母親、嫌いな政治家がテレビに出ると「こいつ、顔を見るだけで腹が立つ!」と言う。 それを私は、「娘(私)に長年加害してきた夫(私の父親)の顔を見ても腹が立たないんだね、ふーん」と白けた、且つどす黒い気持ちで聞いている。 その政治家は私も好きではないが、直接加害されたわけではない。だから、画面の中にその姿を見ても、何とも思わない。 一方、父親には何十年にもわたって性的な加害(嫌がらせ)をされてきた。だから怒りと憎しみが消えることはないし、気持ち悪くて仕方ないから視界に入れないようにしている。 当然、母親は父親が私に何をしてきたか知っているし、私がどんなに怒り狂ったかも知っている。それなのに、この差は何だろう。結局、母の中では父のしたことがどんどん矮小化されていっているのだろう。 母が政治家に対して「こいつ、顔を見るだけで腹が立つ!」と言うたび、私は傷つきながら「お前が腹を立てるべき相手は、家の中にいるだろ!」と怒りを煮えたぎらせている。それを、母は想像もできないのだろう。
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