些細な一言、 何気ない行動。 あたしの神経は過敏すぎる。 弱らせることなど容易い。 でも、決して途切れることはない。 華が離婚までカウントダウンだと言う話は、この前聞いた。 でもね。 なんであたしの引っ越しの話まであの男にするの? 隠し通せばいいじゃない。 隠しきればいいじゃない。 あたしのことなんて、言わなくても良いじゃない。 そんなの理由にしないで。 そんなの、あの男の耳に入れないで。 話さなきゃいけない、なんて理由はない。 泊まりに出かけること。 荷物を運び出すこと。 いくらでも他の理由をつければいいじゃない。 あたしのことを言わないで。 あたしのことを、勝手に言わないで。 知らないところで、あたしの知りようもないところで。 手の届かないところで。 止めて。 嫌。 嫌なの。 生理的な嫌悪は、愛情をも上回って暴れる。 苦しい。 あたしは。 あたしはとても神経質で、我が儘で。 背の一筋についた傷にさえ、悲鳴をあげている。 うまく、 自分を制御することができない。 できないからこそ、目を閉じて、息を殺す。 あたしは優しくなんか無い。 逃げるという手段は、この手の中にある。 それを行使するかは、まだ分からない。 愛しているのに、ね。
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