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 お婿にいった四+カカのお話
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 四代目とカカシの絆を知って、
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 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
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  月読-5話 -キリリク話-
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  月読 後日談


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 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
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2007年03月28日(水)
あんしゃんて -2-


「出て行け」
任務から戻るとすぐ、ボクは隊を放り出された。
「指示なく勝手に動くヤツは、いらない」
入院しないですんだ者たちが、気まずそうにボクを見る。みな、面は外していた。
「三代目には報告済みだ。追って沙汰があるだろう」
そう言うと、隊長だった男はボクに背を向ける。
ボクは背に向かって一礼した。

まさか、暗部をクビになることはあるまい。
その権限は、火影にのみある。だからボクは落ち着いていた。
ただ、少々、困ったことになったなとは思っていた。
おそらくそういう態度こそが、上司だった男を怒らせる源となっていたのだろうが、ボクはそれに気づくことができるほど、大人ではなかった。

「じゃ、その子、もらってもい~い?」
背後から、のんびりした声が聞こえた。

トクン。

心臓が反応する。
この声は、あの、狗面だ。

「なんだ、カカシか?」
振り返った男が、呆れたような顔をした。
「こいつ、使い勝手、悪いぞ。なに考えてるか、わからないヤツだし」
「へーき」
「おまえも物好きだな」
「うん」
「火影さまが、何とおっしゃるかは、知らんぞ」
「これから、お願いする。さ、いこ」
そう言って、カカシと呼ばれた男は、背後からボクの手をひいた。

トクン、トクン。
心臓の音がうるさい。

引きずられるような格好で詰め所を出て行くボクの目に、驚いた隊員たちの顔が映った。
ボクは、彼らに会釈した。一応、同じ隊だった先輩への礼儀として。
彼らも、あわてたように会釈を返したところで、パタンと扉が閉じられた。

「あいつはね~、悪いやつじゃないんだけど、頑固で、融通利かないんだよね」
耳元で聞こえた声に振り返ると、ボクとそう変わらない若い男が立っていた。
白銀の髪、鼻まで覆う口布、閉じた片目を縦に走る古傷。
開かれた右目は、濃い灰色をしていた。

面の奥で燃えていたのは、閉じられたほうの瞳か……。

「あ、オレ。カカシ。はたけカカシ」
それだけ言うと、すたすたと火影の執務室への廊下を歩き始める。
後ろに回された狗面が、ボクの斜め上を見ていた。
ボクも後に続く。心臓の音は、収まっていた。

噂は知っていた。いい噂も悪い噂も。
でも、その主が、こんな……と思いかけて、ボクは首をひねった。
こんな、なんだろう? ちょっとカワイイ? のんびりしてる? いや、なんか……変? う~ん、変調子?
的確な形容詞が咄嗟に浮かんでこない。とにかく、予想の範囲を超えていた。
目元に傷はあるし、髪はあちこちはねているけれど、総じて整った顔をしているらしいことは、口布をしていてもわかった。
ただ、それを美形とか、美青年とかと呼ぶのは、ためらわれる。二つの理由で。
ひとつは、あの荒地での任務のときに見せつけられた、圧倒的な強さのため。
そしてもうひとつが、この……なんというか、周囲を妙に脱力させる雰囲気のため。

「入れ」
三代目の声に、まず彼が入り、ボクが続く。
「ふむ」
ボクを目にして、およそのことを察したのだろう。三代目は、ゆっくりと椅子から立ち上がり、デスクのこちら側に回った。
「おまえは、それでよいのか? テンゾウ」
ボクが答える前に「え~、そっちが先ぃ?」という、寝とぼけたような声が響く。
事務処理を手伝っていたらしい忍がクスッと笑う。
「はい。使っていただけるなら、ボクは」……どこでも、と続けようとしてやめた。
このひとと一緒に任務ができる、そう思うと、また心臓が騒ぐ。

「カカシよ。なぜ、テンゾウを望む?」
三代目の呼びかけに、彼は「ん~」とクビを傾げ、しばし沈黙する。
「理由は、3つあります」
何か突拍子もないことを言われるのではないかという予想に反して、思いのほか真剣な声が真面目に答える。
「一つは、ご存知の通り、オレの隊に暗部除隊願いを出している者が一人いること。年齢的なものもあり、アカデミー事務職への転属を希望しています」
「ふむ。そうじゃったな」
「もう一つは、彼の戦闘スタイルにあります。オレは近距離、中距離タイプですが、得意なのは接近戦」
「おぬしのそれは、趣味じゃろうが」
「否定はしません」
「毎度毎度、派手なワザを使いおって。面の意味がわかっておるのか?」
「この髪でまず目立ってしまうので、面をしていても意味がありません。いっそ目立つなら、他の忍の目くらましになるぐらいとことん目立ったほうがいいですから」
「そういうところは、四代目と似ておるの」
「はい、師匠の教育の賜物です。そして師匠の師匠は、三代目のお弟子さん。ということは、これは三代目譲りですね」
カツン、と三代目のキセルが、ヘラヘラ笑っていた男の頭で炸裂した。
「った~」
涙目になってしゃがみこむのに、三代目がふぅとため息をつき、ボクを見て苦笑した。
「コレはこういうヤツなんじゃ」
けれどその目は、慈愛に満ちている。

「で、続きはどうした?」
「っと? どこまで話しました?」
「おぬしの趣味が接近戦、というところまでじゃ」
「そうでした。で、鳥面は薬草、毒に強く、戦闘スタイルは女だてらにオレ同様の接近戦。虎面はトラップ、結界に強く、男には珍しい幻術タイプ。彼の」
と、視線がボクに向く。綺麗な弓形の眉と、やや釣った目がボクを捕らえた。
「木遁は中距離でしょうが、潜在的なチャクラ量を考慮に入れると、意外と攻撃距離は伸びるのではないかと考えます」
「ふむ。その才を伸ばしてみたい、と?」
「ええ。大技も使えそうですし、そういう意味ではオレの隊に最も欠けている能力をもっているかと期待しています」
「なるほどのぅ。して、三番目の理由は?」
「え? それは、気に入ったからに決まってます」
三代目はまた、ため息をついた。
「それが本音じゃな」
「彼のチャクラは、まっすぐでしなやかです。うまく術に還元していかないのは……記憶のせいでしょうか?」
彼の語るボクは、まるでボクのことではないように聞こえた。
「ふむ……なるほど……」

三代目は、しばしボクと彼を見つめていた。
「おぬしに託すのも、よいかもしれん。上層部は反対するじゃろうがの」
「珍しい能力者を同じ隊に配置することを、ですか? でも、オレのコレは、うちは一族がいます。珍しいのは後付という点だけですから」
「そう言うな。拗ねておるように聞こえるぞ」
三代目は、またまたため息をついた。

「よろしい。おぬしの申し出、承知した」

その瞬間、また心臓がトクンと鳴った。
その意味をボクが知るのは、もっとずっと後のこと――。