見上げる空...そら

 

 

手紙 - 2011年01月24日(月)

人ごみの中、孤独を感じながら歩いている。
ここを歩く人々はみんな他人だ。
こんなに近くを歩いていても、とてもとても遠い距離を感じる。

この私の、こんな気持ちを知る人はだれもいない。
誰も、私がこんなことを考えながら歩いているなんて
思いもしないだろう。



一人になるとどこか自由になるようで。
一人、電車にゆられていると、
このままどこへでも行けるような気がしてくる。

どこへでも。



たとえば、このまま私が家に戻らなければ。
このまま私という人間が消えてしまったら。



でも、それで私は幸せになれるだろうか。
そんなこともないんだろうな、と思う。


たとえば明日死ぬとして。
たとえばあと5年後は生きていられないとして。
それでも私は選択するだろうか。


あのひとに手紙を書きたい。
いっぱいいっぱい手紙を書きたい。
そうして、私が死ぬ前か、あのひとが死ぬ前には
あのひとに手渡せるように。

昔は手紙ばっかり書いていた。
手紙を書きながら夜明けが来ることだって珍しいことじゃなかった。
あのひとの文字を手でなぞりながら。
馬鹿げた幼いやり取りもいっぱいしたけど。

手紙。

今もあの頃の手紙を読んでみたい。
きっと子どもじみすぎてて笑っちゃうだろうけど、
それでも読んでみたい。

もう読めない。


私がばらばらにした手紙たちも捨てた手紙たちも
あのひとが私に手渡す前にばらばらにして投げつけた手紙も


紙切れを手渡されるたび、どきどきした。

毎日毎日あんなにたくさんのエネルギーを使って。
それでも足りなかった。

誰もいない校舎の屋上。
体育館の裏。

あんなに近くにいたのに。
いつも触れようと思えば触れられたのに。

どうしてだろう。
どうしてこんなにもあのひとのことが心にこんなに
刻みつけられてしまっているんだろう。


...



 

 

 

 

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