はぐれ雲日記
DiaryINDEXpastwill


2000年01月28日(金) 夜来香

病棟の患者さんに、おやつの時間にBGMを流してあげようということになり、特にお年寄りの
好きそうなナツメロをテープにダビングしようということになった。
若いナースが年配の看護婦に「ナツメロってどんな曲があるんですかー?」とメモをとりながら
尋ねた。 婦長が「そうねえ。喜びも悲しみも幾年月とか、湖畔の宿、りんごの歌・・・。
わたしの青空。ね。それからイエライシャン、山口淑子が歌った、イエライシャンってどういう字を
書くんだっけ?」と私のほうを見て言った。
「夜来る香りって書くんじゃないかしら?」「そうそう夜に来る香水の香だった。よく知ってるね〜
こんな古い歌!」 「エー!」ナース室のメンバーがいっせいにこちらを見た。
グニャリ。 わたしはいきなり素足でこんにゃくをふんづけたような気持ちになった。
あわてて、「いやさ、あのさ、すごくちいさいころ白い服を着た傷い軍人の人がさ家に回って来て
ズンチャ、ズンチャってアコーデイオン弾きながら歌ってくれた記憶があるんだよねー!」
とくちばしったところ、若いナースたちが真っ赤になって、今にもテーブルを食うんではないかと
思うほど大口を開けて笑い出した。
「知らないの?他の人は!白い服を着た軍人さん。」そんな昔の話じゃないよ。昭和39年かそこら
の話だもん。と力説したところでなんの役にも立たない。 仲良しは皆、若過ぎた。
あーやっちゃったという感じ。
夜來香 白い花。夜来香 恋の花。胸痛く、歌悲し・・・・・

エー――ッ、聞いたことナー――イ!といっしょに言いたい昼下がり。
字余り。






鈍角 |MAIL

My追加