こちらでは、ユースケ氏の出演作品の中から、後世に残したいとまで気に入った作品&ここまでこのドラマを食い入るように観てるのって私だけだろうと思ったドラマを、筆者が勝手に必要以上に評価させて頂いています。ネタバレ有です。
映画「UDON」 ソウルフードテーマパークにようこそ? - 2006年09月07日(木) 「UDON」公開2006年8月26日〜 夏休みの一泊旅行で、ちょっとした「うどん打ち体験」をして来たので、よけい親しみを覚えながら観た。 ☆香川の「うどん」の「UDON」なところ・・・、それは一つの例に過ぎないが、世界のどこにいても、みんなの胸の中にある故郷の食べものとしての文化(ソウルフードなるものらしい)、 当たり前のように存在するもの、を、あえて、初めて出あった珍しい食べもののような目線も交えて、地元の実在の人やエピソードも交えて、 いろんな切り口で、手法で、紹介してくれる。 UDONを他の身近な食べものに置き換えてみてもいい。その土地で小さい頃から普段食べているものの有難味、こだわり、それはその土地の人間関係にまで影響することがわかる。食べものは、様々な愛され方で、かくも人から愛され、人を作る。 ☆そんな当たり前のように存在していたがゆえに疎ましかった「故郷」「家業」に、反発したり向き合ったりしながら自分らしさをどう生きるのか、興味深い彼ら彼女らのケースを見せてくれる。人は何がきっかけで道を開くことになるのか分からないからこそ人生面白いんだなあ、と、しみじみ感じさせてくれる。遠い夢、手近な夢、メーテルリンクの青い鳥を思わせる。 ブームは盛り上がり、ブームは去り、祭りはいつか終われども、その跡に、地味ながら捨てがたい何かが残っていることに気づき、別な何かに生まれ変わることもある。 それはたとえば、地元の職人さんの、毎日の誠実な仕事ぶりが、みんなのささやかな幸せを支え、その仕事に対する愛と感謝がまた職人さんを支える、相互関係だったり。若者はそれをそっくりそのまま受け継ぐのもまた人生、それを自らの夢と摺り合わせて全く新しい形に昇華(消化)するのも人生。(この主人公の場合、唐突な方向に消化させ過ぎだと思うが) ・・・と、そんな風に拾い物が多くて、全体的に楽しかったが、映画の作りは、万人向けとは言いがたいと思った。 この本広克行サンとか、ROBOTスタッフの作るフジテレビ系の「映画」を正しく味わうためには、従来どおりのイメージの「映画」を観ると思って観ない方がいいのかも。(踊る大捜査線シリーズや真下正義で、そう思った) そこで、一種のテーマパークに来た(自分の好きなように見て廻って、何か面白いところを見つけて帰ればよい)んだ、と思って、 「ROBOTランド」用に自分のチャンネルを切り替えて観にいく、がお薦め。 そして好みのアトラクションを見つけたら、それをよく味わうべし。自分から入ってみることが大切。アトラクション毎に雰囲気は違うよ。どのパビリオンを気に入るかは分からない。 つまりこういうこと。 フツーは、一本しっかりとした統一感、テーマに向かってギューっ連れてってくれて感動させてくれる感じ、ある一定のスピード感・・・、 そうしたものを、よく私は(映画館で観る)映画に求めてしまうのだけれど、この映画はそういうのと違う。 私の中の映画ベスト1のバックトゥザフューチャーと比べてしまうと。ベスト2の美女と野獣と比べてしまうと。濃縮感には欠けるかも。 どんな色でまとめたいのかよくわからない、統一感のなさ。それが逆に、なんか良いのかもしれない。異素材のコーディネイトの妙というのか。 部分に注目すると、はっとさせられるような何かや、考えさせられる何かが散りばめてあるけど。 いろんな要素、いろんなオカズが、めいっぱい詰め込まれて和洋中なんでも入り幕の内弁当みたい。