2009年07月07日(火) |
ネット相談に消極的な理由 |
インターネットの普及により様々なことが便利になってきましたが、その利便性の一つにわからないことや疑問に感じたことを気軽に調べることができることがあります。グーグルやヤフーといった検索サイトでいくつかのキーワードを入力し、検索すれば一瞬にして多くのサイトが紹介され、自分の関心のあることの情報を得ることができます。インターネットの情報は玉石混交ですから、信頼できるものやそうでないものがありますが、全く何もわからないよりはある程度の情報を得られる方がいいのではないでしょうか?
このようなインターネットには様々な相談サイトが存在します。医療、法律、税務、恋愛等々いろんなことに悩む人に対して専門家と称する人たちや関係者が相談にのり、回答をするというサイトです。僕の仕事である歯科関係でもいくつかの相談サイトが存在し、何人もの人たちが利用しているようです。中には参考リンク先として僕が過去に書いたログにリンクが張られているサイトもあって驚いたこともあります。
僕はこのような相談サイトを否定するものではありませんが、僕がネット相談の窓口専門家として相談にのることは消極的です。むしろ、答えないと言った方がいいかもしれません。その理由は単純です。相談者の書き込みだけでは相談者の悩み全てを把握することが難しいからです。
相談者は自分が経験したり、感じたこと、悩んだことを相談サイトに書き込みます。中には詳細に書き込んでいるものもあり、悩みが相当なものであることが手に取るようにわかるものもあります。ただ、相談者の視点と専門家の視点とは異なる場合があります。
歯医者の場合です。通常、歯医者では治療前に患者さんに問診を行います。患者さんの悩みを聞き、実際に歯医者が自分の目で確かめたり、追加の検査を行ったりすることにより患者さんの悩みの真の原因を探ります。真の原因らしきことがわかれば、それに対して何らかの対策を講じます。治療を行うこともあれば、薬だけの投薬の場合もあります。また、なにもせずそのまま経過観察をすることもあります。これら診断、判断は患者さんを直に診て、話をして決めることです。 ところが、ネット相談の場合、情報は相談者の書き込みだけです。専門知識、臨床経験を持った専門家が相談者を見ているわけではありませんので、相談者の悩みの本当の原因を見つけることは困難なのです。そのため、どうしても一般論を書かざるをえず、少しでも早く専門家、歯科関係の相談事であれば歯医者への受診を勧めざるをえないのです。
僕が思うには、ネットで相談するのであれば、その前に歯医者へ受診し、相談にのってもらった方がいいのではないかと思うのです。一人で悩み苦しむよりもネットで相談し、ある程度の回答をもらうことは少しは精神的なストレスを解消することにはなるかもしれません。かかりつけ歯医者がいない方や忙しくて歯医者へ通う余裕が無い人にとっては好都合かもしれませんが、真の解決には至らないことが多いのが現実なのです。
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