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もともととても精神が弱い人間なんだ。 でも自分で弱いっていうとね、弱いから甘やかしてよって言ってるみたいでみっともないよね。 何にもない俺は楽器を手にする前から音楽が好きで。音を聞くと景色が見えたり風や温度を感じて、違う世界の中にいるような気がして。それが好きだった。 世の中が便利になって色の違う様々な音楽が手を伸ばさなくても届く距離にあって、いっぱい聞いてたくさんの風を知った。もっともっとぐっとくる音楽を聞きたい、新しい風を感じたい、そう思って自分で音楽を作るようになった。 多数決でいうときっと自分はごく少数のタイプで音楽というものを考えてて、それのおかげか俺が作る音楽が少しずつ人に聞いてもらえるようになった。 友達もできて、慕ってくれる後輩も背中を見せてくれる先輩もできた。 何にもない見た目もよくないし全然俺のことを知らない人が俺の音楽を好きだと言ってくれた。 とても幸せだなと思う。とてもとても。 すごいハッピーでさ、お祭りの雑踏の中にいるみたいになって、その中で俺はみんなを喜ばせる道具を手にしてて。掲げればみんなが喜んでくれるんだと思う。 けどその道具を作ろうとすると、なんか違うんだよ。もっと根本のさ、ただただ自分が作りたいものを作らなきゃ。寂しいから、喜ばれたいから、そう思って曲を作ると結果あんまりよくない。 月光病の森は何も考えずにやりたいものを作ろうと思ってできた曲。ノリもよくないし暗いから盛り上がらないけど、一番心が入るし、あの曲が生まれなかったらたぶんダメな売れ線曲を作り出してると思う。
新しい曲を作ってます。今までと大きく違うのは締め切りがあるということ。やりたい音楽はね、ものすごくたくさんあるんだ。それを選んで並べて色を塗るって作業が本当に大変。でもできたら新しい風を感じられるんだよ。胸が高鳴るよね。 温度とか季節の匂いとか色とか、それが何よりも大事。ライブの熱量?歌ってる人の人間性?俺にはクソどうでもいいわ。押し付けるな。いい音楽が鳴ったらそれでいいんだよ。熱量とか感動が好きな人はさ、そういうのを売りにしてるバンドを見たり応援したらいいよ。それなら相思相愛じゃん。それを否定なんてしないから。素敵なこと。ただ俺はしないしやる気もない。世界中のバンドマンが常識人でドラマがあってライブで全てさらけだしてるだなんてなんで決めつけるような人がいるんだろう。
たぶんこんな気持ちのこの瞬間でも誰かを笑顔にする冗談も言える。器用になったんだな俺って思う。 たくさんの仕切りが気持ちの中にあるけど、結構綺麗に分けられてる。だけど突然溢れ出してくるし、誰かに会いたいって思っても数秒後に会いたくなくなったり。めんどくさい人間なんだな、俺。
作品を作ってるとやっぱり心が壊れる。ちょっと壊れて隙間がある心じゃないと風を感じられないからかも。
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