赤い糸は一本とは限らない、とその人は言った。自分が、お伽噺を信じない程度にはかしこい人間でラッキーだった。幸せとは裏腹でも上げ底でもなく日だまりのように嘘のない温かなものである事は間違いないただ、それを作って行く努力は、薄氷を踏むがごとしだ。気が休まることなんかないのだろうと思う。