気がつきゃライブの時間だぜ
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2007年08月07日(火)   ◎納涼お笑い怪談噺@天満天神繁昌亭

  
 今夜はなんと2列目。
 いつもはちょっと離れたところから眺める
 緞帳のかわいい絵が目の前で びっくりしました。

 と、同時に
 この距離で師匠の噺が聞ける、と思うと
 うれしいやら こわいやらで どきどきです。


 怪談噺ってことで
 舞台は 後ろが暗幕、
 左手側が柳の木、
 右手側がお墓のセットになってました。




 最初は 笑福亭たま。
 演目は 「七度狐」 です。

 着物は それはそれはきれいな淡い薄桃色に
 白の四角や ちいさな丸なんかの柄がはいっていて
 半襟は黒です。

 たまさん、ピンク系の着物と黒の半襟を合わしはりますが
 これ、なかなか若々しくて 粋やなあ、と思います。


 マクラのショート落語っていうのがおもしろかった。


 『高校野球』

  「くそ、あいつ先発ピッチャーで腹立つな。
   よし、わら人形の肩に釘打ったろ。 コーン、コーン。」

  「あ、あ、あ、あ―! ・・・・肩こりなおったわ。」


 『ローマ法皇のデコピン』

  「バチカーン!」


 とか、こんなんの。


 で、噺の中できつねがでてくるときに
 指をきつねのかたちにして伸ばし

 「これ、きつねを表現してます。」

 て言うてはったんですが
 いつものクセで 思わず一緒にやってしまいそうになるわたしでした。




 次は 林家染雀 「化け物つかい」。

 着物は オフホワイトの地に織りで縞が入っていました。
 羽織は黒です。
 なかなか涼しげ。

 なんでも明日 40歳になられるそうです。

 先代の林家小染がなくなったのは 36歳やって
 その時には もう大師匠の貫禄があったのに
 自分が なんか薄っぺらいです、みたいな
 話しをしてはりましたが、

 そうか、小染って36歳でなくなったんか、
 もっと年いってると思ってた。

 そら、あかんわ、
 あんまりにも若いわ、
 ほんまにもったいない。

 死ぬことやなかったのに・・・・・。


 「化け物つかい」、とても楽しかったですが
 この方 いい人なんでしょうか、
 人使いが荒いっていうのが
 ただのせっかちみたいな感じで
 横着で ふてぶてしいって感じではありませんでした。

 もっと憎々しげな、
 はしにもぼうにもかからんようなやつの方が
 おもしろかったかな、と思いました。




 次、桂米左 「皿屋敷」。

 着物は モスグリーンの薄い薄い色。
 なんていう色なんかわかりません。
 羽織も揃いでした。

 非常におちついた語り口で
 ある意味 この前聞いた小米朝さんのより
 うまかったように思います。

 小米朝さんの語り口って
 音楽でいうと スタッカートしてるみたいな感じがして
 軽やかで 楽しくて 華はあるけど
 落ちついてしっとり聞く感じは薄いですもんね。

 ただね、お菊さんの幽霊がでてくるところは
 小米朝さんの色気が勝ってました。

 


