母に電話すると回覧板のことを心配そうに話し出す。 近所にあらいぐまが出たらしい。 注意を促す連絡だったらしい。 母の部屋は駅から2分の町中にある。あらいぐま? 「それがね、セットで飼われてたみたいなのよ…」セット?あらいぐまは何とセットで飼われていたのか… ハクビシン?狸?イタチ? どうやらペットの言い間違いらしいが、以前はすぐに「それはペットでしょ?」とただせていたわたしが瞬間的に反応できていない。 ショックだ… 母が老いわたしが追う。 こんなにボケボケな人々が多くなるときっと世の中ももっと単純になって行くだろう。そうに違いない。 もっと優しくなっていくだろう。 そんなシンプルで優しい世界にわたしは将来生きることに決めた。 決めたんだからそうなるのです。
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