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2007年02月19日(月)
びとぅぃーん・ざ・しーつ 11)


「寝よう」
静かに言うと、先輩は目を閉じた。
ボクも目を閉じた。
眠気は去っていたけれど、先輩の腕の中で体温を感じているのが心地いい。

今日の任務を忘れることはないだろう。
思い出すたび、己の出自が他人の人生を狂わせたことを考えるだろう。
そのたびに、ボクの感情は乱れる。
任務中は、もちろんコントロールできる。でも任務が終われば、きっとボクは落ち込む。いつか落ち込むことがなくなるかもしれないが、それまでは落ち込む。
それでいいじゃないか。それが何かを背負う、ということなのだ。
ボクという忍が木の葉の里にあることで運命を狂わせる者がいて、ボクがそいつにできるのはこうやって背負うことぐらいなのだ。それは忍をやっていれば、大なり小なり、みなが抱えていることだ。
あるいは忍でなくても、ひとが生きるというのは、きっとそういう側面をはらんでいるのだろう。まだ二十年に満たない(しかもそのうちの半分ぐらいは記憶がない)人生しか送っていないボクには、ぼんやりとしかわからないが、忍でなくても、きっといろいろあるのだろう。
ようやく気持ちの落としどころを見つけて、ボクの心はずいぶんと軽くなっていた。

先輩のおかげです。
ありがとうございます。

心のなかだけで礼を言い、ボクはほんの少し温もりに身を寄せた。
眠りにつくときの本能的な行動、と言って良かった。
と、先輩の腕の拘束が、さらに強くなった。
反射的に目を開くと、先輩の少し細めた色違いの目が見えた。
ああ、この目は、やっぱり綺麗だ。
禍々しいというひともいるけれど、ボクは綺麗だと思う。
目が近づいたと思ったら、その角度が変わり、唇が触れ合っていた。
乾いた柔らかい感触でそれが唇だとわかり、ああ、先輩とキスしていると思いながら、ボクは目を閉じた。
ボクたちは、しばらく互いを啄ばむようなキスを繰り返した。

後に振り返ってみると、たぶんあれが「雰囲気に流された」というヤツなのだろうと気づいたけれど、そのときはわからなかった。
緊張もしていなければ、変な話だが、その時は欲情もしていなかった。
ただ、猫が毛づくろいをしているような、まどろみの一歩手前で無心になっている時のような、心地よさだけがあった。

先輩が離れたので、目を開くと、やはり色違いの目がボクを見ていた。
ふふ、と先輩が笑ったので、ボクも少しだけつられて笑ってしまった。
それから、再び唇を重ね、今度は舌を絡めるキスをした。
とても強いこのひとでも舌はやわらかいんだ、なんて、アホなことがチラッと頭を掠めた。
絡め取られ、緩く噛まれ、ボクも同じことを返す。
そんな行為が心地よく、先輩が気持ちよさそうに、くふっと鼻を鳴らしたのが嬉しかった。

実のところ、暗部所属になるときに、ひととおりの手ほどきは受けていた。
くの一ともなると、もっと念入りに房中術を教えられるのだろうが、ボクの場合は文字通り「ひととおり」だった。年が若いから念のため、といったようなもので、筆おろしも兼ねていた。
大蛇丸の私設研究所から助け出された後、健康な男子だったら、あって当然の欲というものを、ボクは持ち合わせていなかったので、そのとき初めて、自分のうちにもそういう欲があるのだと知った。
そのことで、ボクは少し救われた気分になった。
もっとも、ボクのそれは相手に触発されないと発動しない。その後、任務の合間に「これも経験だから」と連れて行かれた遊郭では大丈夫だったが、ボクに言い寄ってきた年上のくの一には反応せず、「不能」呼ばわりされた。
そういえば、カカシ先輩の部隊に配属になったのが、その直後だったっけ。

ひとしきり、じゃれ合うように舌を絡め合ってから、カカシ先輩はボクの耳元で囁いた。
「喰っちゃって、いい?」
不覚にも……そう、不覚にも、だ。
このとき、初めてボクは欲情した。
「ボクが先輩を」
気がついたら言っていた。声が掠れ、自分の声ではないみたいだった。
「喰っちゃいたいです」