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 お婿にいった四+カカのお話
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2007年12月02日(日)
ぎむれっと――または、ろんぐ・ぐっどばい 3) SideT


浅葱色に白み始めた空を眺めながら、ボクは綱手さまと交わした会話を思い出していた。
半年前、唐突に聞かされた言葉……。
「抜け忍の村?」

長く暗部に身を置いていても、聞いたことがなかった。だから思わず聞き返してしまったのだ。
「ああ。本来ならあってはならないはずの村だが、あることはある。その意味がわかるか?」
「建前上、あってはならない。けれど、目こぼししている、ですか?」
「その通りだ。里に仇成す意志もなく、利用される懸念もない限り、目をつぶろう、そういうことになっている」
そう言って、あのとき綱手さまは吐息をついた。

「あたしなんか、なまじ血筋が血筋だったから、シズネをつけられただけで放浪生活なんかができた。逆に、絶対に抜けられない、ということを意味しているわけでもあるんだが……そうはいかないヤツもいるだろう?」
はあ、とボクは相槌を打つ。
このひと、抜けられたら、抜けたかったんだろうか? と思ったものだ。
まさか。いや、ギャンブルのためだったら、あり得るか?
一瞬の間にボクの脳裏を過ぎった想像が不敬罪に当たるというなら、きっと木の葉の里の忍の半分以上は不敬罪に値するだろう。
そんなボクの内心に気づいているのかいないのか、眉間にシワを刻んだ険しい顔で五代目火影は言葉を続けた。
「それに、まぁ、隠れ里もいろいろだ。嫌気がさすのもわからないわけじゃない、という里もなかにはある」
「だから、目こぼし……ですか」
「ああ。だが、要は、里を抜け、追い忍にも始末されずにいる忍たちだ。運が良かったというのもあるだろうが、それなりの腕がある。それを利用されたら……」
「脅威ですね」
「ただ、それがどこにあるのかはわからない。どの里の長も、知らないことになっている。意図的に触れないようにしてきた、というのもあるがな」
そんな話が出るということは、今回の任務は、その村……なのだろうとボクは悟った。
「では、今回の任務は」
綱手さまが頷く。
「抜け忍の里を見つけ、潜入探索してもらいたい」
「目的は?」
「不穏な動きがないかどうか、探ってもらいたい」
「……漠然としていますね」
「漠然としているのはわかっている。ただ、今回の任務の背後関係を話すことはできないのだ。なるべく、その村を刺激したくないのでな」

不穏な動きとはなんなのだろう?

この半年、村を見てボクなりに考えた結果、“不穏な動き”に相当するような出来事は見出だすことはできなかった。
小さないざこざは起きるが、それはあくまでも村のなかでのこと。
だれも村の外にまで広がるような何かは、考えていない、そう思えた。
唯一、気にかかるのは……。

ボクは東からゆっくりと朱を帯びていく空に目をやった。
まだ、何もわかっていない。何も探れていない。
なのに、ここの空気に飲まれて、ここで朽ちてもいいなどと思うとは……。
ボクはパンと己の両頬を叩いた。

――昼も間近の刻限。
守り番の明けた足で訪ねると、モズは同輩の子どもたちと組み手の最中だった。
「あ、トキ」
トキというのがここでのボクの呼び名だ。命名したのは村長。
「聞きたいことがあるって、ゲンブから聞いた。なんだい?」
うん、と言いながらモズはボクを見上げる。
この子は感知タイプの能力を備えている。
半年前、村の近くに行き倒れていたボクを見つけてくれたのもモズだった。彼の感知能力は結界の外にまで及ぶ。つまり、それほど高いのだ。
だからこそコントロールする能力が必要で、ここ10日ほど、ボクはときどき助言をしていた。もちろん、ゲンブに頼まれて、だが。
「えっと」と言いかけて、モズは同輩の子どもに視線を送った。
彼らの前では言いにくいこと、なのだろう。
「ああ、そうそう、ボクはこれから家の片づけをしないといけないんだ。もしよかったら、手伝ってもらえるかな? 話は、手を動かしながらでもできるだろう?」
「うん、わかった」
そう言うとモズは組み手をしていた相手に
「ごめんね。あとでまた戻ってくるから」
ボクがゲンブに頼まれ個人的にモズを指導していることを知っている子どもたちは、「ああ、わかった」などと言いながら、また組み手を始めた。
「行こうか」
ボクの言葉に頷いて、モズは小走りについてきた。

