酒場と野球と男と女
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2006年12月06日(水) ほっとしたい12月、いかがおすごしでしょうか、の巻。

      「いつも(つい)見てますよ」

という温かいメールを、以前うちで勤めていたMチャンから頂いた。

そうすかぁ、こんないい加減ブログ、何気にまだ見てもらってましたか。

嬉しい限りですなぁ。グスっ。

Mチャンの旦那さん、Mケンさんも、新しく制作(番組?)会社で、

頑張ってるとのこと。「ゆるゆる」(byMチャン)と、いイ感じであれば、

と、願ってまっせ。

 12月、暖冬かな?と思いきや、今夜は結構冷え込んでおります。

こんな時期、冷えた身心を暖めてくれるのは、熱燗と古くからの友人との会話。

この間、以前一緒に仕事をさせて頂いた、グラフィックデザイナーのT井さんと、

渋谷で呑んだ。数年ぶりの出会いに、語りきれず、中目黒に河岸替え。

イベント会社社長(&最近もう1社社長)お馴染みKーチャンも合流してくれて、

楽しくかつ建設的な飲み会で、ほっとするようなひと時でもあった。

「大変なこともお互い色々あるけど、こうやって笑って呑めるっていいよね」

T井さんが、珍しくちょっとデレっとして、ぽろっと出たセリフ。

不覚にも、目頭が熱くなった。

 T井さん。デザイナーとしての腕は一級であるにも関わらず、

昨今の急速なデジタル化に戸惑い、一抹の疑いを感じ、そのわずかな躊躇が、

彼から本流の仕事を遠ざけた。

 当初から、業務としての広告デザインと割り切れば、マックモニターの中で、

チャカチャカすることは、いささかの疑念もなかったであろう。

 ただ、グラフィックデザイナーとしての矜持が、トンボも引いたことのない

者と同じ土俵に上がるのは、どうしても許せなかったのであろうか。

 今、藤沢周平原作「武士の一分」が映画公開中である。

映画はまだ観てはいないが、原作は、以前読んだ。

 一分、矜持。

二本差しで背筋を伸ばし、颯爽と立つ浪人姿のT井さんが、今思い浮かんだ……。


 閑話休題。先週、ウチの顧問税理士G先生と久しぶりにお会いした。

電話では、何度か連絡していたが、ご無沙汰モードが続いていた。

今回、今度出来た新会社の税務関係を、お願いにあがった。

 実は、G先生もここのところ大変な状況があり、

「まぁ、普通の人なら、破産してますねぇ」

と、さらっと仰ったが、確かに以前お会いしたしたときより、やや疲弊度高し、

といったカンジ。眉間の皺の刻み、頬のこけ…。

「でもね、しかし、逃げたらだめです。逃げると、全てを失います。

 お金だけじゃない、信用、人。お金なんて、またチャンスはありますよ。

 ただ、人の信用だけは、一度逃げると、絶対戻ってはきません」

当たり前のことなんだが、当たり前のことだけに、重い。

「会社は潰してもまた、作ればいい。そこに留まって、作ればいいんです。

 ただ、逃げなければいいんです」

私に強く言い聞かせてくれるG先生の顔が、田舎の親戚の叔父さんの顔とだぶった。


「……、ええか、男はのぅ、辛いとき苦しい時こそ笑え。笑うて笑うて、

 何が可笑しいか可笑しゅうないか、分らんようになるまで笑うての。

 すりゃぁ、ええようにいくけんの。泣いても逃げても、おえん(訳:ダメだ)。

 笑えぇよ。笑えば、すむことよ……」

 
 遠い記憶の中で、炬燵をはさんで叔父がいる。徳利がある。

父は、腕を枕に寝息を立てている。台所で、祖母と母が並んで洗い物を……。


 丁度、今頃の時期だったか。


G先生の麹町のオフィスを辞去したとき、木枯らしに思わず襟を立てた。

炬燵、欲しいなぁ……。




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