37.2℃の微熱
北端あおい



 

あたりまえだが、時間は死にむかっておそろしいはやさでおちていくのだ。一瞬一瞬は、回復不可能なのだ。とりかえしのつかないことの連続の、そのまっただなかに投げだされているのに、ふだんはだれも気づかない。
(鈴木いづみ「乾いたヴァイオレンスの街」『鈴木いづみコレクション いつだってティータイム』所収、文遊社、1996)


時間がとまっているような感じがぬぐいきれない。
世界との距離がどんどん開いていくようで、焦燥感がつのる。
エネルギーがなくなりそうで、それがこわくて、でも何処に行けば充たせるのかわからないまま、過ごしています。

鈴木いづみの諦観は、突き抜けて突き抜けて、くるっとひとまわりして、もう一度前向きにもどってしまったような爽快感があるので、好きなのです。
こんなに明るくてすがすがしい諦観もあるのだときづかせてくれたのが、このひとの本でした。



2006年04月16日(日)
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