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2017年12月25日(月) |
Noël en PACA |
″Joyeux Noël!″
金曜の夕方、毎日入り浸ってすっかり仲良しになった図書館の責任者のクリスティーヌの声を背中に受けて、すっかり暗くなって冷え込んだ道を足早にあるいて家路を急ぐ。夕飯の準備をしていると、リュカが3連休に心躍らせて帰宅。フランスではヴァカンスは長期で取れるといえども日本ほど祝日がない。自分で申請したわけじゃない休暇は頑張ったご褒美のように思えるらしい。
この町で過ごすはじめてのクリスマス。土曜は散歩などしながらゆっくり過ごし、24日は朝から走り回る。午後は店が閉まるので朝のうちに買い物。家族が集うとあってみんな大量の食糧を調達している。小さなブーランジェリからは人がはみ出て路上に列をなす。みんなバゲットを両手に持てるだけ抱えている。フランスではクリスマスにみんなどんな料理をするのだろうか。日本の友人からメールがあった。
「今日は毎年クリスマス恒例のブイヤベースとバーニャカウダを作ります」
素敵。これ、フランスとイタリアの国境付近に住んでるわたしのセリフでもおかしくない。
「現時点での印象では、地中海の魚はいまいちでお高いです。ブイヤベースなど本場より日本で作ったほうがよほどリーズナブルで美味しいのではないかと思います」
と返事を書く。
さて、わたしにはクリスマス恒例の料理というのはないが、毎年ケーキを食べる。今年は去年と同じズコットを焼くことにした。夕方ケーキを作り終えたところで力尽きそうだった。夕飯はいつもと同じようなメニュー。ポレンタのクレープと根セロリのオレンジ煮。
24日によく働いたので、25日は昨日の残り物なんかを食べてゆっくり過ごす。こちらに来てはじめて天然酵母がうまく発酵してやっとパンが焼けた。色んな説があるので成功しても失敗しても要因がいまいちわからなくていつも手探りだが、過程はこうだ。
無農薬かわからない買ったみかん1個をさっと洗って適当に分けて瓶に入れ、見た目に倍くらいの水道水(湯冷ましもしてない水道から流れる硬水)を入れる。クーラーボックスに入れて、湯たんぽなんかで適度に暖めながら日に一回振って蓋を開ける。8日目にシュワっといいながらオランジーナみたいな香りがしてきたので、もう1日置いて底に澱が溜まってから中種作りに入る。
ドライイーストでも焼きたてパンが美味しいことには変わりないが、やっぱり天然酵母のパンのほうが″ホンモノ″の香りがするように感じる。野生のマッシュルームが薄暗い部屋で作られるマッシュルームよりも力強い香りを放つのと同じだろう。
リュカは家族とスカイプ。よくそんなに話すこと沢山あるね、というくらい家族全員よく喋る。わたしにとって家族が恋しくなるのはクリスマスではない。大晦日に祖父の家で開かれる宴にぽんっと参加できたらどんなに良いだろう。