える様な気さえするのに、如何して未だ明日を握ったまま、手放せずに居るのだろう。