こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2009年06月25日(木) もう一度好きになる


 まばゆいほどに晴れた朝。

 彼がいつものように約束の時間より少し早めに迎えに来てくれました。

 私が彼の車の助手席に座ると、

 彼は私が彼の車に乗る度にシートの位置を調節しなくてもいいように、

 私の好みの位置に設定しておく方法を教えてくれました。


 「これからは、いつも1番のボタンを押せばいいから。」


 と彼は言いました。

 彼の車の助手席には色々な人が座ります。

 一番座る頻度が高いのはおそらく彼自身です。

 彼は仕事の後で飲みに行く時は必ず、

 代行のドライバーに自分の車を運転させて帰るからです。

 他にも彼の部下や友達が座ることもあるでしょう。

 それでも、毎週必ず彼の車に乗るのは私だけだから、

 私に彼の助手席の1番をくれたのだと思います。

 彼にとってみれば、きっとほんの些細なこと。

 でも、彼の「これからは、いつも…」の言葉に

 私は思わず嬉しくなりました。




 この日は彼に提案された2つのプランのうち1つを私が選んで、

 美しい湖を見に行きました。

 高速を降りて、夏の日差しに輝く緑の中を走り始めると、

 彼は車のサンルーフを開けました。

 眩しい青空が広がり、優しい小鳥のさえずりが聞こえてきました。




 午後1時を過ぎた頃に、

 山の上に建つ豪華なリゾートホテルに着きました。

 最上階のレストランで私達は窓際の席に座り、

 大きなガラス越しにその雄大な湖を眺めながらランチをしました。

 深い青色の水を湛えて沈黙するその姿は、

 まるでホテルが所有する一枚の絵のように完璧な美しさでした。

 その後、1階にあるティールームへ行き、

 彼はコーヒー、私は紅茶とケーキを頂きました。




 夕方、市内に戻ってからシティホテルにチェックインしました。

 私達はお互いの気持ちを確認するかのように抱き合いました。

 彼と肌を合わせているうちに先週からの不安がたちまち消えて、

 心も身体も満たされていくのでした。




 夜は彼が以前から話していた焼肉屋さんに連れて行ってくれました。

 カウンターだけのそのお店では基本的には自分達で調理するのですが、

 気さくなお店のご主人が時々焼き方を確認しつつ手伝ってくれます。

 途中でお店が混んで来たので、


 「ほら、もっとくっついて。^^」


 と彼が私に言いました。

 私が彼にピタッとくっつく真似をしたら、


 「わざとらしい!(笑)」


 と言われてしまいましたが。^^;




 カウンターは満席で、ほとんどの客がカップルでした。

 その中でも私達が一番沢山食べ、沢山お喋りしていたような気がします。


 「私、Tさんに何かしてって言われるの、好き。^^」


 「そうか…。^^」


 「従順でしょ?^^」


 「自分でそう言わなければ従順だ。(笑)」


 「うるさい?(笑)」


 「ああ、うるさい。(笑)

  いつも(デートの)後半がうるさくなるよな。」


 「それは…離れたくないからだと思う。

  食べてる時は大人しいでしょ?^^」


 「ああ、いつも何か口に入れてて。^^」


 「うん、いつも私の口を塞いでおいてね。^^」


 店内の適度な騒々しさに紛れて、

 私達は悪戯っぽく見つめ合いながら意味深なお喋りをしました。




 お部屋に戻って、もう一度彼と愛し合いました。

 彼は耳元で「可愛い。」と繰り返しました。

 私が感じながら「好き。」と呟くと、

 「好きだよ。」という彼の掠れた声が聞こえました。




 彼はいつも愛撫で私を先にいかせてから、繋がろうとします。

 二度目に彼と抱き会った後、彼に腕枕されながら、


 「先週と今日は何故かいけなかったです。

  凄く気持ち良かったのに、疲れてたのかな。」


 と私が呟きました。

 
 「じゃあ、来週は会ったらすぐにホテルに行こう。」


 そう言いながら、彼は再び私の身体を弄り始めました。

 快感に私の息が乱れ始めました。


 「ねぇ…。」


 「もう一度したい?

  どうして欲しいの?

  何でもして欲しいこと言ってごらん。

  してあげるから…。」


 一度は鎮まっていた私の身体が、

 彼の舌と指で再び熱を帯び始めました。




 私が小さな叫び声をあげて達すると、彼は私を抱き締めて、


 「良かった…。」


 とほっとしたように言いました。


 「ありがとう。

  ごめんね…。」


 「こういうことで謝らないで。」


 「私だけが先にいっちゃうと、

  繋がった時にTさんが気持ち良くないような気がしてたの。」




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 彼は優しく静かに言いました。

 そして、こう続けました。


 「俺は感じてる理沙子が好き。だからいっぱい感じて。」


 私は愛された余韻の中で幸せな気持ちになりました。




 この夜は別れた後も寂しくなかったのは、

 彼からのおやすみメールのせいだけではないでしょう。

 今回のデートで私は自分の気持ちを再確認出来たから。

 私は彼という人が好き。

 好きな人と一緒にいられるだけでとても幸運なことなのだということを

 忘れずにいたいと思いました。


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理沙子

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