僕らが旅に出る理由
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仕事終わりに初めての道を通った。 上に高速道路が通り、下も4車線の道。向こう岸はだだっ広い市場や工場で、さらにその向こうは海。車の通行量は多いけど、人通りは少ない。 規則正しく照らす水銀灯の他にはコンビニの明かりさえない、そんな場所。
○○建機、という工場のそばを通った。正門は半分閉められ、ガードマンが暇そうに立っていた。門から構内にまっすぐな通行路が伸びて、暗闇の中に消えていた。
その中にあかあかと照らされた工場が浮かび上がっていた。 中が全開になっていて、いくつものクレーンのようなものが見えた。 どれも動きを止めて、今日が終わるのを待っていた。
それは巨大な夜の展示物だった。 鋭い緑の直線が乱れたち、冷たい白い光を跳ね返していた。
ふしぎに清潔で、美しい眺めだった。 打ち捨てられた、恐竜の骨の群れのようにも見えた。 永い歳月に肉は朽ち果て、洗われ、乾いてきれいになっていた。
誰も見ていないのがもったいないような気がした。
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