お風呂で髪を洗った。湯船に浸かると濡れた髪が目の前に降りかかってくる。そのばらばらな毛束の先にしずくが下りてくる。しずくは少しずつ大きくなり、魚眼レンズで見るような歪んだ景色を写して、やがて自分の重みに耐え切れなくなって落ちていく。指がふやけてしまうまでそれを見ていた。形の決して定まらないものは、とてもきれいだ。