≪11.2産経抄≫ 開いた口が塞がらないとは、このことである。といっても秋の園遊会で、山本太郎参院議員が、天皇陛下に福島第1原発事故の被害を訴える手紙を渡した“事件”の話ではない。 ▼くだんの事件は、「反原発」の闘士が、実は熱烈な天皇陛下のファンだった、というだけの話である。与野党幹部はそろって「天皇陛下の政治利用だ」と怒り心頭だが、騒げば騒ぐほど「常識」という言葉を知らない太郎君と、その支持者たちが喜ぶだけなので放っておけばよい。 ▼開いた口が塞がらないのは、韓国の裁判所である。きのう光州地裁は、三菱重工業に対し、戦時中に工場で「強制労働」させたとして、元女子勤労挺身(ていしん)隊の韓国人女性らに損害賠償金を支払うよう命じた。 ▼若い読者にはピンとこないかもしれないが、戦後20年近くを経た昭和39年の東京五輪開催時でも、日本と韓国の国交は正常化しておらず、人の往来も微々たるものだった。翌年、両国内の激しい反対を振り切って日韓基本条約が結ばれ、ようやく正常化したのである。 ▼このとき同時に締結されたのが、日韓請求権協定である。日本が5億ドルの経済支援を実施するのと引き換えに、日韓ともに個人の請求権は消滅した。この5億ドルと日本からの技術協力をテコに韓国は「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を達成した。 ▼という歴史的事実を、韓国の40代以下の人はほとんど知らない。学校で教えられるのは日韓併合時代の暗黒面ばかり。裁判官も世論におもねって「反日」判決を乱発する始末である。北朝鮮に人権がないのはよく知られているが、近年、韓国では法治すらなくなったようである。隣の国の首相に会おうともしない大統領の下では、「無法」がまかり通っても仕方ないか。 ≪終了≫
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