My life as a cat
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2018年07月26日(木) 専業主婦、納屋を掃除する

ラテン男に"わたしは既婚だから"といっても"え?それで?"という顔をされるのがオチだ。ぐいぐいやってくるから心配になってしまうこともあるけど、大抵の場合は他人の家の犬が客人に見せるような無邪気な好意なので、こちらはにっこり笑って受け取っておけばいい。それにそもそもちょっと暑苦しいくらいの言葉尻に自分が実際よりも過剰に受け取っている部分もあるのだろうとも思う。慣れてしまえば、彼らは愛らしい。既婚とか誰かのものとかそういうことよりも先に、好きなものを好きと表現したいというエネルギーを放出せずにはいられないのだろう。ただいつか彼らのエネルギーにふっ飛ばされてどこかへ行ってしまうことなど絶対にない、と断言できるほど自分を信頼していない。だから少し恐いんだ。

午後納屋の大掃除をした。100年手入れしてないといわれても納得するくらい汚い。物を全部外へ出す。どうしてもひとりで運べない重たい瓦みたいなのがあって、階下の若造に手伝ってもらおうと呼びにいったら、風呂上りなのか裸で歩いてきたので頼みそびれた。瓦は諦めて、中のクモの巣を取り除き、床の瓦礫も掃きだした。昼からはじめて終わったのは5時過ぎ。顔は埃を被って真っ黒だった。ざっとシャワーを浴びて、しばらく横になって休んだ。そしてふとこんなことを思った。

日本へやってくるよくわかっていない欧米人が、日本は主婦が多すぎる"遅れた国"だとかいう。主婦が多いのは女性の人権がないからではないのに。しかし事情がなんにせよ、女性が外にでて働くのが"進んだ国"なのか。この"進んだ国"では夫婦そろって収入があれば人並みに数か月のヴァカンスくらいにはでかけられる。しかし自分の産んだ子供は小さい時からヌヌーに預けっぱなしで、食事は冷凍ピッツァ、掃除は移民を雇って、子供が寝着いたら夫婦で夜遊び。わたしは家族に健康的な食事を作り、きれいに家を磨き、家族の雑用を引き受け、自分の産んだ子供を自分で育てる日本の主婦の姿を思う。主婦友とたまに3000円するランチを食べに行こうともそれくらいはちゃんとやってるんだろう、と思う。このフェミニストの国ではわたしのような若い女が外にでて働かないことは大分奇妙なようだ。"労働許可がない"と説明すると相手はほっとする。自分ひとりでも食べていけて、誰にも気兼ねせず使えるお金があるのはいい。労働許可が下りたら仕事を探すつもりでいる。でも、放置され続けた納屋を見て思う。専業主婦の何が悪い。


Michelina |MAIL