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 お婿にいった四+カカのお話
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2007年03月15日(木)
らすてぃ・ねーる 7


「最初、彼を疑ったのは、隠されていた結界が、顕になっていたからなんだ」
「隠されて? 結界が、か?」
「ああ、オレたちが最初に探したときは、徴がなかった。結界のうえに結界を重ねるようにして隠していたんだと思う。村でひぐらし要を名乗る中忍と会って移動してみると、隠されていなかった」
「だれかが、解除した、というわけか」
「だから、他にも何か出てくるかと思って、再度探りにいかせた」
「でも報告は……ああ、そうか、『村には、変わりない』だったか。じゃ、これを見つけたのか」
鳥面と虎面が頷く。
「そう。最初のひとつだけだったら陣営に残っただれかが解除したとも考えられるけど」
「離れたところだとしたら、解除の機会があったのは、陣営を離れたあいつ……そういうことか」
「でも、時限式の結界ということもあるから、可能性は五分五分」
部下に疑われていた上忍は、要を見た。

「だから、オレは彼を観察した。そうしたら、彼のほうはどうも、あんたを疑っている節がある。キミも村に入る前に、あの死体を見つけた?」
先輩に問われ、要は頷いた。
「だれかが入れ替わっていると、思いました。でも、誰がそうなのかわからないから、打ち明けることもできないし」
「でも、下忍時代から一緒だった仲間なら、気づかぬはずがない、そう考えたんだ?」
「はい」と要はうなだれた。
「それで、わたしらんとこにまで、情報収集に来た、と」
鳥面の言葉に、要はさらにうなだれる。

「だから、入れ替わり候補からは、外した。あとのふたりに関しては、圧倒的に情報がない。だから、雷切を囮にすることにしたんだ」

「彼は千早と入れ替わって、どうするつもりだったんでしょう?」
中忍が言う。
「抜け忍……ですよね」
「木の葉に潜入するつもりだったんでしょうか?」
「あるいは、逃げ続けるのに疲れ、木の葉の里の忍として新しい人生を始めたかったか」
先輩の言葉に、その場の皆が、口をつぐんだ。

「オレも、疑われていた?」
上忍が問う。先輩は答えなかったが、彼にはわかったのだろう。
「アレは、そういうことか」
くく、と自嘲めいた笑いを零しながら、上忍はボクを見た。
「災難だったな」
それからカカシ先輩を見る。
「おまえも、な」
それから、ふっと息をついた。

「俺は、役得だったがな」
それは、彼の本音のように思えた。

*     *     *     *     *

「あれが、オレの任務だったの」
ボクらが今回の任務の裏について詳細を知ったのは、里に戻ってからだった。
「どうも、盗賊たちを火の国まで引っ張ってきたのがいるらしい、って」
「早い時点で加わっていたんですね、だから、盗賊化したあいつらが1年も敗走できたんだ」
「うん、正解。でも、それは極秘情報でね。忍が関わっているってことは、火の国にもあいつらの本国には知られちゃまずかったのよ。ま、隠れ里の立場としちゃ、そうだよね」
「で、盗賊の捕獲と同時に、抜け忍の始末」
「そーゆーこと」

「入れ替わりに、いつ気づいたんですか?」
ボクの質問に先輩が、んん~と首をかしげた。
「最初から、可能性は考えていたんだ。小隊が消息断った、って聞いたときに。全滅したか、あるいは、って」
「確信したのは?」
聞いたのは鳥面だ。
「村を見回って、それでも小隊の消息が掴めなかったとき、だね」
「相手を特定したのは、わたしたちが荷物を取りに行ったあと、ですね」
「いや、だから、まだ特定はしてなかったよ、あのときは」
「そういうことを、言ってるんじゃありません」
ずん、と鳥面が詰め寄った。先輩が上体をわずかに引く。
「隊長が、何やったかなんて、おみとおしです」
う、と言ったまま、先輩は鳥面を見る。
「作戦立案は隊長の役目ですから、それは問いません。でも!」
鳥面がこぶしを握るのをボクは横目で見て、どうやって止めようかと思案する。
「なぜ、彼を……よりによって」
先輩の口の形が、「う」から「あ」に変わった。
「気づかないとでも、思ってたんですか?」
「あ、え~と」
「酷、じゃないですか」
先輩は黙っていた。
「目の前で、なんて、そんな」
ボクは虎面を見る。驚いた様子がないのを見ると、鳥面から話でも聞いたのか、それとも彼は彼で気づいていたのか。

