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 お婿にいった四+カカのお話
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2020年10月04日(日)
イエイガーマイスター/ハンターの守護聖人~過去 2)

「つまり、遺伝子の意思で強い遺伝子が偶然生まれ、それを人間の意志が、広めた?」
カカシがまとめるとテンゾウが肯く。
「じゃあ、さ、偶然生まれた強い遺伝子を、どうやって探り当てたのかな?」
「そこが、今回の探索の要となるのではないでしょうか」
テンゾウの言葉に、なるほどと3人が肯いた。
「病院関係……か」

正式の命ではないということは、おそらく火の里のさまざまな施設にも疑いがかかっている、ということだろう。
もちろん他里の介入も疑わなくてはならない、ただ公にはできない、と火影は言った。

「獅子身中の虫、かもしれないね」
「身中? え? 里の中?」
鳥面が思わず口に出したといった体で、あわてて自分の口を塞いだ。
「うん、その可能性もあるってこと」

「あからさまに里を探っている、と思われないように」とカカシが言う。
「虎面と猫面は、病院関係を洗う」
「承知」と二人の影が消えた。
「で、僕らは、とりあえずテンゾウを保護した場所に行こう」
「だから、この編成なんですね」と鳥面は小さく呟いた。

 かつて大規模な研究所のあったそこは廃墟となっている。しかし、監視は付いていた。
「変化はないはずですが」
「うん、変化があれば連絡が来る、来ないということは、変化がない」
 カカシの言葉は静かだったが、鳥面はかすかな緊張を感じた。

「でも実験結果は、粛々と時を費やしているかもしれない」

「お疲れ様です」と警備をしている暗部隊員の挨拶に「お疲れ」と片手をあげて応じたカカシは、鳥面を伴って廃棄施設内に入った。

 ひび割れた大きな試験管のような装置は、もともと人間の子ども、正確には異なる遺伝子を移植した子どもを保護という名の元、培養していた装置だ。
 どれも破壊され、そこからこぼれた培養液なども、今は跡形もない。カカシはそれらを一顧だにせず、そこから続く扉を開けた。
 その部屋はそう広くはなく、かといって狭いというほどでもないのだろうが、部屋中に棚が設置されているため、息苦しく感じられる。棚の一部には、試験管やビーカーといった実験に使う用具が整然と収められていた。実験の準備室のようなものだろう、と鳥面は壁面に並ぶガラス器を眺める。

「え?、あれは?」
 そこには、何かの溶液に浸された肉塊が瓶詰にされ、並んでいた。
「あ、やっぱり、あった」とカカシはその棚の渕をトントンと指先で叩いた。
「これ?」「うん、痛ましいことなんだけど……実験に失敗した……つまり失敗作、と大蛇丸が判断した実験体の、内臓」
「内臓、ですか?」と鳥面が一歩後ずさる。凄惨な場に直面することも多い暗部所属の鳥面にして、一瞬、動揺したのだろう。
「内臓? 内臓だけ?」と呟きながら、瓶詰を凝視する。
「丸ごとの場合もあるし、内臓から切り出された一部だけ、って場合も。どこに違いがあるのか、その基準は、よくわかってないんだけど」
「ただね」と言いながら、カカシはふっと息をついた。
「この結果が、今の火の里の医療に役立っていたりもしているんだ……」
言いながら、カカシが暗部の面をくるりと後頭部に回した。

さらけだされた素顔は、しかし鼻筋の途中から上だけで、口元は覆われている。
左目を閉ざしたまま、右目だけでカカシは並んだ瓶を端から順繰りに確かめる。

鳥面は瞑目し、「知識としては知っていましたが」と吐息とともに吐き出した。
「これが実態なんですね」

「誤解しないでほしいのだけど、“これ”そのものが、残酷なわけじゃないんだ」
鳥面が、眉間にしわを寄せた。
「ま、内臓だの、その欠片だの、というだけを取り上げれば、忌まわしいと思うのはわかるんだけどね」
カカシは、暗部が装着している鈎爪がガラス瓶の表面を傷つけないように、そっとなぞる。
「忌まわしいのは、ここにあるすべてが、本人の同意もなく実験体になって、その死後も本人の意志とは無関係に切り刻まれたこと、なんだよ」

それでも鳥面は承服しかねる、という表情で、ガラス瓶を見渡し、カカシを見た。

「たとえば、さ。鳥面が未知の病気にかかったとするよね、鳥面の血液を調べたら、その病気についてわかったり、もしかしたら治療方法がわかるかもしれない、ってなったら」
「ああ、血液を提供したり、場合によっては専門施設で経過を見たいから入院してくれと言われて従ったり、はしますね」
「うん、そう、ちゃんと事前に説明があって、同意があれば、それは医療への貢献になる、そういうこと」
「死後、自分の体を調べることで何かわかるのであれば、それは拒否するものではありません。それは、そうですが」
「そう思うのは、鳥面が忍だから、というのも少なからず、あるよね。医療関係者だったり、そういった方面に深い関心をもっていたら忍でなくても、同意することもあるだろうけれど」
「でもここにある……いるのは……まだ判断力も持たない子どもだった……」
「同意も何もないよね。ちゃんとした判断力だって」

自らの意志に関係なく、実験体にされ、死後も切り刻まれる……。
「死後の世界を信じている信じていないにかかわらず、とても理不尽です」
震える声で答えた鳥面に、カカシは「うん」と頷いた。
「でも、今回はここを調べないと。大蛇丸は当時、いろいろな病原菌やウィルスの調査実験も行っていたんだよ」
「そうなんですか?」
「下心はいろいろあったんだろうけれど、まあ、根っからの研究者気質なところも、多分にあったんだろうね」
カカシは、ふっと息をつく。
「やったことの是非はともかく、残念なことなのかもしれない」

しばし、二人の間に沈黙が落ちた。今も当時のまま、緩く入っている空調の微かな稼働音が聞こえた。