舌の色はピンク
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小学校に入ったくらいのころ、 母親と道を歩いていたら 割と遠くにある電光掲示板を指差され 「あれ読める?」と問いかけられた。 他愛ないひらがなのテストだったのだろうが、 それ以前に視力が追いついてなく 僕は「遠くて見えない」という正直な返答をした。
「え……っ?」
到底我が子に向けざるべき形相を母親はその顔面に浮かべた。 視力2.0の彼女には信じられないできごとだったらしく それがどんなに絶望的なことか思い知らされた少年がそこには居た。 世界とは己が視界が全てだったのに、 母親という他者を迎えて、さぁいざ劣等の事実を突きつけられたのだ。 「ぼくは実の母親に『え……っ?』とか言われてしまうこの劣等の視力で 今後の人生を過ごしていくのか。 今回の人生は『え……っ?』なのか」 そう思った。
母親が遠視と知ってからは 近視のアドバンテージに誇りを見出し始め どうにか活路が開けた。 でも次回は人並の視力に生まれたい。
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