歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2007年10月18日(木) 初々しい白衣の天使からの刺激

以前にもこちらの日記に書いたことですが、僕は週1回、診療を休み某医療関係専門学校へ非常勤講師として講義をしています。4月から始まり夏休みを挟んでの講義だったのですが、昨日が最終回の講義でした。半年にわたる長丁場だったわけですが、全く初めて講義に臨んだ昨年とは異なり、今年は昨年の経験がありましたので少しは余裕をもって講義をしたつもりでした。ただ、週末は一定の時間を講義の準備に取られていたのは今年も変わりなく、それなりに労力のいるものでした。それも今週で終わり。今後は何種類かの試験問題作成とその採点、レポートの点検が残ってはいるものの、講義という仕事からはしばらく解放されます。正直言ってホッと一息ついたところです。

最終回の講義が終わり、某医療関係専門学校を出ようとした時のことでした。某医療関係専門学校の玄関の隣には実習室があります。窓越しに中の様子が見えるようになっているのですが、僕が何気なく実習室の中を見ていると、何人もの白衣を着た実習生たちが指導教官を取り囲むように座り、熱心に話を聞いている姿が見えました。彼女たちはどこか緊張な面持ちながらも指導教官を真剣に見ていました。指導教官の言うことを一言一句聞き逃すまい。そのような姿勢が側から見ていてわかりました。

彼女たちの姿を見て僕は自分の臨床実習時代のことを思い出しました。
大学歯学部や歯科大学のカリキュラムでは6年間通わないといけないことになっていますが、最後の1年間は臨床実習に当てられます。臨床実習とは実際に患者さんを相手にする実習で、指導教官の指導の下、患者さんに接し、治療を行う実習です。今の時代は、臨床実習とは言ってもほとんど見学実習で実際に患者さん相手に治療をする機会が限られているのですが、僕が某歯科大学の臨床実習生だった頃は、実際に患者さんの治療をさせてもらう機会に恵まれました。もちろん、細かい治療の段階で指導教官のチェックが入りましたし、臨床実習生の力量が無い場合は指導教官が患者さんの治療を行うようにしていましたけども。
臨床実習を臨むにあたり、臨床実習生は何人かのグループごとに集められ、それぞれ指導教官の下で臨床実習に臨む心構えとか実際の実習の仕方、患者さんとの接し方、治療手技の確認などこと細かく説明を受けます。僕も同期の仲間と共に新品の白衣を着て緊張な面持ちで指導教官の話を聞いていたつもりです。これから始まる臨床実習にどのように臨んでいけばいいのか?自分なりにイメージを持ちながら、期待と不安で胸が一杯になっていたあの頃。

既に僕は歯医者になって17年目を迎えています。決して若手とはいえない、どちらかといえば中堅クラスの歯医者になってきたはずです。患者さんのことを第一に思いながらこれまで歯科治療を行ってきたつもりですし、自分なりに歯医者として研鑽を積んできたつもりではあります。そんな僕でも某医療専門学校の実習生たちの真剣な実習光景を見ていると、良い意味で刺激を受けます。彼女たちの真剣な眼差しを僕は忘れてはいないか?初心忘るべからずといいますが、自分ではそのつもりはなくても気がつかない所でおごりはないだろうか?まだ真新しい白衣を着て、初々しいところがある彼女たちの真剣な姿勢を今一度見習い、これまで以上に歯医者として真摯に仕事をしないといけないのではないか。

窓越しに見た実習生たちの姿に新たな力を貰ったように思えてならなかった、歯医者そうさんでした。


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