| 2007年09月07日(金) |
中国、独占禁止法を採択 |
中国、独占禁止法を採択
中国の国会にあたる全人代は独占禁止法を採択した。中国はこれまで「反不公正競争法」などでカルテルを禁止してきたが書縛規定が不十分だった。独禁法は価格カルテルや行政による不当介入を禁止する。日本の公正取引委員会に当たる反独占委員会も新設する。違法企業には最高で前年度売上高の10%分を罰金とする。 (8月31日付け 日本経済新聞)
戦略ポイント:価格カルテルや不公正取引を減らす引き金になるか?
別の報道ですと、中国独禁法の施行は来年8月からだそうです。あと1年で中国政府はいろいろと準備をしなければなりません。なかなか大変な道のりだと思います。
以前読んだコラムでは「中国は法治国家だ。先進国が制定している法律で中国にまだ制定されていないのは独禁法だけだ。」と書いてあったのを記憶しています。このコラムが正しければ独禁法の制定で先進国並みの法律体系は整ったということになりますね。(真偽のほどは分かりません。)
日本企業の製品で中国の独禁法にひっかかりそうなのは「デジタルカメラ」だそうです。キャノン、ソニー、ニコン三社の合計で中国市場の70%前後のシェアがあるそうです。(日経)
同じ記事で日経が指摘していたのは、中国では価格カルテルや入札談合、地方政府の出資企業に優先販売している実情があり、独禁法が施行されればこうした商習慣は違法になるという点です。日本企業のコンプライアンスはしっかり浸透してきていますので、今後は中国の独禁法を根拠にカルテルを拒否するオプションが増えるということになるわけです。
中国でビジネスをする際によくぶつかる課題として、中国側のパートナー企業が何らかの許認可を取得する際に、相当グレーな手法で取得してくるという場面があります。また、入札も実情は相当に談合体質があるらしく、建設などでも有力各社が交代で受注をするようになっているとも聞いたことがあります。
独禁法の制定により、従前の価格カルテルや入札談合、優先販売が違法となるため、今までのやり方を変えていかなければなりません。しかし業界の慣習は一朝一夕では変わらないため、政府側も各業界に独禁法の趣旨や罰則をしっかり周知しなければなりません。
日本企業も中国事情の社内説明として、今までのように「中国のやり方はこうですから!」と現地の慣習をムリヤリ本社に理解してもらっていることが多いと思いますが、独禁法などの法体系が整備されていくと今後中国でも更にコンプライアンスが求められるようになってきています。我々駐在員も頭を切り替えていく必要があります。
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