こちらでは、ユースケ氏の出演作品の中から、後世に残したいとまで気に入った作品&ここまでこのドラマを食い入るように観てるのって私だけだろうと思ったドラマを、筆者が勝手に必要以上に評価させて頂いています。ネタバレ有です。
「今週、妻が浮気します」その4 第9〜11話 還ってきた - 2007年04月03日(火) ユースケ・サンタマリア氏主演のドラマの中で私の好きな作品第2位に躍り出たかもしれない。(このドラマに出ている全てのレギュラー役者さんの演技がどれも大好きだ。どの人の絡みも、ずっと観ていたい。音楽も、もうぴったり。タイトルの崩れ落ちていく階段も楽しい、ビデオで早送りすると階段駆け登る人が後に下がっていくように見えるのが面白い。でも止まない雨が無いように、終わらない連ドラは無いんだよね) (夫婦のラブストーリーには何度か大事な節目が訪れるけど、それが恩師の葬儀だったり、後輩の結婚式だったりするのが、夫婦っぽくて何かいいなあ) 平和な日々の中では、二人は背中をぴったりつけて、それを意識せずに互いに外を向いていた。自分一人では転んでしまうことなど忘れて。 雨降って地固まりかけ、出合った頃を思い出す。 旅館の部屋で背中を向けて、離れた布団の中で「星、綺麗だったな」の言葉をかけるのがやっとの時も。かき回されていた心が沈殿して落ち着いてきたような雰囲気だった。 自分も悪かったと素直に思えるところまでやって来た。妻の誕生日に、きちんと謝れる。やっぱり妻を好きなんだということが確認できる。 でも五感ではまだ「浮気」の事実が許せない。あの頃の自分に戻れない。そんな自分自身も哀しい。 9 苦悩は、なくなったように思えても消えさるものではない。(シェークスピア) 苦悩の末、ついにハジメ自身の口から「別れてください」と言うに到ったあの泣きじゃくり方を観ていると、もう何ともやりきれない辛さ。 相手を好きだからこそ、苦しませたくないから互いに別れるという道。 別れるけど、相手の幸せを願ってやまないという、 その、 全ての切ない感情を表現したシーンで、ユースケ氏は目も口も肩も体全部がその「気持ち」を緻密に伝えてくれてたように思う。多分、その気持ちそのものに心身まるごと「成ってしまう」ことが可能な人なんだろう。 けれどどこかそんな自分を客観してるもう一人の自分が居るような雰囲気で、哀しいながらもホッと笑顔が浮かぶような感じだった、ユースケ氏は。 10 今が最悪だ、と言える間は最悪ではない。(シェークスピア) その寄りかかっていた背中は、実はどんなに温かくかけがえの無い背中だったのか、無くなってみると分かる。 でも相手を大切に思うからこそ、頑張って一人で立ってみる。 離れることで相手への尊敬の念が浮き彫りになってくる。 その思いが自分にも磨きをかけていく。仕事にもそれが生きてくる。 そうして離れて感覚を研ぎ澄ませて残ったものが本当のシンプルな愛情で、以前の「好き」より、もっと精錬してパワーアップした「好き」が勝ち残り、浮気相手の影なんかもう超えてしまって。 で、ようやく、還ってきた。 11 少しの悲しみもない純粋な幸福なんて、めったにあるものではない。(ハイネ) 後輩の結婚披露宴のスピーチで、最初は体裁を整えようと無難な言葉を並べてアセアセしていたが、 次第に本音を吐露せずにいられなくなり。「・・・やりなおしたい。」 この言葉の背景にある濃い思い。涙をぐっと堰き止めるダムのように堪えてとどまりながらあの絶妙な抑揚のつけ方で言い切り、口角を微妙に上げて、暫くの間合い。ホントに、うまいっ。 知らず知らずにあらゆる人々の背中を押してきたハジメも、今みんなの友情に背中を押され、 陶子に向き合って、 「帰ろう」の言葉で。歩き疲れていながらも幸福感に包まれた落ち着いた表情っていうのか。 二人一緒にそこに帰ってきた。長い道程を経て、一皮も二皮も向けて成長して帰還してきた。 その何か歴史と到達感も感じられるような、でもあったかい風情だった。 プロポーズ回想場面の若い無邪気なキスシーンと比較すると、その性質の違いがよく分かる。 試練の末にパワーアップして誰にも負けない「好き」の証でたどり着いたキスだから、 それは互いに本当に愛しいことを確かめるような、すっごく大事なキスのしぐさである。 ユースケ氏のキスシーンとしては、「アル花」のエリナ先生とのシーンと同じくらい、見ていて嬉しい。で今回、その嬉しさの正体が改めて再確認できた。 キスする前にちょっとこう、「今から行きますが宜しいですか?」という、念押しの頷き動作があるのだ。それがとっても謙虚な感じがして、彼女を大事に思っている感じがして、それが演出としても、彼のキャラクターに似つかわしいと思う。 -
|
|