はぐれ雲日記
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近所のビデオショップに「ナビイの恋」という沖縄を舞台にしたビデオを借りに行ったらあいにくなかったので そのかわり黒澤明監督の映画”夢”を借りて来た。(変わりにはならないが・・・)
キツネの嫁入りが始まるやいなや、子ども達が「こわいよ〜。こわいよ〜。ものすごーくこわいから 見たくなーい!」と中三の男の子までがお山坐りした膝をギッタンバッコンのように前後に揺らして 大騒ぎした。 寝る前のホラー映画は体に毒なのでやめておこうかと言うと 「ああ、でも見る見る!」「前に見た時おそろしかったけど今は大丈夫ー。」などと勝手なことを言う。 なあんだ。知ってる映画なの?そんならじゃあいいじゃない。でもどんなストーリーさなのさあ。と聞くと キツネの花嫁行列を見ちゃった男の子の話だよ。、木の影に隠れて見てるんだけど、「天気雨でオキツネさんの 行列を見たらいけませんよ」ってお母さんに言われてたのに見ちゃったからオキツネさんがおこってね。 あー。どこがこわいの?もういいわ。観るから!
あ・・・。ホントこわいや。こわいと言うより不気味。 笛の音に合わせてゆっくり花嫁行列が進むのだが、曲がパタっと止まると同時に全員であたりをうかがう。 男の子が見つかりそう! まるで能のような動きで。そのキツネ顔も異様におそろしー。 そう。だるまさんころんだ!バッと振り返る、あの感じ。 だるまさん、こ・ろ・ん・だ!それを何回も何回も繰りかえし、男の子の恐怖が高まってくるのがこちらに 伝わってくる。 カメラの位置が子どもの目の高さなのでまるでこちらが見つかりそうで、ドキドキしてくる。
幼いころの神秘体験と情念の世界。黒澤のキツネの嫁入り行列は子どもにとっては やっぱしこわすぎ。 大人が見るとホラーでなく幽玄の世界。整理整頓された構成のファンタステックな映画だった。 寝る前にやたら感動してもやっぱりからだに毒だ。 ・・・熱燗を寝酒に落ち着いて夢路につくとしよう。
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