My life as a cat
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2006年03月03日(金) 贅沢の探求

マーティンの同僚達と本格フレンチレストランの贅沢ランチへ。メニューを読めないわたしとマーティンとサムの英語組は10人の仏語組にこんな物が食べたいとイメージだけ伝えて選んでもらう。わたしが「出来ればヴェジタリアンで」と言うと仏語組はざわめき始める。何を言っているのか解らないが、恐らく"ヴェジタリアン"という言葉は彼らの辞書になかったのではないかと思う。すっかり体調の回復した若いオージーのサムは"Steak and Chips and Chocolate cake!"と言い放った(笑)。

アペリティフに甘いワインをグラスに軽く1,2杯飲んでオントレー、メイン、デザートとたっぷり時間をかけて進む。誰一人として時計など見ない。これが仕事中のランチなのか?とこの国の豊かさと母国の時間の貧しさを思い知る。料理はどれも感嘆するほど美味しいと思わないが、上品な量と味でお金さえ続けば毎日でもいいかなと思うくらい健康的。ここでデブを見つけることが難しい理由がよくわかる。見た目はもちろんすごい。凝りすぎていて美味しそうとかいう次元ではない。

壁にかけられている数枚の油彩画のひとつに背景が真っ赤に塗られ、その前景に矢を沢山突刺され、前脚を大きく跳ね上げている牛の絵がある。牛追い祭りや闘牛はわたしにとっては地獄の光景だ。血に染まるものをアーティスティックだなんて思ったことは一度もなくて、ましてや食事中に見たいものではない。「わたしはあれが大嫌い」とその絵に目をやって呟くと、隣で美食に舌鼓を打っていたマーティンが「僕も嫌い。あれはアホだ。」と一言返してくれたことに少し救われた。

結局ランチにかけた時間2時間半。午後3時近くにのんびりとオフィスに戻っていった。ホテルへの車中で日本では考えられないよ〜と言ったらマーティンとアーノルドが口を揃えて「人生は楽しむ為にあるんだ。」と断言した。フランス人は気難しいとか陰気だとかいうのはもっと北の天気の悪いところの話だったのかもしれない。年間300日は晴天だというこの辺りの人間には全くそんな雰囲気が無い。フランス人は英語を(出来るのに)喋らないという噂もここではちょっと違うかな。本当にあまり出来ないみたい。夜に行ったレストランのレジでサムが英語で喋り、店員がフランス語で返してそのままなんとなく解りあって二人でうんうんと頷いていた。そんな場面にはジム・ジャームッシュ映画のような空気が流れていて、腹の底からゆっくりと静かな笑いがこみあげてくる。

(写真:ペルー公園内にある建物。何だろう?)


Michelina |MAIL