☆空想代理日記☆
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赤い服のフィンランド人を捕まえると、地球のみんなから羨望の眼差しがいただけると思った。そして不逞者は決心した。
背後にまわってカエルのような恰好で、赤い髭もじゃおじさんに飛びかかった。 が、すんでのところで煙のように消えてしまった。 不逞者の腕は空振りし、自分自身を強く抱きしめる恰好となった。
おそらく、捕まる寸前に人差し指と中指をおでこにあてて瞬間移動したのだろうと推察した。とりあえず、逃げられたのだった。
飛んでいる時はスローモーションだったが、空振りを計算に入れてなかったのでそのまま壁に激突したのだった。
気を失ってしまった不逞者、気がついたら裸で森のなかにいた。かろうじてパンツは身につけていた。あたりは靄がかかっていて不思議だった。
棒きれを杖がわりにしてよろよろと立った。何人も同じように裸にパンツの哀れな姿で倒れていた。
たぶん、何人もの勇者たちがサンタクロース先輩を捕縛しようと特攻して泪をのんだに違いない。
捕縛に失敗した者たちは生ける屍となってこの森に集められたのだろう。あとは、きちんと目醒めるだけである。
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