日記
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2012年11月29日(木) 江森三国志・1

膨大な参考資料に基づくその綿密な時代考証と、人物や人間関係描写の
秀逸さで、一部から非常に高い評価と圧倒的支持を受けながら、決して
メジャーに語られることは無い。

赤壁から五丈原までの、諸葛孔明を主人公とした、知る人ぞ知るいわく
つきの三国志です。
私個人は三国志を元にしたパロディーと受けとめています。
と、言うかあまりにも救いのない終わり様なので、そう思わないと精神的に
立ち直れないかも知れませんね。

勿論人間や国家に永遠の命など無い以上、別に孔明に限らず、全ての歴史の
物語を追って行けば、最終的に死と滅びで終わるわけですが、大枠の事実は
変わらなくとも書き手の意図によってずいぶん変わるものです(苦笑)


変わると言えば人物の印象。
孔明本人は性格や感覚的に「女性」の部分が多すぎて、本来の孔明と重なる
ことはないのですが、周囲の人物の印象がもう(笑)

どんなに「これはパロディだ」と自分に言い聞かせてもこのヤローと怒りを
禁じ得ない(笑)
その、悪い方に印象が変わった代表が何と言っても姜維でしょう。

本来、姜維と言えば美形の好青年、孔明の死後も忠義を尽くして蜀と共に
滅びた悲劇の武将として、器や能力の議論はともかく、悪く思われたり嫌われ
たり等はあまりない人物です。

それが江森三国志では、孔明にこれ以上無い悲惨な死と滅びをもたらした張本人
として描かれるわけです。
しかも可愛がられ、慕っていたはずの孔明を破滅させるに転じた、その動機が
イマイチ弱いため、余計に読者は張り倒してやりたい衝動にかられる(笑)。

その動機の弱さが、作者の意図的なものか、それとも作者としてはもっと
説得力を持たせたかったのに失敗したのかは分かりません。

読者としては、その後の歴史上の姜維の運命を思い出しては張り倒したい衝動を
押さえるしか無いですね、もう(笑)


長くなったので続く。


なつき