「で、話っていうのは?」
この前、隣家からたくさんもらった芋をふかしながら、ボクはモズに尋ねる。
「あのね。またなんか……ざわざわしているんだ」
「ボクを見つけたとき、みたいな?」
うん、とモズは頷く。
半年前、彼が、というよりも彼の訴えによってゲンブが結界の外に出て、ボクを見つけた。
モズの訴えは「ざわざわした感じがする」――つまり、どこかで戦闘がある、ということだったらしい。
だが、そんな気配もなく、ただボクが倒れていた、とゲンブから聞いた。
確かに追い忍部隊から逃れるため多少の戦闘にはなったが、それはここからもっと遠いところだ。
だから戦闘の痕跡がないのは当たり前で、ボクがたおれたのは、ただの疲労と空腹、それに追い忍部隊から逃れた安堵のためだった。
しかし、モズの訴えも無視できるものではないとゲンブは考えたと言う。
感知タイプの忍は、訓練なくして己の感覚器官に飛び込んでくる情報を取捨選択できるようにはならない。
だからこそ、モズの感知した戦闘の気配は、確かにどこかにあったと言えるのだ。ただ、それがどこか、わからなかったらしい。
四方の守り番たちが総動員で当たったらしいが、村の周辺に戦闘の痕跡はまったくなかったとのことだ。
大人たちはモズの能力が多少不安定になっているからだろう、と軽く片付けた。
だがゲンブは気にしていた。
乏しい情報に基づいた見解なので間違っている可能性もあるが、モズの能力は実際の空間にそのまま対応しているのではなく、ショートカットのようにどこかに飛ぶことも可能な能力かもしれないとボクは思った。
事象か、あるいはひとの想念といった不定形なものか、それはわからないが、モズの能力に働きかける鍵があるのだろう。
そう言うとゲンブは、納得したようだった。
そしてモズに、あまり感じたことをひとに言わないように、と、言い渡したらしい。

そのモズが、里の外での戦闘の気配を訴えている。

「どう? 結界を破ってこっちにきそう?」
モズは顔を上げてボクを見た。
「わからない。なんか、変なんだ」
「変、とは?」
「結界のせいかもしれないんだけど。なんか、遠いんだ」
「遠い?」
「遠いんだけど、近いんだ」
ボクはモズの顔を見た。自分が感じたことを言葉にしようと苦慮している様子が伝わってくる。
「遠いと感じるのは、どうしてだい?」
「はっきりとわからないから」
「はっきり?」
「たくさんの命が死にそうになっているんだけど、それがぼんやりしている」
ボクは頷いた。
「普段は、もっとはっきりわかるのかな?」
「言葉としてわかるわけじゃないけれど。もうすこし、はっきりしている……大きさとか」
「大きさ?」
「消えそうな命が多いと、大きいんじゃないかなって思うんだけど」
ひとの想念を嵩として捕らえているのだろうか。モズならぬボクには、想像のしようもないが。
「近い、と感じるのは?」
モズは首を傾げ視線を床に落とす。己の感覚を探っているようだ。
「ざわざわした感じとは別に、伝わってくるんだ」
「別に、ってことは、全然別の感覚なのかな?」
「うん、こんなの初めて。凄く強くて……これはなんなのかな」
モズ自身にもよくわからないらしい。
モズに能力をコントロールすることを教えるのに、ゲンブが行き詰っているのも、ここに理由がある。
本人が、己の能力を明確に捕らえていないからだ。
感知タイプにもいろいろあるが、だいたいが五感に基づいている。木の葉の里の犬塚家などは、その代表だろう。
そういう場合、もともとひとが備えている能力がより突出しているのだから、能力そのものについても理解しやすいし、コントロールの仕方も教えやすい。
だが、モズの能力は聞けば聞くほど、五感とは別の力が働いているとしか思えない。
いったいモズが感じているものがなんなのか、第三者には想像できないのだ。

「そろそろ、ふかしあがったころだ」
鍋の蓋を開くと、盛大に湯気が立ち上った。