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8月最後の日。マントンのビーチへ。子供の夏休みが終わって、大人も新年度が始まるせいで、8月末日まで大賑わいだったビーチは、9月に入った途端ポイっと見捨てられたようにぱったり人が退いて、水がひんやり冷たくなるのだった。まだ人もまだらな春の海は、これから来る夏への期待で明るいのに、9月の海はなんでこうも物哀しいのか、と昨年思った。
ランチはイタリアン・レストランで。手打ちのタリアテッレは文句なく美味しかった。しかし、半分も食べずにおなかが満ちた。残りは持参のコンテナ(タッパ)に詰めて持ち帰る。そう、出掛ける際にはいつもコンテナを2つくらい持参する。フランスではプラスティック・バッグは有料だからバッグやバスケット持参で買い物に出るというのは普通なのだが、わたしのようにコンテナ持参する人はなかなかいない。しかし、例えばケーキひとつを家まで持ち帰るたった数十分のために箱や包み紙を使ってゴミを出すなんていやだ。レストランでももう大抵食べきれないと分かってるし、そう気取ったレストランに行くこともないし、どっさり皿に残していくなんて行儀が悪い気がするし、作ってくれた料理人に"不味かったのか?"と思わせるのも嫌だし、かといって無理矢理お腹に詰め込むのも体に悪い。お腹が満ちたら、後は持参したコンテナーに詰めて持ち帰り、翌日の前菜にでも出すのが精神衛生上、環境衛生上いちばんいい。いつも行く近所のパティスリーなどでは、大変喜ばれる。コンテナーなら中に入れて蓋をするだけ、箱に入れて、包んで、テープで止めてという作業がないから楽だし、あちらはお金も節約できるから。あちらから"コンテナは?"と聞いてくる(笑)。あんなに空腹だったのにタリアッテッレ半分も食べられなかったのはなぜ?お店の人に聞いてみる。
「このパスタは何グラムくらいなんですか?」
「200〜250gだね」
思わず吹き出す。家では生パスタ1人前は具やソースや付け合わせによるけど80〜120gくらいとしている。そりゃ食べきれないわ。
帰り道、閉店したEric Kayserの跡地に最近できた"Jean-Luc Pelé"でケーキを買って帰ることにした。エリック・カイザーのようなちょっと洗練された雰囲気のチェーンのお店。ケーキを選んでわたしはトイレへ。リュカがオーダーする。トイレからでていくとちょうど会計を終えたリュカと店員が爆笑していた。店を出て何があったのかと聞く。こんな会話。
L:「ミルフィーユとプラリネのシューをひとつずつ。このコンテナに入れてください」
店員A 「・・・・・。お・・おーけー」(ちょっと迷いながらコンテナに入れる)
店員B 「彼、フランス語話せるの?(と店員Aに耳打ちする)」
L:「うん、フランス語話せる!」
店員A 「もしかして北のほうの出身?」
L:「え???なんで????」
店員A「だって・・・・。コンテナに入れてなんて初めて頼まれたんでびっくりしちゃって。北のエコロの人なのかと思って・・・・」
ここで一同爆笑。
L:「あぁ、これはね、僕の日本人妻がゴミを出すのが嫌いで、僕にエコな暮らしを紹介してくれたの」
店員A・B「へ〜、日本人か」
わたしも爆笑。"北のエコロ"って。確かに南下するほど能天気でそんなことには関心のない人々が多いという印象はある。それにフランスの北にひっついてるようなベルギーという国にはエコロ政党もあるくらいだからな。まぁ、なにはともあれ、この夏にオープンしたばかりのJean-Luc Peléで初のエコロの人となれたのだ、光栄ではないか。