私は、好き嫌いなくなんでも食べるタチだけど。 ドキュメンタリー有り、コメディあり。親子愛、人情ドラマあり。ぶっとんだようなCGアニメもあり。緩急様々。どれかひとつに絞ったほうが深く掘り下げられるかもしれないが、ヘタすると飽きるだろうし、こういうチャンポン味も、これはこれで面白さがある。ある種、実験かも。リアルな世界は、何事も一つに絞れないわけで、そのことも表現しているのかなと。 でも、シリアスに観たらいいのか、マンガのような軽いノリで観たらいいのか、ちょっと迷ってしまう。軽いのか浅いのか深いのか子供っぽいのか、どうとでもとれるのだ。 それが「とっ散らかってウルサくってイラつく」人もいるだろうし、でも私にはそれも一種の魅力ということで許容できるので、 人によって、すごく好き嫌いが分かれそう。 だから、その、並んだ事象全てを、おおらかに、淡々と観ることをお薦めしたい。 はっ。それって、まさしく、ユースケ氏の色彩そのものにもあてはまる喩えではないだろうか? 彼にはいろんな要素が入ってて一色には括れない。近くで見ると、色がちらちらしてしまう。けど遠目に見ると、あるひとつの雰囲気なのだ。 シリアスモードとかほんわかモードが混ざり合っているけど、ぱっと見はギャグモードが強い気がして、どのカラーに入れ込むか迷わせるような何かが彼にはある、それが、 「良く見ると捉えどころが無い魅力」となるか「どこか中途半端」となるかは、かなり際どい。 そして薄味で淡々とした感触が、この映画の持ち味かもしれない。そしてユースケ氏も、そこにうまくはまってる。 「さあ。ここから、感動のシーンかな」とか「ここはカッコいいところかな」というべき場面では、意外にアッサリ。 そのアッサリが「演技がヘタ」と受け取られるか、「いい塩梅の匙加減」と認知されるか、スレスレの線だ。それよりも、 観客が全く構えていなかったところで急に「ほお!?」とナイスな演出か、演技か、地か、(判別不能)が出てくることが多い。 このあたりが、評価が分かれやすい点だと思う。 でも、お調子者かつナイーブかつちょっと意地っ張りな香助の性格を、ユースケ氏は素の自分自身とはきっと微妙に違う役作りでうまく演じていたと思う。 彼が泣くシーンが2回出てきた。 1回目は、喪失感というか後悔も混じった、やりきれない悲しみ、かな。 2回目は、嬉し泣きに近かった。感謝というか幸せというか、何かを発見した嬉し泣き。 その違い。かなり伝わってきたけど、私には、ユースケ氏ならもっと色濃くそれを表現できたはずだと思える。(言い換えれば、彼にしては物足りなかった。) でももしかしたら、あえてこのくらいに押さえて映画のカラーに合わせちゃったのかもしれない。 この映画でユースケ氏がその魅力を余すところなく発揮している点は、何と言っても、仲間と交わす何げない会話の口調、とその風情。 もう一度その表情、その声が聞きたくなるような、懐かしい友達みたいで、癖になってもう一度、それを観たくなるのだった。 (この作品に限らずだけど)ユースケ氏のセリフで、誰かの言葉に対して「・・・えっ?」と聞き返すときの声のニュアンスが、独特で好きです。うまく言えませんが、相手と自分の間に在る如何ともし難いすれ違いに、困惑しつつも気を遣いつつ苦笑しつつ、意義を唱えたい、みたいな。 (って、深読みしすぎかな。) あと、それから、個人的には(ネタばれになるが)特に、「もはや、ブーム?」というセリフを言う箇所と、「メンツーダン」を連呼する箇所が、いい味。 今のところ私のお気に入りの、マイ・フェイバリット・アトラクションだ。 ※既に蛇足ながら更に一言 ユースケ氏のお姉さんが鈴木京香。若くてステキ。というかユースケ氏が年上に見えるわ。 -
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