ナツウマレノフユ
ふゆ



 会いたい

でも声をかける勇気がない。

『もう関わってくれるな』
って思われている気がするし。


彼はやさしいから
都合が合えば応じてくれるだろう。
運悪く予定が入っていたら沈没。

かと言って
この前はごめんね。予定合わなくて。
埋め合わせに来週とか日にちどう?

なーーんてことを言ってくれるわけでもない。


嫌々な彼に無理をさせるような気がして
気軽にはとても誘えない。
奢ってくれるようになって、余計にそう思う。

わたしは接待されているんですか?

取引先の強引なオヤジと同じですか?


『わたし』に人間としての魅力がないことは
わたし自身が一番知ってる。

彼にとって女じゃなくなったわたしは尚更。



もう出番は終わったんだ。




2013年05月10日(金)
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