歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2009年02月26日(木) ためしてガッテン“口内炎スピード完治”を見て

時々、僕の日記でも取り上げているこの番組。口や歯のことも時々取り上げているのですが、昨日放映された内容は口内炎についてでした。内容を要約すると次のようなところだったのではないでしょうか。

・口内炎は口の中に傷がつくことがきっかけになるものと原因がよくわからないものがある。
・口内炎には口の中の常在菌と呼ばれる雑菌が関与している。
・口内炎は唾液不足である場合が多いこと。
・口内炎を治すには口の中の雑菌を減らすうがいが効果的であること。
・ビタミン不足による口内炎は全口内炎の10%程度であること。
・治り難い口内炎の中にはガンである場合があるため、専門医に診てもらった方が良い場合がある。

口内炎に関して、これまで“歯医者さんの一服”日記でも取り上げてきましたが、口内炎に関して言えることは口内炎がどうしてできるのか、そのメカニズムはまだよくわかっていないのです。昨日の番組の中でも、ストレスや免疫力の低下により口の中の粘膜に潰瘍ができ、口内炎になるとの説明がありました。

よく、病院に長期入院している患者さん、特に、抗癌剤の治療を受けている人の副作用の一つとして口内炎が挙げられます。これは、抗癌剤の影響により免疫の機能が低下し、口内炎が口の中に多発することによります。免疫と口内炎は密接な関係がある一例です。

ただ、どうしてストレスや免疫力の低下が口の中の潰瘍を作るのか?そのメカニズムはまだ不明なのです。僕が口内炎の原因はまだわかっていないと書く理由がここにあります。
原因がわかっていない以上、原因療法と呼ばれる真の治療法はありません。昨日の番組では、うがいが効果的であることが言われていましたが、これはあくまでも対症療法であることを知っておく必要があります。

対症療法であるが故、口内炎が治るには時間がかかることを理解しておく必要があります。昨日の番組のタイトルは“口内炎スピード完治”でしたが、これには僕は多少の違和感がありました。口内炎の原因がわからない以上、対症療法が中心の今の治療では口内炎の治りには時間がかかることを知っておく必要があると思うのです。

また、口内炎用の軟膏についてですが、昨日の番組では口内炎用の軟膏について塗り方に注意する必要があるとの説明がありましたが、これも対症療法であるが故です。口内炎用の軟膏に頼りすぎると治りが遅くなる傾向になってしまうことは確かにあります。
僕の治療経験では、口内炎で最も気になる症状が痛みであることを考えれば、痛みを取る意味で炎症を抑える目的の口内炎用の軟膏塗布は効果的だと感じています。急性の症状の時には口内炎用の軟膏は非常に有効です。
ただし、急性期を過ぎた口内炎に関してはうがい薬でうがいを励行し続けることがいいとは思います。これは昨日の番組の意見と同意見です。

昨日の番組では口内炎と思っていたらガンである場合があるので注意しないといけないと紹介されていましたが、ガン以外にも口内炎には注意しないといけない場合があります。
例えば、入れ歯を入れている人の場合、入れ歯が合わず入れ歯によって傷がつき、口内炎のようになっているケースがあります。この場合、いくら口内炎用の軟膏やうがいをしても治りません。入れ歯そのものを調整しないと治らないのです。よく高齢者で口の中の口内炎が治らないと言って歯医者を受診される人がいるのですが、実際に診てみると入れ歯が原因であることが多いものです。
また、口内炎の原因の中で特定の雑菌によるものがあります。ウィルスや一種のカビによる口内炎があります。この場合は、うがいをしても通常の口内炎用の軟膏を塗っても効果が少ないのです。専用の軟膏や場合によっては内服薬を服用しないと治らない場合があるので注意が必要でしょう。


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