My life as a cat
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2019年10月12日(土) それでも歩く

昨日ジュジュが病院で亡くなったとリュカ伝手に聞く。はじめて彼を見たのは病院から山を1キロほど登った山道だった。40代の健康な足でもちょっときつい山道の途中で、車椅子の老人に出くわすとは想像してなかったから面食らった。楽しそうに笑ってずんずんと山道を登っていた。

「彼、車椅子でどこにでもいっちゃうんだ。ひとりで山なんか登って転びでもしたら起き上がれないだろうし、どうするんだろ」

とリュカがため息をつく。町中でもよく見かけた。病院の中でも自らメール係を買ってでて、届いた郵便物を配り歩いていたらしい。

「あの爺さん、わたしが転んで足をくじいて、杖をついて歩いているのを見て、ケラケラ笑ってたわ」

とクリスティーヌ。彼らしかった。前向きで、自立していて、強気な雰囲気が頼もしくて好きだった。それなのに、彼が人生の最後に呟いた言葉は

「もう死にたい」

だった。癌が痛んで、苦しみもがきながらそう言ったそうだ。聞くのが辛かった。決して人にそんな素振りを見せずとも、きっと痛みに耐えて耐えて笑って最期の最後に弱音を吐いてしまったのかもしれない。そう想像したら切なくて泣いた。天国では元気な足で山を歩いていることだろう。


日本の台風情報を見ながら家族の心配をしていたところ母からメールが入る。

「友人の家に世話になってます。お父さんは、朝から酒を飲んでます」

まぁ、元気ならいいや。


イタリアで買った日本のと同じ緑色の南瓜でスープスパにする。皮と中から取り出した種をローストして乗せる。秋だな。わたしは栗拾いとその処理に忙しい。


Michelina |MAIL