酒場と野球と男と女
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2007年09月25日(火) おぅ月さん何ぼ、十三、九つ、の巻。

    今宵は、十三夜だそうな。

マンションのベランダから見る東京の月、青白く光っている。

向こうの川からの風が、涼しく優しく頬を撫でる。

(暑さ寒さも彼岸まで、っか)

片手に発泡酒を握り、手すりに身を預ける。

もう一度、ほぼ真ん丸の月を仰ぐ。

(もう何遍、こうやってお月さん見たんじゃろうか)

子どもの頃の記憶が、ふっと。


    おぅ月さん何ぼ  十三、九つ 

    そうりゃぁまんだぁ 若けぇなぁ



祖母に手をつながれ、銭湯からの帰り。

街灯も無く、あっても薄暗い。

月の明るさと祖母のかすれた唄声だけが頼りだった。

十三歳という年齢も、想像できない遠い先、と思ってた頃。

剥がれかけた選挙のポスターを見て覚えた漢字を呟き言うと、

(ほんとにお前は、賢い子じゃのう)

と、頭を撫でられ、10円のホームランアイスを買ってくれた祖母。


あれから、少しは賢くなったんだろうか。

あれから、少しは偉くなったんだろうか。

あれから、少しは成長したんだろうか。



あれだけ遠かった十三歳、自分の3人の子供も皆その年齢を越えた。


(祖母から頭を撫でられること、少しはしてきただろうか?)


月は、うなずくでもなく、横を向くでもなく、

さして暗闇でもない東京の空に、ただ浮かんでいたーーー。

 

    

  


熱血野球オヤジ |MAIL

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