 中入り後は 講談です。

 わたし 講談なんて初めて聞きます。
 すごく楽しみ。

 旭堂南鱗 「淀の月」。


 黒の着物と羽織で 座って話しが始まりました。
 わたしは なんか勘違いしてたのか
 講談って立ってするものだと思ってました。

 あとで そら、浪曲やろ、と言われました。


 話しは 身投げする娘を助け 面倒をみてやっていた
 大坂の旦那が
 実は その娘の殺された父親の仇やって
 ついには その娘も殺してしまうというお話でした。


 
 おかしかったのは

 「講談と言えば 夏は怪談なんですが
  わたしはあんまり怪談しないんです。
  なぜなら うちの師匠が怖がりやったんです。

  『師匠、怪談教えてください。』
  『いやや、怖い。』

  言うてはりました。」


 んな、あほな。





 さてさて、お次はトリの笑福亭福笑。

 「待ってました!」 の声に
 へこへこお辞儀しながらの登場です。

 そうなんですよ、
 福笑さんって いつもこんなふうに
 へこへこしながら出てくるんです。

 師匠の威厳とかあんまりなくて
 若い時にお笑い番組に出てたときと
 あんまり変わらへんみたいな雰囲気で
 つい 師匠格なんだってことを忘れてしまいそうです。

 そういう雰囲気を ずっと持ってはるのって
 ほんまに素敵やな、って思います。

 わたしもそうでありたいです。


 ・・・・・あ、別に努力せんでも わたしはそのままそうですが。


 今日の着物は 薄い薄い萌黄色に 深緑の羽織。

 演目は 「じたじた」。


 でね、この噺が途中まで
 前の 「淀の月」 の講談とほぼ一緒なんですよ。


 講談では 橋で身投げしようとする娘を助けるんですけど 
 落語では 止めても止めても言うこと聞かないのに腹を立てて

 「ほんならすきなようにせい!」

 って 身体を突き飛ばしたら
 欄干で額を打って 
 ざんばら髪に 割れた額から血が流れ
 
 それで 男が歩き始めたところで
 川にどぶーんと音が。


 ああ、飛び込んだか、
 短気起こさんと もうちょっと止めたったらよかったものを・・・
 ああ、えらいことした、
 なむあみだぶつ、なむあみだぶつ・・・


 
 ここらあたりから 場内の明かりが
 だんだんと暗くなってきて
 舞台も暗くなってきて・・・・・・



 男が こんな夜ははよ帰るに限る、と
 夜道を急いでいると
 後ろから 水に濡れた草履のような音が
 じたじた・・・・ じたじた・・・・ とついてくる。

 なんやろ、と思って立ち止まると 音も止まる。

 歩き始めると また
 じたじた・・・・  じたじた・・・・



 場内は ほぼ真っ暗状態。



 そこで 男がふと降りかえると
 そこには・・・・・!


 「こわい――――っ!!!」



 という師匠の絶叫とともに電気が落ち
 真っ暗な舞台のお墓のセットの中に
 髪を振り乱した女の首 (末成由美みたいな) が浮かび上がり
 目をぎょろぎょろ。

 こわいというよりは おかしい。

 と 思ってると
 後ろの扉から 幽霊が!


 めっちゃなさけない声で

 「うらめしや〜。」

 と言って お客さんにからんでは

 「これ、あげる。 これ、おみやげ。」

 とおどかしたこんにゃくをプレゼントしてました。


 で、舞台にあがり なんか口上言うて (忘れました)、
 帰って行きました。



 再び電気がついたとき
 高座の福笑さんは
 見るも涼しげな美しい黒の、白抜き紋の着物に着換えてはって

 「さても恐ろしき怨念じゃ。」

 とサゲを言うて 終わりました。


 (このサゲは マクラでふってたんですが
  長くなるので 書きません)



 粋なんだか 下世話なんだか 
 おもしろいのか こわいのか
 なんだか ほんとよくわからない。

 だけどおもしろいのは
 そのどれもが中途半端っちゃあ中途半端なのに
 中途半端なおもしろさが
 めっちゃ心地いいんですよね。

 完結していないっていうか。


 これは ほんとに福笑さんの
 ものすごく不思議な持ち味で
 ものすごく魅力的だと思います。



 しかし、電気がついて
 目の前にいた福笑さんが
 凛々しい黒の着物を着てはったときは
 正直 あまりのかっこよさに
 惚れてしまいました。 ・・・・・・・。
 



 ついでにもっと惚れちゃった出来事を追加しときます。

 6月の厚生年金会館での独演会後
 福笑さんのファンサイトをやっておられる方を通して
 ファンの人たちへって
 福笑さんが 御挨拶のメールを
 送ってきはったそうです。

 そのメールをのせて置きます。



 『ヤッホー!
  独演会、ありがとうございましたーっ。
  今はさすがにホッとしておりまーす。

  今回のトリネタがウンコタレの強烈な噺だったので、
  来年は何をしようかなともう頭を痛めております。

  ありがとうございましたーっ。
  感謝してまーす。
  好きでーす。
  愛してまーす。
  時々、ウソがありまーす。

                笑福亭 福笑 』




 あか―ん!

 すてき―!!

 惚れる―!!

 



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