はぐれ雲日記
DiaryINDEXpastwill


2006年06月17日(土) 薔薇の精

静かなヴァイオリンの調べ・・・舞踏会から戻ったばかりの純白の夜会服の少女。

一輪の薔薇を手に入ってきます。その頬は紅潮し

薔薇をそっと見つめながら、少女は舞踏会の様子を回想します。

窓辺から射し込む青い月の光を浴びながらそっと薔薇に頬擦りします。

胸の動悸を鎮めるように、肘掛椅子に座った少女はそのまま瞳を閉じます。

やがて少女の手から深紅の薔薇がすべり落ちると、・・・・・・。

音楽は軽やかに転調。窓から美しい薔薇の精(両性具有?)が飛び込んできて、

少女を踊りに誘います。少女は夢見心地ではワルツを踊ります。

ダンスが終わると薔薇の精はひときわ高く跳躍して窓からまた消えてしまいます。

目覚めた少女の前には、薔薇の花が落ちているばかりでした。




フランスの詩人ゴーティエの
「わたしは薔薇の精、昨晩の舞踏会にあなたが連れていってくれた」の
詩句が原作のこのバレエを観たのはアナ二アシヴリの日本公演でした。
アナニアシブリは可憐な少女を演じ、薔薇の精は・・・舞踊手は忘れましたがその舞いはまるで人間が舞っているようには思えませんでした。
本当に薔薇の化身がかぐわしさを漂わせながら少女を舞踏の世界へと誘うようでした。
ニジンスキーを彷彿とさせるその容姿。空中で静止するような高い高い跳躍。
そして音もせずにふわっと舞台のそでに消えて行きました。

その後、ある日本人が演じたのですがまるで馬の精。どたんばたんと跳躍の音も騒々しく薔薇のかぶりものも獅子舞のよう。つや消しでとても悲しかったです。
日本では熊川哲也クラスでないと妖しさ美しさ高い跳躍と表現力は無理です。

そんなかんなで
うれしいとき、悲しいとき、わたしは「薔薇の精」を想い出します。


鈍角 |MAIL

My追加