「えっとね。入れ替わりの候補については、二通りの選択肢があったんだ」
先輩が話し始めたので、鳥面も口をつぐんだ。
「入れ替わったあと自分が動くのに一番、都合いいのは、リーダー格の上忍。でも上忍相手に、そう簡単にはいかないかもしれないから、その場合は隊のだれか……今回は3人とも中忍だったから、そのなかで一番、戦闘力の低いヤツ。だから、オレはそのふたりを念頭においていた」
「え、じゃあ、あのおとぎり千早って中忍のことは、最初から?」
「うん、一応はね。でも、ひぐらし要がいきなりクローズアップされちゃって、オレもだいぶ迷った。あの時限式の結界が計算のうえだったとしたら、あの抜け忍は、そうとう頭の回転の速いヤツだったんだろうね」
「あの、ひぐらしって中忍は、けっこう出来るやつみたいですね」
「うん、アカデミーの成績は中の中だけど、下忍時代に頭角現してきたみたい。実践に強いタイプなんじゃない? 中忍になったのも、3人のなかで一番早かった」
「最近、里外任務についてたんですか?」
ボクの言葉に、先輩は「そうらしいね」と頷いた。
「半年ぐらい、長期で里外任務についていて、戻ったばかりらしい。元スリーマンセルの仲間ふたりが、任務に出ると聞いて、無理やり立候補したって聞いたよ」
「一緒の任務につきたかったんでしょうか?」
「そうじゃない? だから余計に、仲間を疑えなかった」
そんな心理に付け込んだのが、あの抜け忍だったのだ。

「ま、そんな状況だったからね。早く特定したいと思ったんだ。とにかく、消去法で行くしかないわけだから。幸いなことに、あいつは元暗部で知り合いだったんで」
「寝てみればわかる、と、そう思ったんですね」
ボクの言葉に先輩が、肩をすくめる。
「前にも、なんどか、やったからわかる、と」
問い詰めるボクに、先輩はうなだれた。
「はい、そのとーりです」

気まずい沈黙が流れた。

わかっている。ボクが文句を言う筋合いではない。
でも、やはり“ムカツク”。

「でもね」と、カカシ先輩は顔をあげた。「今度、もし、こういうことがあったら」
その目は宙に向けられており、ボクら3人のだれのことも見ていない。
「それでもやっぱり、同じようにするよ、オレは」
見えない何かを見据えるような先輩に、ボクらは何も言えない。
「それが最善の方法なら、そうする」
そして、先輩はうつむいた。
「それでもやっぱり……ごめ~んね、かな」

また、しばしの沈黙。

「報告会終わり。任務は無事終了。3日間は待機ね」
沈んだ空気を払拭するような明るい声で先輩が言う。
「あ、ボーナスでるかもよ」
「え?」
「元将校たちは全員生け捕りにしたでしょ? 本国が喜んでね。死体でも上等だと思ってたらしいけど、生きていれば、いろいろ使い道もあるし。それで正規の金額に上乗せした額を払ってくれるって話」
「へえ。太っ腹ですね」
「逃走している間、いろんな国に潜んでいたわけじゃない」
「あ、そうか。情報が手に入る」
「そ。もっとも火の国については、ちょっと記憶をいじらせてもらったけどね」
いつの間に、とボクらは顔を見合わせた。
「ボーナス出たら、イチャパラの初版本買おうっかなぁ~、あれ、レアもんの誤植があるんだよね~」

ああ、いつもの先輩だ。
ボクはくらくらと眩暈を覚える。
もっとも、このおちゃらけのお陰で、ボクたちは任務のときの感情を引きずらずにすんでいるのかもしれない。
「じゃ、解散」