小さな頃から、そうだった。
別の部屋にいても、聴こえてくる。
それで、聴きたくもないのに、耳をそばだててしまう。
両親の、喧嘩。
私は、暗く憂鬱な気持ちになる。
家の中には、両親と私しかいない。
だから、逃げ場がない。
私は仲裁に入ったりは、しない。
ただ、じっと耐えて、やり過ごすだけだ。
いくら実の子だからって、夫婦のことに口を出すべきではない。
それは確かに本心だけれど、私の醜い言い訳でもある。
不快な思いをさせられているのに、その上、私が二人を仲裁するために心を砕かなきゃならないなんて、ごめんだ。
関わりたく、ない、のだ。
ただ、時が過ぎるのを待つ。
小さな頃から、いまでもずっと。
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